「首相に失礼」ヘビメタ・バンドの若者、21時間勾留の顛末
2009年07月25日付 Milliyet 紙

ユニロック・フェスティバルに参加した5人の若者が、首相の車列が通過した際に、「へヴィメタルファン」であることを示す指サインをしたとして拘留された。21時間尋問された若者は、警察に検挙されるとき、ディスコミュージックとトルコ伝統音楽を聴かせてもらったと話した。

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相が7月18日、車列で通過する間、ユニロック・フェスティバルでの「へヴィメタルファン」の指サインをして車列を見送った5人の若者が、「政府高官への不敬」罪で検挙されたことが明らかになった。ルファト・エムラ・アルトゥンヤー、ユスフ・シェングル、ムラト・ウールル、イルファン・ソゼルとイディル・テキンは21時間、警察署に拘束されたという。エルドアン首相は先週の木曜日、イスタンブルのコンベンションバレー建設広場を視察した後、マチュカで嫌な場面に遭遇したことを公言し、翌日のアンカラ県会議において、「若者の一部に見られる、品性を落とすような、こうした風潮が私たちを悩ませている」と述べた。首相がこの苦言を呈する1日前、(首相が)通った道路にいた若者5人が検挙されたことが明らかとなった。

■指示は警護兵から

エルドアン首相の警護兵の指示により検挙された女性一人を含む5人の若者は、ハルビエ警察本部で21時間拘留された後、シシュリ共和国検察局で釈放された。
ユスフ・シェングル(28)とインターネットプランナーのムラト・ウールル(30)は、事件の日の一部始終を逮捕された公園でミッリエト紙に語った。
ユスフ・シェングルは、ムラト・ウールルとともに一年間待ち続けたドイツのグループのコンサートのためにマチュカに行ったことを明らかにし、次のように続けた。「私たちは正午頃に場所を確保するため、コンサート会場のゲートに集まった。ビールの缶を手に腰をおろして待っていた。ロックシンガーが歌う一方、音楽に合わせて頭をゆらし、手の指で、へヴィメタルファンの指サインをした。この間、道路を車列が通過するのが見えた。しかし、誰が通過したのか、私たち全員知らなかった。車列の中の一台の車窓から頭を出した人物が、『何をしているのか?』と大声で叫んだ。
私たちは手の指を上下に振り続けた。5分後、サングラスをかけ、黒い背広の男が警察を引き連れて近づいてきた。彼らが手で示した車へ、力ずくで乗せられた。『なぜ、逮捕するのか?』と訊くと、『警察へ連行する』と答えた」。
若者は、「公共の場所で、アルコールを飲んだこと」で拘留されたと考えており、警察署で「イディル」という名前の女性の友人は別の場所へ連れて行かれたと話した。ユスフ・シェングルは、「公式には『政府高官への不敬』罪が適用されたようだ。私は笑いがこみ上げた。なぜなら、私たちはヘヴィメタルファンの指サインをしただけだったからだ。私が不敬をはたらいたという人物には、会ったことさえない」と述べた。

■「おまえたちにヘヴィメタルを聴かせてやる」

シェングルは以下のように続けた。
「法医学センターへ送られた。そこでアルコール検査のため一人あたり10トルコリラ(日本円約640円)を要求された。お金がないことを話すと、ムラトと私の分の料金は、警察が支払った。他のものたちの料金も同様だった。再度、警察に送られたとき、車の中で警察は、『おまえたちはヘヴィメタルファンだから、お前たちにヘヴィメタルを聞かせてやる』といって、ディスコ音楽をかけた」。
シェングルは、イディルも逮捕された時、トルコ伝統的音楽を聴かせてもらったと話していたという。
シェングルは、シシュリ裁判所で、担当検察局につれていかれ、約1時間の手続きが終わるのを待った後に検察局に入ったと説明して、以下のように語った。「我々全員がひとりずつ検察官の前に連れてこられた。検察官はまず我々に政治的見解を質問した。私たちは、左翼であり、共和人民党(CHP)へ投票していると話した。彼も、君たちが『首相』へ抗議する権利はある。しかし、こうしたことにも合法的なやり方というものがあるのだ」と述べた。その後、『よろしい、あなた方を釈放しよう』と話した。その後、私たちは外に出た。私たちは、一時間ほど裁判所で待機した後、手錠を外してもらってから、その場を後にした」。

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( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:17033 )