ムバーラク大統領がレバノン首相、EU代表と相次いで会談
2009年06月15日付 Al-Ahram 紙
■ ムバーラク大統領、レバノンのセニョーラ首相とレバノン情勢について、EU代表のソラナ氏と和平に向けた努力についてそれぞれ協議
■ セニョーラ首相:「新政府の組閣は“拒否” ではなく“参加”の原則に基づく」
■ ソラナ氏:「オバマ大統領のカイロ訪問によって 中東和平プロセスを推し進める前向きな雰囲気が生まれている」
2009年06月15日付アル・アハラーム紙(エジプト)HP1面
昨日、ホスニー・ムバーラク大統領はヘリオポリスの大統領官邸でレバノンのフアード・アル=セニョーラ首相と会談し、同様にEU共通外交・安全保障政策上級代表であるハビエル・ソラナ氏とも会談した。
会談のすぐ後でセニョーラ首相は、「今回のムバーラク大統領との協議では、レバノン選挙後の動きや目覚しい二国間関係が議題の筆頭に 上った」と発表した。ムバーラク大統領は「エジプトは常にレバノンとその独立・自由の側に立つ」とのレバノンの国民と大統領に向けた口頭のメッセージをセニョーラ首相に託した。
セニョーラ首相は自国の情勢について、「今回の選挙結果のうち最も重要なのは、“拒否権を持つ3分の1”〔=ヒズブッラー率いる反対派勢力が議決の拒否権を持つ3分の1以上の閣僚ポストを得るという前政府での合意のこと〕という試みが失敗だと証明されたことだ」と語った。またナビーフ・ビッリー氏が国会議長に再選されたことについては明確に意見を示すことを避けつつ、「過半数の票を獲得した多数派勢力は、レバノンの国益を念頭に置いた決定に到達できるまで、あらゆる与えられた要件 を検討 する」と述べ、目標はレバノン国民の融和を強化することと、真の民主主義の経験を保証すること、前進を実現して 議会が立法行為と政府活動の監視をより効果的に行えるようになることにあると説明した。
更にセニョーラ首相は「政治的利益を実現するためにいかなる形式であれ武力を用いることは誰にも許されない」と語り、次期政府は全員参加の挙国一致内閣となるであろうが、その原則は“参加”であって、“拒否の発動”ではないとの考えを示した。
一方、ヒズブッラーの武装やレバノンの国民融和成功のチャンスといったテーマについて合意があるかどうかという質問に、セニョーラ首相はこう答えた。「前政府は既に対話を始めていたし、新政府もレバノン大統領の呼びかけによる国民対話会議を招集する予定である。これによって互いの見解に大きな歩み寄りが生まれ、連携や対話、開放路線の強化に向けたレバノン方式の採択にもつながることだろう。それによってこれから組閣される新政府の活動が支えられて、国家が再びその役割を果たすようになり、完全な統治権と勢力とをレバノン全土に広げ、イスラエルが占領を続けているシャバア農場やガジャル村の北一帯を取り戻すことができ、さらには攻撃や領空・領海の侵犯をやめるようイスラエルに圧力をかけられるようになることを望む。これらは全て海外使節、最近ではアメリカのミッチェル中東特使と協議したことだ。そうした会談の際にレバノンは、イスラエルが安保理決議1701号を順守することの必要性を強調してきた」。
他方、エジプトのアフマド・アブルゲイト外相は、ハビエル・ソラナEU代表とムバーラク大統領の協議では、中東和平プロセスを推し進め平和に向けた活動に尽力しているエジプトの見解を検討したことを明らかにした。
ソラナ氏はムバーラク大統領との今回の協議を「きわめて建設的なものであった」とみなし、「アメリカのオバマ大統領のカイロ訪問によって中東和平プロセスのためにより良い環境を整える前向きな雰囲気が生まれている」と明言した。また、イランの核兵器所有をヨーロッパは拒否するとあらためて語り つつも、エネルギー生産についてはイランと協力する可能性があると示唆した。そして、「アメリカもこの問題に関してイランに提案 を行っており、二国間関係や協議に盛り込まれなければならない はずなのだが、イラン側からはいまだに返答がない」とも語った。
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( 翻訳者:神田春奈 )
( 記事ID:16837 )