情報相と文化イスラーム指導相が解任:第9期政権、合法性を失う
2009年07月27日付 E'temad-e Melli 紙
【政治部】マフムード・アフマディーネジャード大統領によって次々と閣僚らが解任されたことで、イラン・イスラーム共和国体制樹立から30年間で初めて、10人以上の閣僚が交替になるという事態を迎えた。憲法第136条によれば、半数の閣僚が交替になった場合、大統領は改めて国会から内閣の信任を受けなければならないことになっている。
昨日、マフムード・アフマディーネジャード大統領は文化イスラーム指導相及び情報相の二閣僚を解任、第9期政権を構成する21人の閣僚中、これまでに計12人の閣僚が解任された計算になる。これにより、現在第9期政権は法的正統性のない状態になり、改めて国会から信任を受けなければならなくなった。
〔※今回解任された2人を除いて、これまでに解任・辞任・死去などの理由により交替となった、国会の信任を受ける必要のある閣僚は以下の通り。
コルダーン内相、
ラフマティー道路運輸相、
プールモハンマディー内相、
ダーネシュ=ジャアファリー経済財政相、
ファルシーディー教育相、
タフマーソビー鉱工業相、ヴァズィーリー=ハーマーネ石油相、
キャリーミーラード司法相、
ナーゼミー=アルダカーニー協同組合相、
カーゼミー福祉相。なお別の報道によると、大統領府は文化イスラーム指導相の解任を否定したが、同相は自ら辞表を提出し、その中で大統領から口頭で解任を申し渡されたものの、憲法の規定を回避するために大統領が解任を撤回したことを明らかにしている。第9期政権はあと8日で任期を終える。〕
このような中、テヘラン選出のアフマド・タヴァッコリー国会議員は、「閣僚らを解任するアフマディーネジャードの行動には、合理的説明が全く存在しない。国を困難な状況に置いているだけだ」と批判する。同議員はその上で、憲法第136条は緊急に対策を打つよう定めており、代わりとなる閣僚の推薦に遅れが生じるようなことがあってはならないと指摘している。
テヘラン選出のモハンマド・レザー・バーホナル議員も、〔次期政権発足のための〕大統領の署名・認証式が終わり、国会による新閣僚の信任が済むまで、閣議には合法性がないと強調している。
その一方で、一部からはバーゲリー=ランキャラーニー保健相及びモハンマド・ジャフロミー労働相も解任寸前の状態に置かれているとの情報も伝えられている。
モハンマド・ジャフロミー労働相はこれより前、すでに新政権ではマフムード・アフマディーネジャードに協力することはないだろうとし、司法権に活動の舞台を移す意向を示していた。またサッファール=ハランディー文化イスラーム指導相も、次期政権にとどまることはないかもしれないと暗に指摘し、神に次の文化イスラーム指導相の成功を祈る発言を行っていた。ハミード・レザー・ラサーイー(テヘラン選出)などの一部の急進的な国会議員が、次期政権で文化イスラーム指導相のイスを狙っている模様だ。なお、同議員はゴムの司法機関に「ファイル」がある〔=刑事事件の容疑者としてリストアップされている、ないしは民事裁判の被告として訴えられている〕とも言われている。
アフマディーネジャードがラヒーム=マシャーイーを第一副大統領に任命し、同氏の解任を求める最高指導者の見解を無視したことに対して、これらの閣僚が抗議したことが、彼らの解任理由の一つだと言われている。
約10日前、最高指導者はマフムード・アフマディーネジャード大統領にロウで封をした非公開の書簡を送り、ラヒーム=マシャーイー解任を求めた。この書簡の存在については、はじめモハンマド・ハサン・アブートラービー=ファルド国会副議長が明らかにし、その後マシャーイー任命に反発する原理派の国会議員や政治関係者らが相次いで指摘していた。
しかしアフマディーネジャードがこの書簡に対して不服従の態度を示し、さらにエスファンディヤール・ラヒーム=マシャーイーを議長とする閣議を開いたことから、ゴラーム・ホセイン・モフセニー=エジェイー情報相、モハンマド・ホセイン・サッファール=ハランディー文化イスラーム指導相、カームラーン・バーゲリー=ランキャラーニー保健相、そしてモハンマド・ジャフロミー労働相らが反発、抗議のためにマシャーイー主宰の閣議をボイコットする事態に発展していた。
その一方で、メフル通信はある情報筋の話として、エジェイーが解任された理由として、マシャーイーをめぐって同氏がアフマディーネジャードと激しく口論したことを挙げている。
