■ オバマ米大統領、カイロ大学での「劇的な」演説で、アラブ人およびイスラーム教徒に和解を呼びかけ
■ 「パレスチナ人は存在する権利をもつ」「マロン派教徒とコプト教徒は保護されなければならない」
2009年06月05日付アル=ナハール紙(レバノン)HP1面
【カイロ:ジャマール・ファフミー】
オバマ米大統領が昨日、カイロ大学からアラブ人とイスラーム教徒に向けて行った、和解の精神に満ちた「劇的な」演説は、カイロでの前例のない非常警備措置の重圧を緩和するものであった。
コーランの章句より5つの引用が添えられた55分間の演説の中でオバマ大統領は、アメリカ合衆国とアラブ民族およびイスラーム共同体の関係を損なってきた緊張や疑念の主要な原因全てに言及し、アフガニスタンやイラク、アラブ・イスラエル紛争、イラン核問題、民主主義、女性の権利から、特にレバノンのマロン派キリスト教徒とエジプトのコプト教徒に代表されるアラブ諸国の宗教的少数派の問題にまで話を向けた。また、イスラーム教スンナ派とシーア派の間で再燃している宗派抗争にも言及した。
オバマ大統領は、昨年100周年を迎えたカイロ大学の大講堂に押しかけた約2500人の賓客に対する演説の冒頭、「アッサラーム・アライクム」と聴衆にアラビア語で挨拶をした。イスラーム教を称賛し、人類の進歩へのイスラーム文明の貢献について詳しく話した後、オバマ政権にとっての優先順位を反映するかのような順序に従って7つの問題を取り上げた。
まずオバマ大統領は宗教的過激主義の問題を取り上げ、9.11事件とそれに続くアメリカのアフガニスタン攻撃に言及し、「アメリカはアフガニスタン駐留の継続を望まないし、同国に軍事基地を建設しようと企ててもいない」ことを強調した。
次にイラク問題に移り、「イラクの場合は状況が違う」と述べ、アフガニスタンへの攻撃が避けられなかった一方で、イラク戦争は様々の対立を引き起こしたと暗に認め、2012年にはイラクからアメリカ軍を完全に撤退させると繰り返し約束した。
そしてオバマ大統領は、アラブ・イスラエル紛争を3番目に持ってきた。この紛争を解決するための具体的な方策としては、従来からのアメリカの政策の不変の前提を固持し、「二国家共存案」に基づく解決の基礎として「ロードマップ」に依拠するなどの周知の一連のスローガンを掲げつつも、「パレスチナ人はイスラエルが生存する権利を認めなければならない」、「イスラエル人はパレスチナ人に生存権があり、それが否定できない権利であることを承認しなければならない」というような、従来のアメリカ政府の言説の中では馴染みのない表現を打ち出した。
(後略)
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( 翻訳者:青山沙枝 )
( 記事ID:16663 )