ギュル大統領、シリア訪問―パレスチナ国内統一を訴える
2009年05月15日付 Yeni Safak 紙
ギュル大統領は、「トルコは、地域的問題に関して常に善意をもって対処しており、常に建設的だ。私はパレスチナで一刻も早く国内統一が得られることを望む。そうでなければ、パレスチナ問題の解決に、最も大きな害を与えることになるだろう」と述べた。
アブドゥッラー・ギュル大統領は、トルコが地域的問題に常に善意をもって対処しており、常に建設的であり、この方向で貢献していると述べた。ギュル大統領は、公式訪問が実現したシリアにおいて、バッシャール・アサド大統領と人民宮殿で、およそ3時間に及んだ二者会談と、代表団間の会談の後、共同記者会見を行った。シリアがトルコの「親友であり兄弟」であることを述べたギュル大統領は、2003年から今日まで、二国間の関係において「模範的な前進」が得られたと語った。
ギュル大統領は、「シリアはトルコにとって中東に開く、トルコはシリアにとってヨーロッパに開くドアである」と語り、二国があらゆる分野においてその関係を進展させなければならないと強調した。
トルコ・シリア間の年間貿易額は20億ドルに達していると説明したギュル大統領は、トルコの事業家らが、シリアでの投資意欲を毎年高めていると述べた。
ギュル大統領は、関係をより進展させることを、二国が、ともに最重要課題としていると述べた。ギュル大統領は、国民間の相互訪問の回数が近頃大きく増えていることに注目し、「二国の人々の利益に必要なものが何であれ、それらをより発展させるつもりだ」と述べた。
■「パレスチナを早急に解決しなくてはならない」
ギュル大統領は、アサド大統領との会見で、地域的、国際的問題にも触れたことを明らかにした。トルコがイラクの痛みを分かち合っていると述べたギュル大統領は、イラクの国土の一体性と、政治的統一をもたらす方向で、アサド大統領と見解が一致していると述べた。
ギュル大統領は、パレスチナ問題についても重きをおいて話し合ったと説明し、「パレスチナの正当な訴えを、結実させなくてはならない。これは、パレスチナの人々が自らの国家を建設する権利だ」と言った。ギュル大統領は、イスラエルと独立したパレスチナ国家が平和のうちに共生する環境は皆の願いであると述べ、世界が、諸問題の解決を対話と平和理解により見出し得ると考え始めたと語った。
■「利用するつもりはない」
新聞記者らの質問にも答えたギュル大統領は、シリアとイスラエル間の間接会見プロセスでトルコに示した信頼について、バッシャール・アサド大統領に謝意を述べた。
イスラエルのガザ攻撃後、トルコの態度が明確になったと述べ、将来、この地域でどのような役割を担うのかと質問したあるシリアの記者に、ギュル大統領は次にように答えた:
「トルコとして、我々は問題の解決に建設的な形で支援しようとしている。諸問題と取り組むとき、『トルコはこれらの問題に関わり、必要となればこれを利用しよう、これにつけこもう』などという目的はない。『建設的で善意ある形で問題を解決することに、我々は貢献できるだろうか』と思い、行動している。トルコは地域的問題において常に善意をもって対処しており、常に建設的で、この方向で貢献している。私は中東に関してのみ言っているのではない、より広い意味で述べている。平和になれば安全問題はなくなり、関係は発展し、繁栄するだろう。」
■分裂したパレスチナには誰も納得しない
ある新聞記者が、最近、アブドゥッラー・ヨルダン国王と、マフムード・アッバース・パレスチナ自治政府大統領がダマスカスを訪問したこと、パレスチナの指導者の一人、ハリト・メシャルもダマスカスで暮らしていることに言及し、会見でパレスチナ人の間の分裂が話題となったのかどうかと質問し、これについてギュル大統領は次のように述べた:
「会見で我々が最も話し合った問題のひとつは、パレスチナの統一だ。2つのパレスチナ国家は考えられない。ガザでハマスが選挙に勝利したとき、我々は善意から助言をした。ここ2年間、我々が正しかったことがはっきりした。今こそ、この統一が保障されなければならない。エジプトは、この方向で働きかけており、我々もそれを支援している。私はパレスチナで一刻も早い国家統一が得られることを望む。そうでなければ、パレスチナ問題は最大の被害をこうむることになる。これを何人も認めることはできない、パレスチナ国家が二つに分裂することに、誰も耐えられない。政治的闘争は、彼らの内部で行えばいい。統一への努力が、遅延なく結実することを私は信じる。新しいイスラエル政府も、反対者の発言を忘れ、分別をもって振舞うべきだ。」
