ロシアとトルコ、エネルギー問題で合意―プーチン露首相とベルルスコーニ伊首相、来土
2009年08月06日付 Radikal 紙


タイイプ・エルドアン首相とロシアのヴラジーミル・プーチン首相、イタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ首相が参加し実現したエネルギー問題についての首脳会議において、チャルク・ホールディングが閣議決定によってサムスン-ジェイハン間に建設することになった石油パイプラインに、ロシアが石油の供給を約束したことが発表された。ロシアと共同し、トルコがロシアのサウス・ストリーム計画とブルー・ストリーム2計画に参加すると述べたプーチン首相は、同時に原子力発電所の入札についてはロシアとトルコの共同企業が獲得し、原子力発電所の建設にも取り掛かるとのべた。

レジェプ・タイイプ・エルドアン首相はプーチン首相とベルルスコーニ首相をアンカラでもてなした。プーチン首相はアンカラに朝到着し、まずエルドアン首相と二者会談をおこなった。次に、二国のリーダーは一緒の食卓についた。訪問団との会合の後、午後にアンカラに到着したベルルスコーニ首相も首脳会談に加わった。ベルルスコーニ首相は両国首脳の調印式に同席した。

■エネルギー分野において3者の足並みがそろう

エルドアン首相は二カ国間の協定、プロトコル、協議議事録と今後の行動計画を含む12の文章の調印式典において以下のように述べた:

「我々の友であり隣人であるロシア連邦首相と、価値ある友人イタリアのベルルスコーニ首相をもてなすことができ、大変光栄です。プーチン首相とは長時間にわたる、実りのある、有意義な会合を行うことができました。ロシアとの相互理解に基づき、日々発展する関係をさらに向上させることは、トルコ外交の重要な目的のひとつです。私たちの外国貿易規模は400億ドルに達しています。トルコはロシアの第五位、ロシアはトルコの第一位の貿易相手国です。
 もうひとつの重要な話題は、エネルギーに関する問題です。これは二国間関係のもっとも重要かつ、具体的な要素のひとつです。戦略的理由から特に重要性を帯びています。エネルギーに関する二国間関係が、相互理解に基づき存続することを望んでいます。天然ガス、石油、原子力エネルギーの3つの分野で、それぞれの計画をたてました。現在続いているパートナーシップですでに実現していることを、これからさらに豊かにしていく所存です。」

■年に一回会う

エルドアン首相は、二国が現在の世界の政治問題に対し、似通った立場をとっていると指摘し、多面的な戦略的協働を調整するため、政府間レベルでの交渉プロセスを開始することにしたと述べた。エルドアン首相とプーチン首相が共同議長となる会議が、最初に2010年年頭にロシアで開かれるとし、「一年に一回の首脳会議と、担当大臣との会合をもちます。それに先立ち、関係閣僚は一年に2回か3回会談し、関係促進をすすめておく予定です」と述べた。

■トルコ・ロシア大学の設立を望む

エルドアン首相は二国間関係の発展からロシア語を得意とするトルコ人の若者への必要性が産まれている、とのべ、「(ロシア語で教育する)トルコ・ロシア高校とトルコ・ロシア大学の設立を提案しました。賛成をいただいたので、この件について一歩を踏み出すつもりです」と話した。

■サムスン-ジェイハン計画への感謝

エルドアン首相は記者会見において、ブルー・ストリーム天然ガス・ラインとサムスン-ジェイハン石油パイプライン計画における貢献と協力ゆえに、イタリアのベルルスコーニ首相を壇上に招き、感謝した。サムスン-ジェイハン石油パイプライン計画にロシアが参加することが重要であるとするエルドアン首相は「このように、サムスン-ジェイハンパイプラインについては、トルコ、イタリア、ロシア連邦が連携しています。トルコの海峡における(石油輸送の)付加も軽くなるでしょう」と話した。

■原子力発電所の入札結果は、プーチン首相から発表

エネルギー分野での協力の範囲の拡大について会見で話したとするプーチン首相は、サウス・ストリーム計画とブルー・ストリーム計画、さらに原子力発電所の建設で、連携を推進する役割を果たすと強調した。非常に大規模なインフラ整備計画を、トルコと共に実現させることができることを全世界へ示したと話すプーチン首相は、「今日はイタリアの人々のためにもよい日でしょう。広範囲の連携で合意しました。カスピ海で新しく発見された石油の埋蔵も考慮し、サムスン- ジェイハン石油パイプライン計画がとても現実的で魅力を感じたため、これに参加することを決定しました」と述べた。

記者会見では、原子力発電所の入札結果については ロシアのプーチン首相から発表された。プーチン首相は「原子力エネルギーに関し、トルコ-ロシアのコンソーシアムが入札を獲得し、発電所の建設をはじめることになったことは私たちにとって名誉なことだ」と話した。原子力発電所についての連携の詳細を質問した新聞記者へ返答したプーチン首相は、「装置の費用、原子力発電所での発電経費と設備経費は、アメリカのウェスティンハウス社の計画のような、似たプロジェクトと比べて半分の予算で行われます。しかし更に予算を削減する可能性があるなら、ロシア側は、トルコのパートナーと検討する予定です」と話した。

