コラム:レバノン議会選挙とヒズブッラーの姿勢
2009年05月16日付 al-Hayat 紙

■ ヒズブッラーと選挙

2009年05月16日付アル=ハヤート紙(イギリス)HP論説面

【アブドゥッラー・イスカンダル】

 レバノンのヒズブッラーは次期議会選挙に対して、「レバノンの体制における単なる政治プロセスに過ぎない」と述べていたのとは異なり、同党にとって非常に重要な画期として取り組んでいることが明らかになってきた。議会選挙の重要性に対する立場のこの顕著な変化は、投票の方針が予め決まっている有権者の動員を目的としてはいない。また、「3月14日勢力が選挙結果の重要性を誇張している」との批判を展開してきたこの数週間に新たに発生した状況と結びつくものでもない。

 ヒズブッラーはドーハ合意の履行以来、事態の鎮静化と柔軟姿勢に基づく政策をとってきたと言えるかも知れない。しかし実際には、大統領の選出から議会選挙に到る時期を「移行段階」として対応してきた。ヒズブッラーはその間に、ナスルッラー書記長が「抵抗運動の歴史における栄光ある日」とみなすようになった、同党の武装メンバーおよび支持者らが西ベイルートを制圧し、他の地区への勢力拡大を企図した一連の出来事を再び活用するための準備をしなければならない。大規模な軍事作戦を通してヒズブッラーは何日もの間、秩序の維持における合法的な治安部隊や国家の役割を無力化したのである。

 つまり、この「栄光のある日」は、特定の政治的見解を優勢にするために武力を用いて国内のライバルに打撃を与える行為だったのである。そして、国家の一切の役割に打撃を与え、政治においても治安においても武装勢力が主権者となるようことを企てる行為だったのである。それによってヒズブッラーは、自ら規定してきたような国内における諸勢力のうちの一つであることを放棄することになる。そして他勢力に優越し、自らの政治的・イデオロギー的利益に資する決定を、他勢力に代わって、他勢力のために行うのである。同党はハサン・ナスルッラー書記長の言うところによれば、「レバノンより100倍の大きい」国を統治する能力を持っている。あるいは少なくとも、レバノン国内を含めて権力の掌握を志向している。レバノンに「抵抗運動の党」と「政治の党」の分離を望む者がいる限り、また国内の党の武力を管理し、政治勢力としての同党との平和的に共存しようと望む者が存在する限り、ヒズブッラーが昨年5月7日に対抗勢力に対して「施した教訓」は、再び繰り返される可能性があるのだ。

(後略)

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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:17285 )