イスラーム聖戦がイスラエルの軍事行動への反撃を明言、ハマースはガザ封鎖の解除に動かないアラブの弱腰を批判
2009年05月05日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ イスラーム聖戦、ロケット弾発射を再開すると威嚇
■ ハマースは包囲解除へのアラブの弱腰を非難

2009年05月05日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面

【ガザ:本紙アシュラフ・アル=ハウル】

 パレスチナの〔抵抗運動〕イスラーム聖戦は昨日月曜日、ガザ地区からイスラエルの町村に向けて発射されるいかなるロケット弾・迫撃砲にも反撃すると最近、イスラエルが威嚇したことを真剣に受け止め、イスラエルの軍事行動がエスカレートすれば反撃すると脅した。またハマースは昨日、ガザ地区の封鎖を解除することに対するアラブの「弱腰」を批判した。

 事情通らは、ガザに課せられている封鎖が継続されれば、イスラエル軍と抵抗勢力との間で新たな事態の激化が起こると予想する。

 イスラーム聖戦のリーダーの一人であるハーリド・アル=バトゥシュは記者会見で、「イスラーム聖戦とすべての抵抗運動グループは、イスラエルの脅しにも、ガザへの新たな攻撃にも手をこまねいてはいない。イスラエル領深くへのロケット弾や迫撃砲発射を再開することで、それに応えるだろう」と発表した。

 イスラエルの軍情報筋は「イスラエル軍は手をこまねくことなく、イスラエルに向けてガザから発射されるあらゆるロケット弾や迫撃砲に反撃するだろう。日曜日にラファハの国境線上の5つのトンネルを爆撃した決定は、イスラエル領内に向けて発射されたロケット弾と迫撃砲3発への報復として行われた」と述べていた。

 バトゥシュ氏は、自由や移住や通行所開放の権利を持たないパレスチナ人民には、自身に加えられている不正を抵抗という形で表現する権利がある、と述べ、「このイスラエルからの脅迫は今に始まったものではないが、我々はヨーロッパやアラブやイスラームの国々に、彼らの責任を自覚してこの脅迫に立ち向かうことを要求する。なぜならイスラエルは本気で脅しているのであり、数千人もの負傷者や死者を出したガザ攻撃と、その後に続いている爆撃が、イスラエルの傲慢さのよい証拠だ」と続けた。

 またバトゥシュ氏は、「ガザ封鎖に対して国際社会が黙認・沈黙している状況で、パレスチナ人民が彼らの権利を得ることが出来ない限り、この地域全体が闘争状態に置かれ続けることだろう」と述べた。

 一方でハマースは昨日月曜日、ガザ封鎖の解除に対するアラブの弱腰を批判し、「イスラエル国旗がアラブ諸国の首都に翻っている一方で、ガザ地区の封鎖が解除されないというのは正当化できない」との見解を示した。

 ハマースのファウジー・バルフーム報道官は記者発表で、「国際機関や人権団体によるあらゆる報告書が、ガザで犯されている人道に反する虐殺を確認しているにもかかわらず、150万人のガザ市民への封鎖が二年以上も前から継続しているというのは、なんら正当化できないことだ」と延べ、「彼らには決議を採択することが出来、圧力を加えるためのあらゆるカードを手にしているにもかかわらず、カタール、クウェート、エジプト、サウジなどで次々と開催されたアラブサミットが、封鎖解除に向けた有効で実際的な決議を採択しなかったことを我々はいぶかしく、受け入れがたいことだと考えている。もしアラブ側に決断力と意思が十分にあるならば、アメリカとイスラエルにはアラブ世界全体を罰することなど出来ないだろう」と続けた。

 さらにバルフーム報道官は「ガザ封鎖は他でもないイスラエルとアメリカによる決定だが、ガザ封鎖の解除は他でもないエジプトとアラブ諸国が決定することだ」として、「アラブ諸国の首脳や民衆は自分たちの責任をあらためて自覚して、ガザに課されている集団懲罰という政策と不正な封鎖を終結させるための力強く、効果的な決議や行動を取るべきだ」と求めた。そして、「ガザで我々の民が破壊にさらされ、封鎖のために緩慢な死を遂げつつあるというのに、イスラーム共同体(ウンマ)がそれを傍観し、アラブ首脳たちが犯されている犯罪に目をつぶって、まるで恥じらっているかのような言葉を発しているだけだとは、理解しがたいことだ。今のところアラブ諸国が公式に示している姿勢は、封鎖と破壊のためにガザで行われている人道に反する犯罪行為の規模にまったく釣り合っていない」と語った。

 他方、ファタハの軍事部門であるアル=アクサー殉教者軍団は昨日月曜日、ガザ地区南部、ハーン・ユーニス市東部のとある軍事ポストの近くで、イスラエル兵を狙撃したと発表した。同軍団は声明で、ハーン・ユーニス市東のキスフィーム付近で国境線の整備にあたっていた工兵部隊のイスラエル兵1名の狙撃に成功したと述べ、「この作戦はガザ地区を占領し、占領下にあるエルサレムをユダヤ化し、エルサレムで家屋の破壊を継続している犯罪行為に対する、当然の反撃として行われたものだ」と主張した。

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( 翻訳者:香取千晴 )
( 記事ID:16426 )