そして昨日ついに、マフムード・アフマディーネジャード大統領は不満を抱くこれら閣僚4名のうち2名を解任した。バスィージ抵抗部隊総司令官の
ホッジャトルエスラーム・モハンマド・ホセイン・ターエブが情報相に就任するのではないかと言われている。
誰が情報相になるかについては、革命後のすべての政権で、最高指導者の見解に沿って決めることが常であった。つまり、それまで司法権を自らの活動の舞台としてきたゴラーム・ホセイン・モフセニー=エジェイーが司法権を去り、情報相として政権の一翼を担うようになったのは、最高指導者の見解・同意があってのことだった。
エジェイーはここ最近、〔ジャーナリストや政治関係者らの〕拘束問題をはじめとする選挙後の諸々の出来事が原因で、様々な政治集団や関係者らからプレッシャーを受けていた。この間、様々な人物が同氏と話し合いを行い、最近の事件で投獄された人々に対する取り調べをスピードアップさせ、彼らを速やかに釈放するよう求めていた。
最新の例で言えば、メフディー・キャッルービーはエジェイー情報相に宛てた書簡の中で、同氏の個人的権限を積極的に活用して、投獄された人たちの釈放に動くよう求めるなどしていた。このような努力にも拘わらず、選挙後拘束されたジャーナリストや政治関係者、社会活動家たちはいまだ誰一人として釈放されていない。
昨日、一部の国会議員の間では、エジェイー情報相の問責が噂されていた。しかし、エジェイーは改革派からのみプレッシャーを受けていたわけではなかった。アフマディーネジャードを支持する一部の急進派は、投獄された人々から得られた「告白」を〔国営放送を通じて〕放送するよう命ずるべきだとして、エジェイーに圧力をかけていたのである。エジェイーはしかし、最後までこの圧力に抵抗していた。このようなアフマディーネジャードとその支持者たちの要求に従おうとしなかったことが、エジェイー解任の理由の一つになったとの見方も一部にはある。
他方、〔‥‥〕モハンマド・ホセイン・サッファール=ハランディーの解任を伝えた昨日のファールス通信の緊急ニュースによると、新しい文化イスラーム指導相代行としてハージェ・ピーリーが指名されたという。サッファール=ハランディーは4年前、ケイハーン紙の編集長として、マフムード・アフマディーネジャードに最大限の支持を与えた人物である。しかし同氏が文化イスラーム指導相に就任するや、その公平な態度が原因で、アフマディーネジャードの一部の顧問たちと対立するようになる。
アフマディーネジャードは閣僚の横に、補佐官として〔自らに近い〕人物を配置する手法を好んだ。このやり方は、彼らの間に対立や軋轢を当然のように生んだ。アフマディーネジャードは鉱工業相の横に補佐官のメフルダード・バズルパーシュを置いたし、文化イスラーム指導相の横には同じく補佐官の
シャムガドリーを任命した。〔プールモハンマディー元〕内相の横には、サーデグ・マフスーリー〔現内相〕を置き、〔ファルシーディー元〕教育相の横には古くからの友人であるアリー・アフマディー〔現教育相〕を起用した。
このように、〔大統領の〕強力な顧問たちの影のもとにいたアフマディーネジャード政権の閣僚たちは十分な仕事ができず、しばらくすると様々な対立が噴出していった。そして様々な閣僚らが去り、補佐官たちがさらに力を付けていったのである。
アフマディーネジャードはサッファール=ハランディー文化イスラーム指導相の横に、3人の文化・芸術担当補佐官を配置した。アリー・アクバル・ジャヴァーンフェクルと
メフディー・キャルホルの二人がメディア担当補佐官に、ジャヴァード・シャムガドリーが芸術担当補佐官に就いた。サッファール=ハランディーとシャムガドリーの対立は、政権成立直後から始まった。サッファール=ハランディーは当初、イラン国営通信(IRNA)の代表に就任した
ハーデモルメッレとも衝突を余儀なくされた。最終的に、同相は彼の解任には成功したが、しかし今回バハーレスターンにある文化イスラーム指導省のビルを去らねばならなくなったのは、サッファール=ハランディーの方だった。読書や文化・芸術を愛する人々からは、この4年間、様々な批判・抗議の波がサッファール=ハランディーのもとに押し寄せたが、そのような中で文化イスラーム指導相としての同氏のキャリアは終わりを迎えたのである。
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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:17046 )