アフマディーネジャード大統領、国会議長に「憲法上の警告」:88年度予算法案の審議をめぐって
2009年03月16日付 E'temad-e Melli 紙
慈悲深く慈愛あまねきアッラーの御名において
ラーリージャーニー国会議長殿
拝啓
憲法第113条、及び1365年〔1986年〕に可決された「イラン・イスラーム共和国大統領の職務・権限・責任の範囲を定める法」第15条にもとづき、1388年予算案の審議過程で憲法の諸条項が遵守されなかったことに関し、以下の通り憲法上の警告を通知する。
〔中略〕
残念なことに、憲法第52条に反して、予算案の審議は政府法案を無視する形で進められ、透明性やバランス、統一性を欠いた新たな、まったく別の予算が可決されてしまった。このような予算法は施行不可能なものであり、諸省庁の行政に秩序を与える代わりに、国の行政・財政秩序を混乱に陥れるものである。この点に関し、憲法のさまざまな条項が明らかに侵犯された例を以下に挙げる。
〔※憲法第52条は、毎年の予算法案は政府が提出し、国会によって審議・可決されなければならず、予算法を変更する場合は所定の法律の規定に則って行わなければならないとしている〕
1.ご存知の通り、1384年3月17日〔2005年6月7日〕付の護憲評議会憲法解釈通達(第287号)の中で述べられているように、憲法第52条に則り、毎年の予算案及び同補足・改正案は政府提出法案という形で、政府によって提出されねばならず、議会提出法案という形でそれを可決してはならないとしている。
ところが、政府が提出した予算法案と国会が可決したそれとを比較すればよく分かるように、可決された法案は政府提出法案ではなく、国会議員らによる議会提出法案であり、政府提出法案と入れ替わってしまっている。例えば、〔政府提出時には〕12の条項から構成されていた予算法案は〔可決された頃には〕約6倍(70条項)に増え、歳出・開発予算・保有資産・歳入などに大幅な変更が加えられている。
〔中略〕
国会は〔自らが可決した予算の中で〕歳出を増加させているが、歳出を増加させていると言っていつも政府を非難しているのは、国会の方である。
以上指摘してきた事例は、予算の全体像から浮かび上がってきた国会による変更点についてである。これら以外にも、さまざまな部門で極めて多くの変更が予算案に加えられている。財源や歳出に加えられた変更点は実現不可能なものばかりであり、以下に詳述する、1388年度に実施されなければならない基本的な政策の多くが、事実上実施不可能となるだろう。
2.国会の内規を遵守していないにもかかわらず、つまり国会内規第223条に規定された〔第四次五カ年〕計画の改正に必要な賛成票(出席議員の3分の2の票)を確保していないにもかかわらず、国会は「補助金の目的化」の〔予算案からの〕削除を可決したと見なしている。しかしこれは、以上の理由から憲法第65条に抵触する行為〔であり、「可決」したとはいえないもの〕だ。
〔※憲法第65条は、国会による法案の可決は国会内規に則らねばならないとし、国会内規を変更するには出席議員の3分の2の票が必要だとしている〕
補助金の目的化は第四次開発計画で義務化されている(例えば第四次計画法第33条B項及び第95条)。88年度予算は、第四次五カ年計画の最終年に当たる予算であり、88年度予算に補助金の目的化が盛り込まれないことは、予算法による五カ年計画の修正を意味する。
〔中略〕
補助金の目的化によって生まれるはずだった20兆トマーン〔約2兆円〕の歳入が予算から削除されたことで、政府は事実上、17兆5千億トマーンの予算不足に直面した。政府が見込んでいた歳入の一部は、政府提出予算で予定されていた8.5兆トマーンの歳出削減に、また別の一部は今年度までエネルギー関連の補助金予算として計上されていた歳出(9兆トマーン)の削減によるものである。
それゆえ、「補助金の目的化」を予算から削除することは、第四次計画に矛盾するものであるがゆえに、〔ハーメネイー最高指導者が定めた長期目標である〕イラン20年ビジョンに反しており、また国会内規を無視するものであるがゆえに、憲法第65条に反しており、さらに予算案で提示された数字に大幅な変更を加えるものであるがゆえに、憲法第52条に反しており、かつ歳入の減少を補って支出をまかなうための方法を何ら提示していないという点で、憲法第75条にも抵触するものである。
〔後略〕
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:16089 )