軍人を一般法廷で裁く道、開かれる―AKP提案、議会通過
2009年06月27日付 Radikal 紙

議会は、6月26日の深夜に可決した法により、軍人を一般法廷で裁く道を開いた。法によれば、軍人が犯した「憲法の規定する秩序に反する罪」と、「テロ」及び「犯罪組織」罪は、直接、特別な権限を持つ一般検察庁によって捜査される。

トルコ大国民議会で承認された「トルコ刑法といくつかの法における変更に関する法」により、軍事裁判の法的権限に重大な制限がもたらされた。変更によって、軍人が仲間内でクーデターを企てること、軍事政府や、政府に反抗する活動計画をたてるなどの罪における法的権限は、一般法廷に引き渡された。一般法廷に引き渡された法的権限は、進行中の捜査や裁判も包括することになる。更に、変更によって、民間人が犯したいくつかの罪が軍事裁判所で裁かれることも、完全に無くなる。

現行法では、軍人が民間人と協力する形で犯した罪を裁く法廷を、以下の基準によって指定している。
すなわち、犯した罪が軍事刑法に示されているものならば、裁判は軍事裁判所で行われる。罪が軍事刑法に示されていないものならば、裁判は一般法廷に引き渡される。エルゲネコン捜査における、軍人の何人かを一般検事が捜査していることも、この範囲で行われている。更に、軍人が軍の所管域で、民間人を含まずに軍人の間で犯した全ての罪は、軍事裁判所の管轄となっている。

■ 民間人は裁かれなくなる

昨日の真夜中に、軍事裁判所と全く関係ない、違法行為に関する法案に対して、AKPが提案した追加事項によって、以上の基準は変更された。まず最初に、刑事裁判法の第3条に以下の項目が加えられた。
「平和時に、軍人でない者が、軍事犯罪法やその他の法で示されている、軍事裁判所に裁判権が依存する罪を、一人で又は軍人と共同で犯した場合には、軍人でない者の捜査は共和国検察によって、取調べは簡易裁判所によって行われる。」
これにより、犯した罪が何であれ、民間人が軍事裁判所で裁かれることは、もう無くなる。こうして、トルコが欧州人権裁判所の裁判で何度も非難される原因であった、民間人の軍事裁判所での裁きも、終わりとなる。

■ 変化は小さく、目的は大きい

二つ目の重要な変更は、刑事裁判法の第250条第3項になされたものだ。この変更によって、この条の、「憲法裁判所と最高裁判所が裁く人々に関する判決と、戦争及び戒厳令下の状態を含めた(hâli dahil)軍事裁判所の権力に関する判決は機密である」という文の中の、「状態を含めた(hâli dahil)」の代わりに、「状態のときには、・・ならば(halinde)」という表現が用いられるようになった。つまり、見た目に何文字かの変更がなされたにすぎない。しかし、この小さく見える変更は、提案理由において以下のように説明されている。
「 軍人が、平和時に、第250条により設置された重罪裁判所の管轄に入る犯罪を犯した場合、それが、重罪裁判所によって裁かれることを目的として、この変更が提案された。これに対して、戦争及び戒厳令下で犯された罪については、軍事裁判所の司法の権限は守られている。」

■ 軍事政府計画

前述の第250条の範囲に入る罪はトルコ刑法で取り決められている。トルコ大国民議会で承認された取り決めによると、軍人によって軍の所管域で犯され、刑事裁判法の第250条の範囲に入る以下の罪は、今後一般法廷で調査され、特別な法的権限を持つ重罪裁判所が裁くことになる。

「国家の保安に反する罪、国家の統一性と国土の一体性を乱すこと、憲法の定める秩序とその秩序の遂行に反する罪、憲法違反、共和国大統領の暗殺や実際の攻撃、立法機関に反する罪、政府に反する罪、政府に対する武装反乱、武装組織化、組織に武器を提供すること、犯罪のための合意、政府の保安に関する情報を得ること、スパイ行為、国家の保安と政治的利益に関する情報を公開すること、機密情報を公開すること、国際スパイ行為、国家機密を悪用すること、公務員の義務に対する背信行為、禁止されている情報を得ること、禁止されている情報をスパイ目的で得ること、禁止されている情報を公開すること、禁止されている情報を政治的又は軍事的スパイ目的で公開すること、政府の保安に関する文書を所有すること」

■ クーデター計画も一般法廷へ

軍人が軍の所管域で完全に軍人とだけ共同で行った全てのクーデター計画や、行政とトルコ大国民議会の業務遂行を部分的に又は完全に阻止しようとすることも、この犯罪範囲に入る。つまり、今後おこりうる軍事政府やクーデター計画についても、捜査権力は一般法廷に置かれる。

■ この法はチチェキ大佐のためか

AKPは、この提案に、今回の変更が「進行中の捜査や裁判においても適用される」ことに関する項目を加えた。このため、「反動に対抗する行動計画」というタイトルの文書が理由で、軍事検察庁が不起訴の決定を下したドゥルスン・チチェキ大佐に対しても、新たな証拠が見つかった場合には、検察が直接捜査を実施することができる。

■チャルシュ氏:「業務は一般法廷に引き渡されている」

国防省の元法律顧問であるジャヴィト・チャルシュ氏は、ヴァタン紙に対し、変更に関するコメントを述べた中で、今まで、軍人が第250条に触れる罪を、ただ軍人の間だけで又、軍の所管域で犯した場合に、この罪を裁く場が軍事裁判所であったとのべ、「この変更によって、今後は、今述べたような場合にも業務は一般法廷へ移される」と言った。

■ 軍事裁判法も変更しなければならない

チャルシュ氏は、変更に伴って、軍事裁判規定法と刑事裁判法の間に、ある矛盾が生じていることも指摘し、次のように話した。
「基本原理に従えば、後で創設された法にそれ以前にあった法と矛盾する項目があるなら、旧法は間接的に効力を失ったことになる。しかしここでは、ただ新しい法と古い法という区別だけではなく、特別法と一般法という区別の問題もある。特別法と一般法におけるルールは以下のものである。すなわち、ある事項に関して、特別法と一般法とで異なる規定があるなら、特別法が適用される。軍事裁判に関する法は、刑事裁判法に比べれば特別な法である。この状況下で矛盾を取り除くためには、軍事裁判に関する法も変更しなければならない。でなければ、施行において混乱が生じかねない。」

■ 矛盾する規定

チャルシュ氏が指摘した「軍事裁判規定と裁判方法に関する法」には、刑事裁判法になされた変更と矛盾する規定が数多く見られる。同法の第9条には、「軍事裁判所は、(他の)法において例外規定がない場合には、軍人の軍事的な罪と、軍人が軍人に対して、軍の所管域で、又、軍事業務や任務に関して犯した罪に関する裁判を、行う場である」という項目がある。この条項の「(他の)法において例外規定がない場合には」という部分が、刑事裁判法における変更も含み、新たに変更された規定との間に矛盾は生じないと言う見方もある。更に、刑事裁判法における変更によって、民間人が軍事裁判所で裁かれることは完全に無くなったにも関わらず、軍事裁判所に関する法では、民間人がどのような場合に軍事裁判所で裁かれるのかということに関する詳細な規定が含まれている。

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( 翻訳者:津久井優 )
( 記事ID:16808 )