日本を54年間治め続けた自由民主党（自民党）が、総選挙で大敗を喫した。「退職者など私には関係ない」といった失言で有名な、自民党の麻生太郎党首は、辞任した。選挙を大差で勝利した左派の日本民主党（民主党）鳩山代表は、「驕らず、国民の声に耳を傾けたい」と話した。

　日本で昨日（8月30日）行われた総選挙で、国民は、第二次世界大戦以降わずかな合間を除き54年間にわたって国を統治した自民党を歴史に葬り、中道左派の民主党を与党に選んだ。有権者1億4百万人は総選挙で記録的な投票率の高さを実現する一方、出口調査によると、鳩山由紀夫代表の民主党は、総議席480の議会に315名の議員が当選した。一方、保守派の麻生太郎首相率いる自民党は、経済危機の影響で日本が受けたアメリカの3倍(の経済)縮小を止められないまま、失業率が5.7パーセントに達したことに対し解決策を見いだせず、当選議員数は84～135名にとどまった。単独政権擁立には320議員を要する鳩山代表は、昨日（30日）有権者に向けた感謝の演説において、「驕らず、国民の声を聞きたい」と話す一方、社会民主党（社民党）や国民新党といった小政党とともに連立政権を組むつもりであると加えた。

■ 「今日政府が変わる」

　アメリカで工学の教育を受けた元自民党員の鳩山氏は、保守派であることと共に失言のために国民からの支持を失った麻生首相の「業界重視の」国内政治を厳しく批判し、「官僚」を排除し、国民に奉仕するシステムを主張した。昨日（30日）国内の諸主要紙に出した広告で「今日、政府が変わります」と言って（民主党の）勝利をはやくから公表した左派の鳩山代表は、選挙前、国民に「社会の繁栄、内需拡大経済政策、出生率増加に向けた援助、経済危機が影響を及ぼした家庭への社会援助」を公約した。自民党に愛想を尽かした日本国民は、新しい代表が公約を守るか否かに関心を寄せている。第二次大戦以降の日本の「経済の奇跡」とも呼ばれる高度成長をもたらした自民党が、今回の歴史的大敗を喫することになった根源もまた、経済的諸要因によるものである。

　小泉純一郎首相が2005年選挙で勝利したのち、不正や、アメリカによる日本へのアフガニスタンへの軍の派兵要請が参議院で棚上げされたといった理由で、3名の首相（小泉、阿倍晋三、福田康夫）を変えた自民党は、2007年の参議院選挙では50年間で初めて、過半数を得ることができなかった。最近の財政危機で、麻生首相は、国の財政システムを守るために必要な措置をとらず、増税を支持し、失業者や社会的格差の増大の原因となった。危機から抜け出すために「どうして何もしていない人たちのために税を払わなくてはならないのか。退職者は死んでしまえばよい」といった彼の失言が、我慢の限界を超えた。

■ 責任を取って辞任

　自民党は、選挙の日の朝、国を治めた50年間の追憶にかられ、「日本を覆すな。これからの望みは今日の安定から生まれる」というテーマの紙面の広報で有権者の心を掴もうとしても、効果はなかった。麻生総理は、昨日（30日）敗北の責任を取って辞任することも明らかにした。

　この歴史的選挙の結果は、北朝鮮の核実験によって周辺国を脅かしていること、中国の影響力が確実に増大している地域に関心を抱かせることになっている。鳩山代表はアメリカに対し「冷静な態度で」「しっかりした、しかしへりくだらない」関係を築きたいとし、周辺諸国とヨーロッパ連合のように通貨を共有する一つのアジア連合設立を望んでいることを公言した。総理大臣として参加する9月の国連総会とＧ20首脳会議（金融サミット）において、鳩山代表は中国の胡錦涛主席、アメリカのバラク・オバマ大統領と会談する予定である。彼の外交がどのような道を選択するか、その最初の兆候がこれらの会議で見られるであろう。

■ 鳩山一家は「日本版ケネディー」

民主党代表である東京出身の鳩山由紀夫氏は、アメリカの名門スタンフォード大学で工学の教育を受けた。アメリカのケネディー家に似て裕福な議員を輩出する政治一家の一員である。祖父は自民党の設立者の一人である。鳩山代表自身も1986年に自民党議員に選出され、1990年代には1年足らずであるが自民党で内閣官房副長官を務めた。父親が1970年代に外務大臣を務める一方、弟は、昨日（30日）の選挙で大敗した麻生内閣の国務大臣であった。母方の祖父はというと、世界最大のタイヤ生産を誇るブリヂストンの設立者である。鳩山代表は1993年に自民党を離党し、穏健派や中道左派とともに日本民主党（民主党）を設立することを選んだ。この理由は、アメリカ型の資本主義に巻き込まれた国において「画期的な変革」の必要性を考えたためである。鳩山代表は、大企業の利益や国の政治的中枢に浸透した官僚の(優先の)代わりに、出産の支援、最低賃金の引き上げ、ガソリン税の値下げ、高等学校および高速道路の無償化といった行動が必要であると考えている。唯一の欠点は、政府与党経験の不足である。

■ 東京の「宇宙人」

　鳩山代表の知人らは、顔の特徴から彼に「宇宙人」というニックネームをつけていた。5月、自民党の小沢一郎旧代表が政治献金問題で辞任した。これに伴い、暫くぶりに鳩山代表は自身が設立した政党の代表についた。しかし、日本政治の様々なスキャンダルに巻き込まれた新代表は、代表である組織の銀行口座の22万3千ドルの不正行為が原因でしばし冷や汗を流した。風変わりで外交的な人柄で有名な、元女優の幸さんと結婚している。ロシアで教育に従事する息子が一人。

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（ 翻訳者:木村納菜 ）
（ 記事ID:17332 )