オバマ大統領トルコ議会で演説「困難だが、変革が必要」
2009年04月06日付 Hurriyet 紙

トルコ大国民議会で歴史的な演説を行ったオバマ米大統領は、トルコ訪問が全世界に対する「明白なメッセージ」であることを強調した演説で、「変革」のメッセージを投げかけた。。

「私たち全員の変革が必要だ。しかし、変わるということは、容易なことではない」と話しオバマ米大統領は、「虐殺」という言葉は使わずに、アルメニア問題について議会の演壇で次のように言及した。「この議会で演説をするにあたり、1915年に起きた不幸な出来事についてももちろん触れざるを得ない。これは私の問題ではなく、アルメニア人とトルコ人がともに解決する問題だ」

バラク・オバマ米大統領は、トルコ大国民議会本会議における歴史的な演説を、アンカラとイスタンブルへの訪問を、ひとつのメッセージを投げかけるために行ったのかと質問する人がある、という話からはじめ、「これについての私の答えは明白だ。エベットだ(「イエス」だ)」とのべた。そして、「私たち全員の変革が必要だ。しかし、変わるということは、容易なことではない」と続け、次のように語った。

■アタテュルクが残した遺産は「民主主義」だ

今日この大国民議会で演説をさせていただき、名誉に思う。そして、私は、私たちの国の間の友情と同盟関係を続かせることを目的にしている。今回(の旅)は私がアメリカ大統領として行う初めての外国訪問だ。この訪問を(EUから)アンカラとイスタンブルへ続けることのは、何かのメッセージかと私に質問する人たちがいた。これに対する私の答えはいたって明確だ。(トルコ語で)「エべット」(「はい」)だ。今朝、アタテュルク、つまりこの国の創設者の墓を訪れた。アタテュルクの名の下に設立されたこの記念碑に大きな感銘を受けた。なぜなら、彼は歴史の形を変えたリーダーだからだ。しかし、アタテュルクの生涯にとっての最大の記念碑は、石や大理石から作られたものではない。彼自身が残した最大の遺産はトルコの力強い、世俗的な民主主義だ。そして、今日、この議会こそが、民主主義の継続を保証しているのだ。

■アブデュルメジトがアメリカへ送った詩

私たちの国の創設者であるワシントンに、私たちも大きな記念碑を作った。この記念碑の創設には10年を費やした。その建造を援助してくれた、世界中の友人たちがいた。援助のひとつは、イスタンブルから届いた。オスマン帝国のスルタンであるアブデュルメジトは私たちに大理石のプレートを送ってくれた。そこには私たちの国の間の友情を強める一編の詩が刻まれていた。この詩が刻まれてから150年の時が経った。私たちの国は本当に色々な点で変化した。しかし、私たちの友情はさらに強まり、そして同盟関係は今も続いている。

アメリカとトルコは、朝鮮戦争からコソボ、コソボからカブールへと共に争った。そして、冷戦時代には、ひとつの陣営で(敵と)対峙した。両国民の間の絆は深まった。そしてさらに多くのトルコ系アメリカ人がアメリカで生活し、成功を収めている。一人のバスケットボールファンとして私もヒダイェット・チュルクオールとメフメト・オクルの活躍を楽しく観戦している。

■EU加盟を強く支持

私たちは21世紀の困難に立ち向かうため、完全に統合された、自由と独立を保ったヨーロッパを目標にしている。アメリカはトルコのEU加盟について強く支持する。私たちは、ここでただEUメンバー(訳者注記:NATOの誤訳か?)として話をしているのではない。トルコの、そしてヨーロッパの友人として話しているのだ。トルコは私たちの重要な同盟国であり、重要な仲間だ。トルコはヨーロッパに対して、単にボスフォラス海峡の上の橋によってつながっているのではない。その繋がり以上の結びつきがあるのだ。

また、少数民族の権利が認められたならば、人々はあらゆるチャンスに、個人として浴するチャンスをえるだろう。私の国(アメリカ)のように、かつて、(黒人の)投票権さえなかった国について言っているのだ。そこから大統領になるなど、だれが予想したことだろう。このような可能性を何よりも強調したい。誰でも変わることはできる。私たち全員が変わっていかなくてならない。しかし、変わることは、ときに容易ではない。

■トルコ人とアルメニア人が解決する

私たちは、過去とどう向かい合わねばならないのだろうか。これを知ることが必要だ。アメリカは現在、過去の暗い時代と向かい合っている。私たちの国においては、奴隷制度の過去、人種差別の過去がある。また、アメリカ原住民がどのように侵略されてきたかも知っている。このトルコ大国民議会において演説するにあたり、1915年に起きた不幸な出来事にも触れざるを得ない。これらは私の問題ではない。アルメニアの人々とトルコの人々がともに解決すべき問題だ。トルコ人とアルメニア人のリーダーが踏み出した勇敢な歩み寄りを私たちは知っている。アメリカは、この文脈で、両者の関係が正常化することを支持している。

■クルド政府のリーダーとの接触が重要

現在、イラク、トルコ、アメリカは、共通するテロの脅威に直面している。アルカイダもこの中のひとつだ。さらに、クルド労働者党(PKK)も挙げられる。アメリカ大統領として、また、北大西洋条約機構(NATO)同盟国として、PKKもいかなるテロ組織も支持しない。そのために協力に向けた絆が築かれ、イラク政府、イラクにおけるクルド自治区政府のリーダー、そしてトルコの間でその絆が保たれることが、最も大切だ。

■私の家族にもムスリムがいる

アメリカは、イスラムと戦っているのではない。これまでもそうだったし、この先もそうである。同時に、次の点についてはっきりさせておきたいと切に思う。アメリカのムスリム社会との関係は、テロとの対峙に留められてはならない。私たちは、私たちはイスラムの信仰への敬意を示す必要がある。アメリカは、ムスリムのアメリカ人たちによって豊かになり、多くのアメリカ人の家族にはムスリムがいる。私はこれについてよく知っている。なぜなら、私もその中の一人だからだ。

■通訳イヤホンは使用せず

アブドゥッラー・ギュル大統領と軍司令官らは、バラク・オバマ米大統領のトルコ大国民議会における演説を、通訳イヤホンなしに聴いた。共和人民党(CHP)党首デニズ・バイカルも、イヤホンは使用しなかった。

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( 翻訳者:萩原絵理香 )
( 記事ID:16144 )