カイロのオバマ演説を各方面が歓迎、エジプトは行動の具体化を訴え
2009年06月06日付 Al-Ahram 紙
■ オバマ大統領、二国家設立のための困難な譲歩をイスラエルとパレスチナに要求
■ 「米政府は単独で平和を実現することはできない」「中東地域における核開発競争の回避は必須」
■ エジプト政府、オバマ大統領の考えを行動計画 に練り直し、関係各方面に義務付けるよう訴え
2009年06月06日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
【ドレスデン:諸通信社、ワシントン:アースィム・アブドゥルハーリク】
カイロ大学からイスラーム世界へ向けた歴史的演説を行った翌日、バラク・オバマ米大統領はイスラエル・パレスチナ双方に対し、地域和平と2国家樹立を実現するための困難な譲歩を要請し、今年中に和平プロセスに真摯な進展がある事に期待を寄せた。
オバマ大統領はドイツのドレスデンで開かれたアンゲラ・メルケル首相との共同記者会見で、米国は中東和平交渉再開に向けた適切な雰囲気を作り出したと述べた。また、米単独で平和を実現することも、平和を当事者らに押し付けることも出来ないが、対話再開のために誤解を取り除くよう努力すると語り、ドイツのような強力な同盟国に和平プロセス推進のための協力の手を差し伸べるよう要請したと指摘した。
続けてオバマ大統領は、パレスチナのマフムード・アッバース大統領 はある程度の進展を達成したものの十分ではないと述べ、また、西岸地区での入植地建設停止を米政府が要請したことで、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が受けることになった圧力に対し、理解を示した 。
一方メルケル首相はカイロでのオバマ大統領の演説を賞賛し、米新政権は和平プロセス再開に向けた千載一遇のチャンスを提供していると述べた。また首相はイスラーム世界に向けた演説は、和平プロセスにかかわる 諸問題を解決するために理想的な基礎を据えるものであると述べ、イスラエルの隣に持続可能な パレスチナ国家が存在できるようにしなければならないとして、ドイツも和平プロセスに参加することを明言した。
カイロでは外務省のフサーム・ザキー報道官が、オバマ大統領のエジプト訪問は重要かつ成功であったと評し、オバマ大統領の演説はアメリカとイスラーム世界との関係に新たな模範的状態を作り出すような、前向きのサインに富んでいたと述べた。また、地域に安定を実現するためにエジプトがアメリカとともに貢献できる分野はたくさんあるが、それは何よりもまず、オバマ大統領が自身の発言を現実の 行動計画に練り直し、それを採用して当事者、とりわけイスラエルに課すという意志 を示すかどうかにかかっていると指摘した。
また占領下エルサレムではあるイスラエル高官が、入植地建設停止を求めたオバマ大統領の演説にもかかわらず、イスラエル側のこの問題に関する立場に変化はないと明言した。そして、政府はイスラエル人口の自然増を吸収させるために、西岸地区における入植地の建設計画を着々と進めていると述べた。
一方ワシントンでは、ナンシー・ペロシ米下院議長が、イスラーム世界へ向けたオバマ大統領の演説は、イスラーム世界との新たな始まりについて極めて前向きに語ったことで、我々に誇りを感じさせたと述べた。また、アメリカ国内のイスラーム系、アラブ系、ユダヤ系の各団体もオバマ大統領の演説を歴史的演説であるとして歓迎し、同演説が言及した目標実現のための協力を支持者たちに呼びかけた。
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( 翻訳者:川上誠一 )
( 記事ID:16661 )