■プーチンは目標に達成した

ロシアの世論は、プーチン首相の訪問によって最も重要な二つの問題の達成に注目していた。一つは、原子力発電所の入札の獲得、他方はサウス・ストリーム計画に関し、トルコが黒海沿岸の共同経済圏の利用を許可するかどうかだった。至った合意によってプーチン首相は、二つの問題で目標を達成した。プーチン首相はブルー・ストリーム2計画についても トルコから具体的な約束を得た。

■ベルルスコーニは仲介役

プーチン首相とエルドアン首相の友人であるベルルスコーニ首相はトルコには仲介役のために訪問したことを述べた。イタリア報道陣は、今回の会談の結果、エルドアン首相とプーチン首相が全ての問題において合意に達したのは、仲介役のベルルスコーニ首相の成功であると報じた。イタリア首相の公式HPで発表された内容によると、アンカラで締結されたプロジェクトのなかで、最も重要な役割を演じる会社はイタリアのENI社であるとし、以下のように伝えた:

「ENI社が最も重要なパートナーとなっているサウス・ストリーム天然ガスパイプラインにトルコも参加することは、黒海で、トルコ水域を通って石油の移送が行われることを保障する。これは、ソチ会議以来、ヨーロッパのエネルギー供給をより確実なものとするために、新しいインフラ整備を最も短時間で完成させることに努力した首相の個人的な成功である。サムスン-ジェイハン石油パイプ ラインの実現に関した合意は、キージ宮(=イタリア首相官邸)の仲介の成功の証しである。トルコを通る予定のこのパイプラインは、カスピ海から地中海への石油の供給を可能にする。イタリア政府の支援も得ているこの計画においてENI社は最も重要な会社の位置にある。」

■ガスプロム社、トルコのジェイハンで液化天然ガス・ターミナル建設

アクサ天然ガス株式会社のジェミル・カザンジュ取締役社長は、同社とガスプロム社との間のプロトコルに、本日、締結したことを発表し、「天然ガス輸入においてガスプロム社から直接ガスを輸入します」と述べた。カザンジュ氏はプロトコルの枠組みに従い、イスタンブルとアンカラの天然ガス配給施設の民営化の入札に、ガスプロム社と共に行動し、共同で入札に参加する予定であると述べた。ジェイハンに共同で液化天然ガス施設を建設することを述べたカザンジュ氏は、プロトコルの内容に関して以下の説明を行った。

「ガスプロム社と今日プロトコルの調印を行いました。これにより、トルコの必要に応じてガスプロム社から直接ガスを輸入いたします。ガスプロム社とアクサ社の間にガスの自由化が達成されれば、ガス輸入を共同で行います。民営化されるアンカラとイスタンブルの天然ガスの配給会社の民営化の入札にも共同で参加します。」

■エネルギーで4つの協力

トルコとロシアの間に締結された合意の最も重要なものはエネルギー分野関係であった。二国間で合意された計画は以下のようである。

1)石油に関する協力関係構築の合意。トルコの目標である地中海-紅海計画の観点から大きな重要性を含むサムスン-ジェイハン石油パイプラインに、ロシアが石油を供給する件に関し、重要な一歩が踏み出された。計画の実行に伴い、カザフスタンやロシアで産出されている石油がサムスン-ジェイハン石油パイプラインによってジェイハン港に輸送されることが可能となる。これによりジェイハンは国際的な石油センターとなることになる。

2)天然ガス協力プロトコルによって、トルコとロシアは、ブルー・ストリーム2天然ガスパイプライン建設に関し、合意に達した。このパイプラインは、イスラエルがロシアから購入する予定の天然ガスを、黒海の海底からサムスンへ、そこからジェイハンへ運輸することを可能にする。トルコはブルー・ストリーム2計画により、将来、ロシアの天然ガスがナブッコ・パイプラインに接続される可能性がうまれるものと目論んでいる。

3)チャルク・ホールディングとアクサ社がロシアの会社と結んだ契約により、トルコと共同で、ジェイハンに石油精製と液化天然ガスターミナルの建設が計画されている。精製工場をチャルク・ホールディング、液化天然ガスターミナルはアクサ社が建設する。ロシアの天然ガスの液化貯蔵と、石油精製のおかげで石油製品の輸出の増加が可能となる。トルコはこれにより、ジェイハン・ターミナルがアムステルダムやニューヨークのように石油と天然ガス市場に不可欠な港のひとつとなることを望んでいる。

4)トルコは、ロシアからジェイハンへ来る石油と天然ガスをミッド・ストリーム計画によりイスラエルへ移送する上でも仲介者となる。この計画により、イスラエルは、ロシアから石油と天然ガスを得ることになる。サムスン-ジェイハンパイプラインはこの計画にとっても鍵となっている。イタリアのEMI社とパートナー シップ契約を結んだチャルク・ホールディングは、可能性調査を実施し、実現可能なレベルにひきあげた。

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( 翻訳者:近岡由紀 )
( 記事ID:17129 )