EU加盟支持のフランス外相、トルコに失望―NATO事務総長選出問題の波紋
2009年04月07日付 Radikal 紙
フランスのベルナール・クシュネール外相は、もはやトルコのEU加盟を支持しないと述べた。エルドアン首相がNATO首脳会談の際、新事務総長へのラムスセン氏就任に執拗に反対したことにショックを受けたと明らかにしたクシュネール外相は、トルコでは宗教が強固になり世俗主義という特徴が弱められていると主張した。
トルコのEU加盟に反対する態度が次第に広がっている。ベルナール・クシュネール外相は以前には何度もトルコのEU正式加盟を支持しており、この点でニコラ・サルコジ大統領や他のフランスの大臣から距離をおいていたが、その考えを改めたことを述べた。
クシュネール外相はトルコに対する考えを改めたきっかけは、ストラスブルグで行われたNATO首脳会談にあることを明言した。4月3、4日にドイツとフランスの主催によりストラスブルグで行われたNATO首脳会談について論評したクシュネール外相は、RTLラジオとのインタビューで、トルコの態度をとても否定的に見たと述べた。フランス外相は、トルコ政府が、デンマークのアンデル・フォ・ラムスセン氏がNATOの次期事務総長に就任することに長い間ためらいを見せたこと、そしてムハンマド風刺画の広がりを問題視したことを「衝撃」であったと述べた。また、「トルコのEU加盟に賛成であった。しかし(NATO首脳会談)を通じて行使された圧力に私は驚いた」とも発言した。ムハンマド風刺画の広まりに対して、表現の自由の範疇であると考えていると強調したクシュネール外相は、トルコの態度を「簡単にいえば不器用で、失敗である」と評価した。
この事件によりトルコのEU正式加盟に対する見解を改めたことを述べたベルナール・クシュネール外相は、「トルコで、宗教がより強固になり、世俗主義がより重視されなくなるといった路線変更を私は懸念している」と述べた。
クシュネール外相は、アメリカのオバマ大統領が、トルコのEU加盟を支持していると明言したことに驚いていないこと、アメリカが25年来この考えであったこと、しかしアメリカはこの件に決定権を行使する立場にないことを述べた。クシュネール外相は友好国の間でもこのような考えの相違がときにはありえることであると主張した。
■イスタンブルの訪問取り止め
トルコとエルドアン内閣を批判したクシュネール外相は、招待されていたイスタンブルでの「文明間の同盟フォーラムへの参加をすぐに取りやめ、これについての理由を明示しなかった。クシュネール外相はこうした状態の中でエルドアン首相やアメリカのオバマ大統領と同席することを望んでいないために、このような対応をとったとされた。
同様にイスタンブルに招待され、最初この招待を受けたパリのベルトラン・デラノエ市長も、最終的にプログラムを変更したこと、そして昨日(6日)の夕食会に参加しなかったことが注目をひいた。
■フランスでのトルコ議論再燃
オバマ大統領がトルコ支持を明言し、フランスのニコラ・サルコジ大統領が同じ日に「トルコの加盟にまだ反対している」と述べたことで持ち上がった対立がフランスで議論を呼んでいる。特に2005年5月の欧州憲法の住民投票の期間中に、トルコに関する話題がフランス人により特に集中的に議論されたが、当時と同じような形で同国メディアの見出しに載っている。
サルコジ大統領の出身政党である国民運動連合(UMP)の国会議員の大部分は、大統領と同じ考えであると述べた同政党の会派代表のジャン・フランソワ・コープ氏は「トルコを特権的パートナーとして評価している。しかしそれだけだ」と述べた。コープ氏は2017年に予定される2期後の総選挙で大統領候補となることを今から明言している人物である。
フランスの第一野党である社会党のマルティース・オブリー党首は以前と同様の見解を繰り返した。オブリー党首は「正式加盟への道のりは遠いように見えるが、トルコを欧州に受け入れる過程を進めさせることには支持している」と述べる一方、サルコジ大統領を批判した。オブリー党首は、トルコの加盟に徹頭徹尾反対するサルコジ大統領が、フランスがEU議長国であった期間に、この過程をすすめさせたことは戸惑うことであると語った。
世界的に有名なフランスの極右政党の党首であるジャン・マリー・ルペンも議論に参加した。ルペン党首は昨日記者会見を行い、サルコジ大統領がトルコ問題についてフランス世論を言葉巧みにだまし、「嘘をついている」と語った。ルペン党首は、フランス大統領がトルコのEU加盟に元来反対していないこと、今日までの政策がそのことを示していることを、トルコの正式加盟に原則反対している政治的中心勢力は自分たちの党であることを主張した。
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( 翻訳者:栗林尚美 )
( 記事ID:16153 )