カーター米元大統領がガザ地区を訪問
2009年06月17日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ カーター氏、ガザ地区封鎖解除を要求
■ ハニーヤ氏、ハマースが6月4日境界線での国家樹立に合意と発表
2009年06月17日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HP1面
【ガザ:アシュラフ・アル=ハウル(本紙)】
アメリカのジミー・カーター元大統領は、ハマースの支配を受けているガザ地区到着直後の昨日火曜日、内部分裂を終結させるようパレスチナ人たちに要求し、パレスチナ・イスラエル間の紛争と暴力の連鎖の終結の必要性を強調した。そして、ガザ地区をめぐる国際社会とイスラエルの姿勢を「ガザ地区の住民は動物のように扱われている」と非難した。
ガザ地区訪問中、カーター氏は、ガザ地区でハマースが主導する「解任された内閣」のイスマーイール・ハニーヤ首相と会談した。ハニーヤ氏は会談直後、自らの政権が「67年6月4日時点の境界線に基づき、エルサレムを首都として完全な主権と諸権利を享受するパレスチナ独立国家を樹立することに合意した」と発表した。
ハニーヤ氏はカーター氏との共同記者会見で、「カーター氏とは多岐にわたる議論を交わした」と述べ、「67年6月4日境界線による解決を真に目指す計画が存在するのなら、我々はパレスチナ独立国家の樹立への動きを推進するつもりだ」と付け加えた。
また今回の訪問について「アメリカ政権に起きた変化」を受けて行われたものだと指摘し、「ハマースは、関心を持ってアメリカの政策における変化を見守ってきた」と述べた上で、ハマースはオバマ大統領が先日行った演説に「新しい論調と言葉遣いと精神」を見出したと指摘した。
ハニーヤ氏はまた、元アメリカ大統領に対して、封鎖措置によって住民が被っている苦痛について説明し、ハマースがパレスチナ人の内部分裂を終わらせたいと願っていることを強調したと述べた。また、「カーター氏がハマース幹部らと行った会談では、イスラエルとの捕虜交換の問題について取り上げられた」とも述べた。
一方でカーター氏は、ファタハ、ハマース双方の代表者と会談を行い、和解に向けた努力について議論したと述べ、「近い将来、パレスチナの諸勢力が合意に到達することを願っている」と付け加えた。また、中東訪問の成果について報告書をアメリカ政府に提出すると述べた。
カーター氏はまた、先日のイスラエルの対ガザ戦争で破壊が及んだ地域を視察する中での記者会見で、内部分裂を終結させ、復興作業を始めるために団結し、人々の苦難を終わらせ、平和を実現する必要性を強調し、「平和はパレスチナの団結を通じて実現される」と述べた。また、ファタハとハマースの激しい対立を批判して、「パレスチナ人が互いに争い、ヨルダン川西岸とガザ地区との間で逮捕行為の応酬が続いていると聞いて、残念に思う」と述べた。
攻撃の行われた地域を視察中、カーター氏は、「非常に衝撃を受けている。この破壊状況を見て、涙が落ちそうになる。起きたことについて、私に何かしらの責任があると感じている。全てのアメリカ人とイスラエル人も同じことを感じるべきだ」と述べ、戦争でイスラエルがガザ地区に残した傷跡について「ひどいことだ」と述べた。
アメリカン・スクールを訪問した際、カーター元アメリカ大統領は、「私が訪問しているのは、我が国が出資を行い、皆さんの子供たちに教える学校だ。しかし、我が国で製造されたF16型戦闘機が落とした爆弾によって、故意に学校が破壊されたことを私は目の当たりにした」と述べた。しかし、カーター氏は同時に、ガザ地区からイスラエル南部に向けて地元製のロケット弾を発射する行為についても非難した。そして、「全ての暴力行為を停止しなければならない」と述べ、ハマースに対して、「暴力行為に歯止めをかけ、調印された合意を尊重してイスラエルの生存権を承認し、ロケット弾発射を停止すること」を求めた。
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( 翻訳者:梶田知子 )
( 記事ID:16816 )