中央銀行総裁辞任騒動:公式筋は否定
2009年05月13日付 Jam-e Jam 紙

昨日、マフムード・バフマニー中央銀行総裁辞任をめぐる報道が、メディア関係者の間で飛び交った。しかし公式筋はほぼすべて、今回の辞任報道を否定している。

 本紙記者の報告によると、昨日正午あたりから一部のメディアで、第9政権成立以降3人目の中央銀行総裁に就任したバフマニー氏が総裁を辞任したとの情報が流れ、メディア関係者らは情報の真偽の確認に追われた。

 この情報の真実味がさらに増したのは、午後3時頃イラン労働通信が正式に、バフマニー総裁辞任の報道を伝えたときだった。この報道は、バフマニー総裁辞任の原因として、1.一部政府高官との対立、2.通貨信用評議会の会合が開かれないままとなっていること、3.外貨準備高から無節操に資金が引き出されていること、の三つの要因を挙げていた。

 しかしこの報道には、次のような理由から腑に落ちないところがあった。すなわち、バフマニー総裁は昨日、住宅資金調達会合に、そして一昨日にはイラン鉱工業優秀経営者会議に出席し、第9政権の経済運営を擁護する発言を行っていたからだ。会議での同総裁の発言やぶら下がりのインタビューでの口調からは、現状に対する不満や反抗的な姿勢などをかぎ取ることはできなかった。

 本紙記者は、辞任報道の真偽を確かめるべく、様々な筋に連絡を取った。本紙記者はまず、ホセイン・ガザーヴィー中央銀行総裁代行の携帯電話にショートメッセージを送った。すると同代行からは、次のような断定的な答えが返ってきた。「あり得ない!」。

 それからややしばらくして、イラン学生通信がセイエド・シャムソッディーン・ホセイニー経済財政相との短いインタビューを報じた。その中で同相は、バフマニー総裁辞任の報道を否定し、「今日も昨日も、われわれは総裁とともにいたが、そのようなことについて話はなかった」と言明、さらに「私が知る限り、そのような事実はない」と述べた。

 ゴラーム・ホセイン・エルハーム政府報道官も、次のように短くコメントした。「このような情報がどこからきたのか、見当もつかない‥‥」。

 本紙記者はさらに、中央銀行総裁事務所にも確認を試みた。事務所のある職員は、そのようなことは何も知らないと述べ、現在総裁と連絡が取れない状態であることを明らかにした。また中央銀行広報担当官の一人は、広報から総裁に質問状を送ったが、総裁と連絡がつかないため、質問への回答はいまだないと述べた。

 中央銀行の公式サイトにも、このことについて特に発表はなかった。他方、本紙記者はタフマーソブ・マザーヘリー中央銀行前総裁にも接触してみた。同氏は昨日午後、ある当局者と連絡を取りあった際にこの情報を耳にしたが、情報の真偽については何も知らないと述べた。

 その一方で、バフマニー総裁の携帯電話は不通のままで、マスコミ関係者らは同総裁に連絡が取れないままであった。

 最終的にバフマニー総裁は昨日午後、政府広報とのインタビューの中で、これ以上問題が広がりを見せることのないよう、総裁辞任の報道をきっぱりと否定する発言を行った。

 同総裁は一部メディアが報じた総裁辞任の情報を否定し、「当方は、《国民に奉仕する政府》〔アフマディーネジャード政権のスローガンの一つ〕での職務遂行に力強く邁進しているところだ。一部の政治勢力による〔現政権への〕中傷戦略の一環として、このような信頼性の低い偽情報が大統領選挙を目前に控えた時期に流れたのではないかと思われる」と語った。

 同総裁はさらに、「中央銀行は国の経済運営にきわめて影響力の大きい機関の一つだ。このような虚偽情報を流すことは、国の経済の安定を攻撃の標的にすることを意味する。中央銀行やその他政府機関で働く人民の下僕たちは、政府の掲げる目標を実現させ、望ましい経済状況を作り出すべく、まじめに努力を続けている」と述べた。

 バフマニー総裁はまた、一部のメディアがきちんとした検証を行うことなく、出所の不確かな情報を報じたことに、遺憾の意を表明した。

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:16446 )