ブルガリア総選挙、「トルコ人は人間のくず」発言の民族主義政党勝利
2009年07月06日付 Milliyet 紙

ブルガリアで行われた総選挙で、「トルコ人は人間のくず」と発言した首都ソフィアのボリソフ市長の率いる政党が、過半数に達した。ボリソフ市長は、連立政権の党首になると見られている。

ブルガリアで、議席数240名の議会の新議員を選出のための総選挙で、「トルコ人は悪人の元」と発言したソフィアのボイコ・ボリソフ市長率いる右派政党「欧州発展のためのブルガリア市民」(GERB)が大勝利を収めた。680万人の有権者のうち、60.2パーセントが投票した選挙の出口調査によると、「欧州発展のためのブルガリア市民」党は、得票率41パーセントで他党に対し予測以上の優勢を確保する一方、連立政権のリーダーである(BSP)は17パーセントの投票しか得られず、大きな失望を味わうこととなった。

大半がトルコ人からなる連立政権の一党「権利と自由運動」(HÖH)はというと、前回の総選挙で到達した得票率を概ね維持し、13パーセントの得票率で第三党に入った。極右の民族主義政党「ATAKA」の得票率は、前回と比較して1パーセント増加し、9パーセントであった。一方、トルコを敵視する「秩序・法・正義党」(RZS)も得票率4.6パーセントに達した。社会主義者らが党首を務める連立政権の第三党「祖国の独立と発展行動党」は、最低必要得票率の4パーセントを下回り、議会入り出来なかった。

■秤の針は右に移動

選挙の出口調査によると、国会議員を議会入りさせる権利を得た6つの党のうち4党が右派であることが注目を集めている。この状況で議会の240議席のうち163議席は右派政党が獲得したことになる。

この結果によると「欧州発展のためのブルガリア市民」党は、議会に117名の議員を選出する権利を得たが、単独政権を擁立するのに十分な得票率には届かなかった。
「欧州発展のためのブルガリア市民」党は、最低必要得票率の4パーセントを超えて議会で17議席を獲得した右派諸政党の「ブルー連合」と共同で連立政権を擁立させ、首相ポストを獲得する可能性が高いとみられている。

■「権利と自由運動」(HÖH)を攻撃

選挙速報が発表されたあと、「可能な限り早急に」新政権発足を約束したボリソフ市長は、社会党(BSP)党首であるセルゲイ・スタニシェフ首相と連立政権の一党である「権利と自由運動」(HÖH)のアフメト・ドアン党首に、これ以後政府として活動に口を出さないよう要求した。国の次期首相になるかどうかを問うた記者団に、ボリソフ市長は「その質問に“はい”以外の答えをすることは、国が困難に直面しているこの時期にあって、責任を放棄することに他なりません」と答えた。

ボリソフ市長は選挙運動の過程で、特に与党の連立政権が経済をうまく運営できなかったことや、汚職の撲滅が成功しなかったことを攻撃し、有権者の支持を得た。過去に彼は頻繁に、ブルガリア在住のトルコ人と「権利と自由運動」党に向けた声明を出している。ボリソフ氏は今年の2月、イギリスで行われた会議で、ブルガリアの最大の問題は国内に住むトルコ人やジプシー、退職者からなる「人間のくずたち」であると主張した。ボリソフ氏は昨年11月にも、(ブルガリア在住の)トルコ人の改名と、トルコへの強制移住を主張した。ブルガリアでは、1956年から1989年までの間、共産主義体制で首相を務めたトドル・ジフコフ氏が、1985年に国内に住むトルコ人に向けた包括的な「ブルガリア人化政策」を実行したことがある。

選挙に関連する政府の速報は今日、確定結果は一週間以内に明らかになると予想されている。

■「権利と自由運動」党ドアン党首:新政権に悲観的

ブルガリアで、党員の大半がトルコ人である「権利と自由運動」党のアフメト・ドアン党首は、昨日行われた選挙をうけて擁立される新政権の未来について、「悲観的」と述べた。

ドアン党首は、暫定結果発表の後に行われた最初の会見で、政府の一党として8年間連立政権の与党であった「権利と自由運動」が、選挙で大きな勝利をおさめたと述べた。ドアン氏は、選挙に勝利した「欧州発展のためのブルガリア市民」党の成功を祝福し、「新政権については悲観的です。しかし成功を祈ります」と語った。ブルガリアで55万票を獲得した「権利と自由運動」党については、この選挙によって政治的裾野を拡大することに成功したと述べた。

■トルコでも12万人が投票

トルコに住み、トルコとブルガリア両方の国籍をもつおよそ12万人も、トルコ国内の様々な地域に設置された123か所の投票所で投票した。トルコ在住の二重国籍をもつトルコ人たちの一部は、バスでブルガリア南東部のトルコ国境に近いクルジャル市にいく投票の便宜が計られた。ブルガリアの極右民族主義政党は、トルコで行われる投票や、二重国籍をもつトルコ人たちの、投票のためのブルガリア入国に反対していた。

欧州発展のためのブルガリア市民党(GERB)  115議席
ブルガリア社会党(BSP) 42議席
権利と自由運動党(HÖH) 35議席
ATAKA 21議席
ブルー連合 17議席
秩序・法・正義党(RZS)  10議席

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( 翻訳者:木村納菜 )
( 記事ID:16884 )