共和国史上、最も議論されてきた建造物のひとつであるアタテュルク文化センター(AKM)が、一昨日(8月5日)再び議論の対象となった。センターの改装計画に対して数週間前に中止決定がでたのを受け、この問題について理解を深める目的で、パネルディスカッションが開かれた。会議は、アタテュルク文化センター企画・研究グループにより企画されたもので、ペラ博物館を会場に、「アタテュルク文化センターはどのように、誰の為に、そしてどの方法によって保存されるべきか」というテーマで行われた。
パネルディスカッションは、イフサン・ビルギの司会のもと、メテ・タパン、ドアン・テケリ、タンセル・コルクマズ、セルハン・アダ、改装プロジェクトを立ち上げた建築家のムラト・タバンルオール、そして「2010年イスタンブル・アタテュルク文化センター推進委員会」のシェキブ・アヴダギチ会長が参加した。今回の改装計画によって、公共の建築物を20世紀から21世紀にどのように引き継ぐかを示すと述べたアヴダギチ氏は、「30年で完成した1つの建物を、1年で芸術的に満足できるものに仕上げるというのは、新たな建物を建てるよりも難しいことです。このことは我々にとっては大きな壁になりうるでしょう。しかし我々はくじけません。最終的にはイスタンブルが勝利することを確信しています」と語った。
イフサン・ビルギンがアタテュルク文化センターの歴史について簡単に話をした後、建築家のムラト・タバンルオールが、改装工事によって、どのような点が変わるのか説明した。彼は今回のプロジェクトは、今まで手がけてきたなかで最も難しい仕事だと言い、「残念ながら、この計画では、(注文内容を決める)発注者がいないのです。もしこの建物が現在の管理方法で今後も管理されるなら、プロジェクトは一切行われないほうがましでしょう」と語った。いっぽう第二保存委員会の副理事長メテン・タパンは、他のいかなる建物もこれほど議論されたことはないと強調し、こうした議論はトルコの民主主義にとって大事な一歩だとのべた。「(反対する人たちは)ただ色の塗り替えだけでいい、といっているのです。しかし、(我々がやっていることは)科学的で正しいものです」と語った。
ドアン・テケリは、現在の概観を損ねることなく、建物の正面にもう1つ壁を増やすことを提案し、建物は昼夜絶えず使用される文化の中心地であることが必要だと強調した。タンセル・コルクマズは、アタテュルク文化センターは活気のある場所にあるにもかかわらず、「象牙の塔」のようになってしまっていると述べ、「この建物はタクスィムのエネルギーをその中に取り込まなければならない」と語った。セハン・アダは、文化センターで、教育や若者、子供たちのために多くの場が確保されることを望むと述べ、イフサン・ビルギンはこの種のプロジェクトに関し、(たとえ計画に反対であっても)裁判に訴えたりすることがないようにと呼びかけた。ビルギンは、ヨーロッパで同様な活動では裁判は起きていないと語り、法律では建築家の仕事の内容を判断することはできないと語った。
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( 翻訳者:杉田直子 )
( 記事ID:17141 )