教育改革委員会(ERG)の報告書は、トルコでの教育不均等を明らかにした。最富裕層の人々は、最貧困層の人々の、21倍の教育費をかけている。最貧困層ではわずか0.4%しか高等教育を受けることができない。
トルコの地方部に暮らす、両親が小卒で、三人兄弟の家庭女子学生が、高校へ進学する割合は1~2%で、最富裕層の人々は、最貧困層の人々の、21倍の教育費をかけているという。
この数字は、教育改革委員会(ERG)の「教育の機会均等:政策分析と提案」報告書によるものである。サバンジュ大学イスタンブル政策センターが中心となって立ち上げた教育改革委員会によって準備された報告書が昨日、21日土曜に発表された。アチュック・トプルム・ワクフの支援で実施された調査では、ガラタサライ、バフチェシェヒル両大学の研究者たちが、教育の普及と学業成績における不均衡の要因を調べた。この報告書は、トルコ統計機構(TÜİK)の家計調査と国際学習指導到達度調査(PISA)のデータを利用して作成され、教育ではさまざまな社会不平等を減らすことができないということを示している。報告書の中で特徴的な結果を以下に記す。
■数学「ゼロ」
・15歳の生徒の32%が学習したことを理解していない、52%が簡単な数学の問題を解けない状態にある。
・地方部に生活する、三人兄弟の低所得層の家庭で、両親が小卒である女子が、高校へ進学出来る割合は1~2%である。一方、都市部に住み、両親が大卒である男子の高校進学率は68~70%である。
・最貧困層の生徒たちの内51%が職業高校や実業高校に進学する反面、5%しか(エリート校で知られる)アナドル高校に進むことができない。
・最富裕層の生徒の内わずか3%が職業高校や実業高校へ進学し、49%がアナドル高校へ進学する。
・父親または母親の教育水準が1年さらに上回っている女子学生の、教育を受ける割合は3%より高くなる。
・母子家庭の女子が、初等教育を受ける割合は38%下がり、中等教育はというと69%下がる。
・父親が1年余計に教育を受けた家庭の男子が中等教育を受ける割合は15%高くなり、女子は10%高くなる。
・収入の半分以上を農業に拠っている家庭の女子が教育を受ける割合は19%下がる。
・初等義務教育は100%達成されているとは言えない状況である。地域間格差が拡大している。南東アナトリアの地方部に生活する女子の、初等教育を受ける割合は48~52%である。
■卒業証書のない少女たち
・15~19歳の生徒たちの15%が、初等教育を修了していない。この内の7割を女子が占める。
・南東アナトリアの女子が教育を受ける割合は、イスタンブルに住む女子の割合の50%以下である。
・最富裕層は、最貧困層の人たちの、21倍の教育費をかけている。最富裕層の7~23歳の、28%が高等教育を受けることができる一方、最貧困層の同年齢の子供たちは0.4%しか高等教育を受けることができない。
■解決策の提案
報告書の結論には、以下のことが書かれている。
「教育の機会均等目標は、国家計画報告書でより大きく取り上げられる必要がある。中等教育と高等教育を受ける機会について、明白な目標が立てられ、またこれらの目標は常に追求され、改善されなければならない。教育に振り分ける予算の増額、不利な状況にある地域が優先されるべきである。就学前教育は、各々の県の指導に任されるのではなく、(国家が)不利な状況にある生徒たちを対象とし、優先的に対応しながら、これを広めていく必要がある。普通高校と職業高校は、互いに、これ程までに厳格な区別をされてはならない。また、学校間の質の差を是正していくことが重要となる」
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( 翻訳者:西山愛実 )
( 記事ID:16043 )