コラム:ガザ支援活動家に対するエジプトの判決
2009年08月07日付 al-Quds al-Arabi 紙
■ エジプトでは貴人が拘留される
■ クドゥスの見方
2009年08月07日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPコラム面
活動を停止させられている労働党書記長マグディー・フサイン氏に対し、エジプト軍事控訴法廷は、2年間の拘留並びに5000エジプト・ポンド(900ドル)の罰金という以前の判決を支持した。同氏の容疑は、今年初めに違法にガザへ入ったことである。この判決は、エジプト政府の抑圧的心性を裏付けるさらなる証拠となった。
元々、判決を下し更にそれを確定したのが、合法とはいえない非常事態法にその正当性をゆだねる軍事法廷である。この法律は、民主主義の原則、公正さ、司法の独立といった価値観に明らかに反する。
マグディー・フサイン氏は、イスラエルの暴虐的攻撃にさらされているガザの人々と連帯すべくその地へ行こうと決意しただけで、エジプトの治安を脅かしたわけではない。イスラエルの攻撃は、ガザ住民に食料、医薬品へのアクセスを許さない抑圧的封鎖の後に行われ、イスラエルのあからさまな指示に従いエジプト政府はそれに加担していた。
フサイン氏の行いは、エジプト民族の源泉たる国民的良心に従い、ガザ同胞が直面する問題に公正さをもたらしたいとの一心からきたものだ。もし機会さえ与えられれば、エジプト人口8000万がフサイン氏と同じことをするだろうといっても大げさではないだろう。
実際にエジプトの治安を脅かしているのは、シャルム・シェイフのリゾートに群れ集うイスラエル指導部の人間たちだ。それをエジプト政府は赤じゅうたんで迎え、先のガザ攻撃でその両手を血に染めているエフード・バラクにぺこぺこしている。
マグディー・フサイン氏は、数回ガザ行を試みているが、エジプト治安軍に妨げられ、この国民的義務を果たしえなかった。彼らは、エジプト国民が封鎖下の同胞と連帯すべく組織した人道・医療支援物資輸送隊も通さなかった。そういうわけでフサイン氏は、自らの生命を危機にさらしつつ、ラファハのトンネルを通ってあちら側へ侵入するしかなかったのだ。
被告人席に立つべきはエジプト政府である。自国民が人道的国民的任務のために出国するのを妨げたから、というわけではない。エジプトは、アラブ・ムスリムの隣人たちに対し国境を閉ざしたのだ。その隣人はといえば、土地を占領され食料も薬も禁じられているというのに、エジプト政府は彼らが野蛮な攻撃にさらされても沈黙していた。
病床にあるマグディー・フサイン氏は、ガザへ侵入したために罰せられるのではない。彼は、エジプトの体制に反対し、その体制が受け継がれていくのを妨げようとしたために刑罰を受けるのだ。マグディー氏は、服従の姿勢を覆し、抑圧的エジプト体制と、国がどっぷり漬かっている恐ろしい腐敗に対し真っ向から声を上げた「キファーヤ(enough、もう沢山、の意)」運動の立役者の一人であった。
エジプトの治安を乱したと公に断罪されたイスラエルのスパイ、アッザーム・アッザームは、刑期を半分終えたとの事で大統領恩赦を受け出獄した。残念なことにエジプト国民マグディー・フサイン氏が恩赦にあずかることはないだろう。
マグディー・フサインを拘留し続けることにより、エジプト政府は、ガザ住民に対して犯した自らの罪を証明していることになる。そして、今この瞬間も封鎖下で飢える人々に、同情を示す者は誰でも罰する、つまりその罪を犯し続けるという政府の意向を証明している。
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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:17131 )