ギュル大統領は、トルコーシリア間の経済協力に関する質問に答えながら、多くのことにおいて協力する可能性を探ったことを明らかにした。
国境貿易を簡易化する試みが行われていると述べたギュル大統領は、二国の私企業を、この方向で、最高レベルで優遇していると語った。ギュル大統領は、テヘラン・アンカラ・ダマスカスの三角で新しい経済協力圏がつくられるのかどうかという質問に対しては、イランがトルコの隣人であること、そして、あらゆる観点から近い関係の中にいることを述べた。
この間、トルコ・シリア間の開発開拓協力覚え書と、経済通商協力協定が調印された。
■「平和を望むが、我々の土地は諦めない」
バッシャール・アサド・シリア大統領は、シリア・イスラエルの間接的な平和会談に関する、近頃、紙上に出た報道を批判し、「これらの報道には根拠がない。しかし、トルコのさまざまな試みが成功を収めているということには、誰も疑いを持たないだろう」と述べた。
アブドゥッラー・ギュル大統領と共に共同記者会見を行ったアサド大統領は、「シリア・イスラエル間の問題に関して、信頼する国々と協力していること」を述べ、次のように語った:
「我々は他国と結果を分かち合うが、我々が信頼する、平和に貢献するだろう国々とのみ分かち合うのだ。誰一人として、我々にいくつかの問題を強制できない。我々は、私の親友である、敬愛するギュル大統領と、イスラエル・シリア間の間接的会談に関することでも話し合った。二者で、そして代表団間の会談と両方で、だ。もちろんこのプロセスにはアメリカも支援するだろう。(イスラエルも)。我々の話し相手が明らかになった後で、この問題についてお話しましょう。」
アサド大統領は、イスラエルと和平協定を結ぶ考えはあるものの、シリアには和平の条件があることを強調し、「我々は平和を望むが、しかし我々の土地を諦めることは不可能だ」と述べた。
■「パレスチナ人の間で和解が得られなければならない」
ギュル大統領と行った会談でパレスチナ問題も話し合われたことを述べたアサド大統領は、「パレスチナ人グループ間で和解が得られることが必要である」と述べた。
アサド大統領は、パレスチナ・イスラエル間の和平会談が始めることが重要であると述べ、「パレスチナ内での不和の解決が必要不可欠だ。最初のステップはパレスチナ・イスラエル間の和平会談が始まることであるが、しかし、それ以前にパレスチナ人の間の合意が達成されていることが必要だ」と述べた。
「パレスチナ・イスラエル和平交渉が展開が不首尾に終わった状況で、望まれる地点に達することはできない」と強調したアサド大統領は、「パレスチナ・イスラエルの交渉が成功裏に進展してはじめて地域における他の問題も、その解決に発展し得る」と話した。
ハマスの政治局長ハリド・メシャル氏がダマスカスに滞在していることを、誤解しない必要があると述べたアサド大統領は、「この状況が、シリアが中立でないという意味にはならないこと、対話をもたらす方向で努力していること」を語った。
アサド大統領は、イラクにおける国土の一体性の重要性を指摘し、イラク国民の間でも、協調を得ることが必要であると強調した。
■「ダマスカス・アンカラ・テヘラン協力」
アサド大統領は、シリア・トルコ・イラン間の協力に関する質問には、「ダマスカス・アンカラ・テヘラン間で相互協力がある。トルコ・シリア、そしてイランは同じ目的を持っている。この協力をほかの意味に解釈しようとするものもあるだろうが、それは勝手にすればいい」と答えた。
■「トルコの行ったことを、アラブの国はどこもしなかった」
トルコとシリアの関係が非常に良好であると言及したアサド大統領は、この協力の一層の発展のために努力していると述べた。アサド大統領は、トルコが、中東問題でその態度を明確な形で明らかにしたと述べ、「トルコは経済的問題だけでなく、共通の重要性を持つ諸問題においても、その態度をはっきりした形で明らかにした。パレスチナの人々に、ガザ攻撃の間、援助を差し伸べた。トルコは、このプロセスにおいて、アラブまたは他の国々が行わなかったことをしたのだ。トルコの熱心な努力により、平和の実現にむけての妥協を成立させるために貢献がなされた」と語った。
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( 翻訳者:林奈緒子 )
( 記事ID:16461 )