パッシブ・ディフェンス機構長官「サイバー上の脅威への対策が急務」
2009年08月06日付 E'temad-e Melli 紙
「国家パッシブ・ディフェンス機構」長官は、サイバー上の脅威を取り除くことも同機構が立てている計画の一つであるとした上で、「今年度、われわれはサイバー空間での脅威の除去を自らの課題としてきた」と語った。
〔※訳注:「国家パッシブ・ディフェンス機構」のウェブページの解説によると、「パッシブ・ディフェンス」とは、敵による敵対的・破壊的行為を非軍事的な手段で阻止、ないしは緩和するために構築された防衛システムのこと。「アクティブ」な防衛システムでは、国の軍事部門が武器による国防を担うが、「パッシブ」な防衛システムでは、全ての機関・産業・一般市民がそのために一定の役割を分担するとされ、国の全ての資源・国民を「近年高まりつつある敵の脅威」に対抗するために動員・規制することも視野に入れたものと考えられる〕
ファールス通信の報道によると、ゴラーム・レザー・ジャラーリー司令官はシンポジウム「インターネット・サービスにおける危険と安全」のなかで、世界における軍事的脅威の変遷の歴史を指摘した上で、次のように述べた。「戦争は当初、一般的なモデル・形態で行われていた。軍事力とは、非軍事的な人々や都市にも被害を及ぼしながら、標的を破壊するものだった。しかし一般世論の圧力や人権問題〔‥‥〕などがきっかけとなって、最小限の被害・損害での目標の達成を目指すようになった。そこで、最新技術を利用した戦争の最新形態が登場した。〔現代の〕戦闘は、それにもとづいて行われている」。
同司令官はさらに、「新しいモデルでは、軍事的領域は高度に専門化されている。最大限の能力・正確性・持続性を確立することを目的として、最新の技術が用いられている。最小の被害で最大のリターンを手に入れることが試みられている」と指摘する。
同司令官は、このモデルを「第4世代の軍事システム」と呼び、その最も重要な特徴の一つとして「テクノロジー」を上げる。
同氏は今日の世界の戦争で用いられている最新の技術として、情報技術(IT)、メディア技術、地理情報システム(GIS)、衛星など挙げ、次のように続けた。「今日、世界の大国はこれらの技術を駆使して、戦闘の現場にいることなく、最低限の人員で、また最小限の被害で、標的とする国の軍事能力を弱体化させている」。
同氏はこのモデルの極端な例こそが、ビロード革命に他ならないとして、次のように強調する。「ビロード革命では、国の基幹インフラである情報技術が脅かされる。それゆえ、このような状況に対抗するためには、あらゆる〔国際的な〕取り決めや条約とは別に、〔砲弾が鳴り響くような軍事的領域ではなく〕《静かなる空間》において国防に取り組まねばならない」。
パッシブ・ディフェンス機構長官は、通信情報技術省の報告について触れ、「この報告によると、世界21カ国が自らの基幹インフラとしてITを指摘しているが、しかしイランでは情報技術はいまだ、基幹インフラとしては見なされていない。その一方で、商業、ガスや電気・水の流通、交通、保健衛生、そして国家安全保障などはいずれも情報技術を利用して成り立っている」と指摘する。
同長官は、サイバー空間での安全確保の必要性を強調しつつ、「現在の国のあり方を考えるならば、国家の独立はIT分野から脅かされる可能性がある。それゆえ、応用ソフトやネットワークソフト、国防・安全保障分野のハードなどを国産化する方向で、措置を講ずる必要がある」と指摘した。
〔中略〕
ジャラーリー長官はさらに、パッシブ・ディフェンス機構がサイバー領域での安全確保のために行っている施策について触れ、「現在民間企業50社が国防・安全保障領域で当機構と協力関係にある」と指摘した。
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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17132 )