エジプト情報局長官のイスラエル訪問、中東和平関連の動き
2009年04月24日付 al-Hayat 紙

■ マシュアル、英国議会で先例のない「遠隔」審問
■ 捕虜交換に動き、スライマーン、本件と停戦問題の切り離しを主張

2009年04月23日付アル=ハヤート紙(イギリス)HP1面

【カイロ、ニューヨーク、ナザレ:ジーハーン・アル=フサイニー、ラーギダ・ダルガーム(本紙)】


捕虜交換問題は、ゆっくりとではあるが確実に進展している。エジプトのウマル・スライマーン情報局長官による昨日のイスラエル訪問は、その指標の第一としてあげられる。これと平行して、英下院では、「ハマース」政治局長ハーリド・マシュアルの審問という先例のない、そして議論を呼びそうな動きが起きている。

昨夕の決定によれば、英国議会は、「ビデオ会議」の技術を使って「遠隔」審問を行う予定である。先月ダマスカスでマシュアルと会見した議員6名を召喚して行われるこのセッションの目的は、ハマースとの対話路線が和平合意達成に重要であるとの見方から離れつつある欧米に対し、説得の機会を同組織に与える事とされる。議会内の一室で行われるこの会合は、特に許可を必要とせず、議員に出席の義務はないとされる性質のものではあるが、四者委員会が定めるイスラエルの承認と暴力(的手段)の放棄を適用しない限り、英国を含む欧州はハマースを「テロ組織」とする立場を崩さないとの表明がなされている背景に鑑みると重要な動きである。


一方、捕虜問題が近く議題となる兆しとして、本紙が信頼するパレスチナ情報筋によれば、ガザのハマース指導部内で捕虜問題を担当するウサーマ・アル=マジーニーがダマスカス指導部との意見交換を重ねている。同筋によれば、スライマーン・エジプト情報局長は、イスラエル訪問に際し以下のメッセージを携えていた。

「休戦問題と捕虜交換を別々に扱うべきである」
「現在のガザの静けさは、先の戦争が原因ではなく、エジプトとパレスチナ各派との合意と相互理解の成果である」
「ガザの封鎖、通行点の閉鎖により再建がなされない状況が続けば、静けさは保証されない」


イスラエル側の動きとして、昨日ネタニヤフ首相は、火曜に辞任した捕虜問題担当官の後任として、イスラエル国内治安機関(シン・ベト)長官のユバール・ディスキーンを任命した。

スライマーン長官を迎えたイスラエルは、その政府が政治治安両面でワシントンとの衝突コースに乗っているのではとの不安感に包まれていた。特に、「ロード・マップ」実施担当官がクリントン国務長官への報告書の中で、イスラエルが「合意から撤退しようとしている」との懸念を示し、西岸での検問を廃止せずパレスチナ人の行動を妨げている、入植地の解体を行わないなどをその根拠にあげた後というタイミングも影響していた。米専門家たちは、これらの問題が解決されてこそ、具体的な進展につながり、オバマ大統領が和平プロセス活性化のために求めた「善意の行い」がなされたことになると見ている。

スライマーン長官がリーバーマン外相と会見したかどうかは不明であるが、同相は、ロシア人ジャーナリストによる2週間前のインタビューで、「アラブによる和平プランは危険で、イスラエルを滅ぼす処方箋のようなもの」と述べた件により物議をかもしている。昨日の縮小治安閣議でその件を問われたリーバーマンは、アラブ和平プラン全体を指してのことではないとしつつも、難民帰還に関わる条項については、「政府内で幅広い合意を得ている」と発言した。


他方、安保理議長国ロシアは、来月11日の会合に際し、和平プロセス推進のための閣僚会議開催の意向をメンバー国並びに関係方面へ通達した。

アラブ筋によれば、ロシアは、安保理会合と平行して閣僚級の「四者委員会」開催を働きかけている。同時にロシアは、この安保理会合声明草案に、二国家解決案実現に向け関係方面が交渉を再開するよう、国際的な圧力を高めるとの合意を盛り込みたい意向である。

ヨルダンのアブドッラー2世国王に続き、ワシントンが来月アッバース、ムバーラク両大統領との会見を控えている点を考慮すれば、次期安保理会合の重要性がうかがわれる。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:16276 )