「軍人も「自分はクルド人だ」といえるように」ネットに流れた会話の内容
2009年04月19日付 Yeni Safak 紙
元陸軍司令官のアイタチ・ヤマン退役大将のものであると報じられる録音の声が、インターネット上に流れた。バシュブー参謀総長の「トルコの人々(国民)」発言と符合する見解を示す録音の声は、「士官学校では、クルド人が、私はクルド人だ、アレヴィー派の人が、私はアレヴィーだ、と言えない。このような抑圧の中でうまくいくわけがない」と述べている。
元陸軍司令官のアイタチ・ヤルマン氏のものであると報じられる録音の声が、昨日18日インターネット上に流れた。バシュブー参謀総長と会談したと語る録音の声は、トルコの民族構成に関するトルコ国軍(TSK)のこれまでの認識を改めるものとなっている。声は、バシュブー総長へ、「ナショナリズムの感情を強硬なものとしてはならない」と述べ、「トルコはトルコ人のものだ、と言えば、他の人たちを仲間外れにすることになる」と語っている。バシュブー氏の「トルコの人々(国民)」発言と符合する内容の発言は以下の通り:
■違いを認めるべき
「トルコの、そして世界の変化を理解しなくてはなりません、違いを認めなくてはなりません。これらは難しいことではありません。トルコでのこの変化を一度理解し、そしてグローバル化における社会的、行政的変化が世界的及びトルコ全体において如何なるものとなっているかを見ることです。それに自分たちはどのように適応していったらよいのでしょうか?私たちの価値を守りながら、これに適応するのです。私たちはこれらを熟慮する必要があります。もう、私はあれを認めない、これを認めない、と言う時点を過ぎてしまったのです。」
■強硬なナショナリズムではいけない
「人がもし違いを自ら認めるようになれば、そのとき世界を違ったように見るでしょう。いまアナトリアのある町から一人の子供を連れて来て、その子を将校にしたとしたら、そして、その子に終始アタテュルク主義、共和国の根本的な価値観等の思想を吹き込んだとしたら――至極当然のこととして、そうならなければならないのだが――そのように育てたとしたら、トルコではただトルコ人だけが存在するとその子に教えたとしたら、他の民族集団について全く触れないとしたら、その子は突然気が付くことになるのです。なんと、トルコには27の民族集団がいるようだ・・・と。驚愕するでしょう。ナショナリズムの感情は野蛮で強硬なものになってはいけないのです。」
■アレヴィー派の人も「私はアレヴィーです」と言えるべき
「私は(ギリシャ系の住民の多い)ブュユクアダ(島)で育ちました。よそ者、と言われる人々の中で成長しました。私は暴力から遠い、寛容の文化の中で彼らと一緒に育ったのです。そしてそのとき既に、彼らにとっても、ここが祖国があることを理解しました。私たちはここを分け合っているのだと。ギリシャ人、アルメニア人たちと。アレヴィー派の人は、私はアレヴィーです、クルド人も、私はクルド人です、と言うことが出来ません。このような抑圧、このような構造の中でうまくいくわけがありません!」
■民族抑圧が起これば、平和は遠ざかる
「誰も、私たちにクルド人について触れませんでした。士官学校に入ると、クルド人もクルド語も禁止!クルド語を話すことはできるのでしょうか?彼らは自分がクルド人であることを言えないのです。アレヴィー派の人は、私はアレヴィーです、と言えません。クルド人が、私はクルド人です、と言えないのです。このような抑圧、このような構造の中で、うまくいくわけがありません。フィクレト・ビラ氏の著書の中に、私の考えを説明した箇所があります。その中では、『この問題を解禁することが必要である』と述べました。」
■彼らを受け入れなければ、失うことになるだろう
録音の声の主は、1年前にクルド語放送のテレビと、大学でクルド語文学部の開設を提案したことを明らかにした上で、「この地域において、これらの人々を他の方法で留めておくことはできないでしょう。さもなければ、失ってしまいます。すでに、私たちはそのような段階を過ぎてしまいました。皆がこれを理解してくれることを望みます」と述べている。
■イルケル・パシャへの発言
「イルケル・パシャ(バシュブー参謀総長)に、自分の立場をはっきりさせるようにと言いました。軍の立場は如何なるものなのでしょうか?軍の内規第15条の通りなのでしょうか?つまり、共和国の価値を護持するために闘争する軍なのか、または民主的な国家で、民主的な政府の軍としての立場を取るのか。そのどちらかです。日によって立場を変える、ヤシャル・ビュユクアヌト(元参謀総長)氏の最も大きな不幸はそれでした…。立場を明らかにしなさい、と彼に言います、それにそって行動しなさい、と。私が見た限り、氏は自分の立場をはっきりさせました。表に出ずに粛々と政府を誘導していくでしょう」
■将校たちへオスマン帝国史の講義を
元陸軍司令官のアイタチ・ヤルマン氏のものであると報じられる録音の声の主は、将校たちへ与えられる教育において、オスマン帝国の民族諸集団への対応を講義する必要があると説く。
「もしあなたが、トルコはトルコ人のものだ、国民はトルコ語を話せ、という旗印を掲げ表へ出れば、そのとき他の人たちを仲間外れにしたことになるでしょう。他の人たちとは誰か…クルド人、アラブ人、ラズ人、チェルケス人です」と語る録音の声の人物は以下のように続ける:
■全ての人を包含する認識
「(様々な民族的集団が存在する)この地域では、全ての人々を包含する認識が支配的にならなければいけません。それ以外に、この地域でやっていく(共生していく)方法はありません。これはまさにオスマン帝国のやり方です。(そこでは)特定の民族集団が優遇されることはありませんでした。例えば宗教、生活形態、服装、全て自由でした。オスマン帝国は500万平方キロメートルの土地を失いました。そしてそこにいた全ての民族集団がアナトリアの中へ集まったのです。つまり、全ての人が異なるところから来たのです…。この問題をこのように考えなければいけません。」
■オスマン帝国を強調
トルコはオスマン帝国、セルジューク朝と東ローマ帝国の遺産の上に建国されたと述べる録音の声は、以下のように述べる:
「あなたの将校、将軍たちへこれを教えるならば、そのとき彼らは世界を違った目で見ることでしょう。つまりこの土地を、豊かさをこのように考えることが必要なのです。民族構造でも地理構造でも、この土地をこのように考えれば、そしてこのように教えれば、将校も将軍も世の中の出来事を、世界を違った形で見るようになるのではないでしょうか?」
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( 翻訳者:西山愛実 )
( 記事ID:16240 )