「潜在的犯罪者のような扱いを受けた」
歌手ロジンは、TRT6チャンネルのクルド語放送で「ロジンネーメ(ロジンの書)」という名の朝番組を、突然降板すると決定した。ロジンは、TRTの運営側が圧力を加え、「番組を中身のないものにしようとした」と訴え、「潜在的な犯罪者」のように扱われたことから、この決定をしたことを明らかにした。
政府が大きな望みをかけている計画のひとつ、TRT6・クルド語放送は、1月に公共放送を始めた。クルド音楽の人気歌手ロジンは、TRT6でおよそ70回、番組を担当した。しかしとくに最近の4、5つの番組で起きた諸問題が原因で、彼女はTRT6から離れることになった。ロジンは、ローマ皇帝ジュリアス・シーザーの有名な言葉である「来た、見た、征服した」を連想させる「来た、見た、出ていった」という表現をつかい、TRT6から完全に去った。ロジンはこの問題に関する書面による説明で次のように述べた。
■TRTの運営陣が、番組を中身のないものにした
TRT6・クルド語放送で番組を担当する決意は私には難しいものでしたが、このチャンネルでいろいろなことを体験し、その後にやめる決定することは、それに比して容易な決断ではありませんでした。よほど深刻な理由がない限り、うまくいっている番組をやめようとする司会者や歌手はいません。テレビでも、視聴率が高い番組は終わらせないものです。自分の番組は単なる音楽・娯楽の番組ではなかったので、必要なものをうまく調整しながら番組の内容を自分で構成してきました。音楽番組ならば私の仕事はずっと簡単だったでしょう。この番組は主に女性向けであって、本の紹介、早口言葉、文学や詩、女性問題や法的な諸問題まで幅広いラインナップを準備したのです。しかし番組の、そして私への圧力は、番組を中身のないものにし、番組がひとりでに(だめになって)終わってしまうように仕向けられました。
■潜在的犯罪人
考えてもみてください、司会者が、今日のテーマやゲストについて何も知らずに番組に入るのです。番組の、つまり、私の提案したゲストはまったく受け入れられず、番組内での発言はカットされ、すべてのことに口出しをされるのです。番組そのものが潜在的犯罪者、私自身も潜在的犯罪者のように扱われたのです。
■度がすぎている
もちろんこのチャンネルは、クルド問題において歴史的な過程がもたらした最も重要な発展のひとつですし、何事も一度にうまくいくものではないでしょう。一定の制限があるだろうことは始めからわかっていました。しかし、それが度を超えて、自分がないかのような扱いを受け入れることはできません。人生で自分の勇気を幾度も試された一歌手として、トルコとクルドの人々の平和と姉妹関係のために、命をかけてこのチャンネルで番組の作成を受け入れました。私が経験してきた数々の困難は、近しい人々や私自身が知っています。しかし、やはりクルド人とトルコ人の平和と姉妹関係のために、これ以上、なにかいうのは控えさせてもらいたいと思います。降板表明は決して経済的なことではありません。脅迫や威圧でもないし、私のわがままでもありません。私個人の自由意思で出した結論です。自由のない場所に私はいることはできません。私の歌手としてのアイデンティティや私の個性と一致するところにいたいのです。来た、見た、出て行った・・・・ということです。」
■ユルダダパンとデミルダーに検閲
本誌の入手した情報によれば、ロジンとTRT6の間で起こっている緊張関係は最近の4、5つの番組でピークに達した。ロジンは、番組にゲストとしてシャナル・ユルダタパン氏を招いたが、ユルダタパン氏はTRT6側から拒否された。歌手のメリケ・デミルダー氏をゲストにした番組では、「トークは少しで、歌を多く」との注文にあった。「ロジンナーメ」で最も人気のある早口言葉のコーナーに対しては、(TRT6側から)「早口言葉は見つかりませんでした」といういう妨害にあったという。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:木村納菜 )
( 記事ID:16202 )