【政治部】第10期政権の内閣及びその構想をめぐる審議が、昨日から国会で始まった。国会はこの中で、政権が示した閣僚候補らに対する信任の是非を決定する。
本紙記者の報告によると、国会は今後4年間の政権構想ならびに大統領の補佐として閣僚に迎えられる21名の候補に関する審議を、昨日公開本会議場において、二部構成で開始した。しかし審議が始まるや、バーホナル、アフマド・タヴァッコリー、アリー・モタッハリーなど一部の有力議員は閣僚候補の人選をめぐって批判を行い、大統領に対して閣僚の人選に関して国会ともっと話し合いが可能だったはずだと指摘、指名された閣僚らは大統領に対しては協調的かもしれないが、能力の面では全く見劣りすると言い放った。
マフムード・アフマディーネジャード大統領はこれらの批判に対し、話し合いは限られた数の国会議員とだけ行うものではないと強調した上で、今後の構想や内閣の布陣については国会議員らと何度も協議を重ねてきたとし、自らの行動の99%以上は国会との相互理解の上で行われてきたものであり、当然のことながら協調性よりも閣僚らの能力に重きの置かれた人選だと反論した。
しかし国会少数派の議員数名を中心に、批判者らは国会審議が始まる前から次期内閣に関する大統領の構想が示されていないと指摘、国会に提出されたのは閣僚候補の名簿とその略歴にすぎないと反発を強めた。
〔中略〕
われわれは計画中心主義者だ
政権構想に対する審議の冒頭、最初にマフムード・アフマディーネジャード大統領が壇上に登り、人民の選挙への盛大なる参加に感謝の意を示した上で、国民から選ばれた者として新政権では力強く、全力で公務に当たる所存であり、国のすべてのポテンシャルを活かす決意だ、との所信を表明した。
大統領はまた、本政権では第5期五カ年計画の最終段階が迎えようとしていると指摘した上で、「この計画は国会の承認のもと、目標実現に向けたわれわれのロードマップとなろう」と力強く語った。
大統領は続けて、閣僚候補の指名を行い、「新たな内閣は全体として、いくつかの特徴を持っている。まず、彼らのうち11名が専門的な博士号をもつ大学教授だ、ということだ。また6名はエンジニアとしての専門知識を持った人物であり、その他もそれぞれの分野での専門家だ」と述べた。
アフマディーネジャード大統領は新たな内閣のもう一つの特徴として、革命とイマームの路線に対する責任感を挙げ、さらに「責任感あふれる3名の女性が内閣に加わることは、発展と向上に対する意欲・喜びをもった女性たちにとって、大きな出来事だ」と語った。
〔中略〕
議員らは能力という面でもしっかりと審議する義務がある
政権構想に対して反対を表明したために、〔一部のアフマディーネジャード派の〕議員らから矢継ぎ早の批判を受けてきた
モハンマド・レザー・バーホナル国会副議長は、政権構想・次期内閣への批判・反対を表明する中で、ほんの一部の閣僚候補にしか信任票を入れないと公言した。
同副議長は、次期内閣は「灰」のようだ〔=次期内閣の将来は暗いという意味か、ないしは次期閣僚候補者たちは灰のように価値がないという意味か?〕と指摘したことに関し、閣僚候補の人選を行うのは大統領の権利だと認めつつ、大統領が国会議員らと〔積極的に〕話し合いを行ってこなかったことを批判、次のように付け加えた。「確かに大臣が大統領の求める者にそぐわない人物であれば、政権運営は最初からおぼつかないものとなるであろう。しかし他方で、憲法は国会議員たちに〔閣僚の信任の是非を決める〕権利を与えており、このことについて権利と義務ははっきりしている」。
〔中略〕
大統領の考えはラヒーム=マシャーイーに毒されている
テヘラン選出の
アリー・モタッハリー議員も、政権の構想・内閣の布陣に批判的な議員の一人だ。
エスファンディヤール・ラヒーム=マシャーイーの〔第一副大統領への〕選任および同氏のこれまでの振る舞いに対して反発してきた同議員は、発言の中で次のように述べた。「大統領にとって志を同じくする大臣とは、大統領の見解に対して従順である、という意味のようだ。これこそが第10期政権の内閣が抱える問題の根元である。つまり、独立した意見・思想をもった人物が大統領のそばにいない、ということだ」。
モタッハリー議員はさらに、自らとその同志の一部は、アフマディーネジャード大統領を文化開放政策の信奉者だと見なしていることを指摘し、次のように述べた。「もちろん、大統領のこの種の思想は、その多くがマシャーイー氏の考え方・教唆に影響されたものであろう。選挙宣伝の中で目にしたように、大統領はヘジャーブ・イスラーム服がきちんと守られているか監視したり、〔いかがわしい〕出版物が出版されていないか検閲したりすることが、正しいことだとは思っていない、などと述べた。このような考えは、『善を命じて悪を禁ずる』といったイスラームの明確な教えに反するものである」。
同議員は大統領がスタジアムへの女性の出入りを認める発言をし、
ウラマーたちの反発を受けたことに言及し、「果たして、国の文化をアフマディーネジャード氏の文化観に委ねてしまってよいのだろうか」と問いかけた。
〔中略〕
同議員はまた、ファーテメ・アージョルルー女史を福祉相に指名したことに異を唱え、「彼女はマフスーリーが第9期政権の内相に指名された時、信任投票の際に賛成議員として壇上に上がりながらも、実際の投票では反対票を投じた人物だ。彼女のこのような行動によって、時間がムダになり、他の議員の〔発言の〕権利が侵害された」と指摘した。
モタッハリー議員はさらに、一部の閣僚候補が〔議員に〕贈答品を贈ったり、通常では考えられないような〔接待のための〕パーティーを開いたり、醜悪なロビー活動を行ったりといった卑しい活動が行われていることに非難の矛先を向け、「われわれ議員にとって、大臣のイスに執着するような人物、手段を選ばず信任票を得ようとする人物には、大臣のイスは相応しくない」と声を上げた。
〔中略〕
政権は法律の遵守という点で芳しくな過去を持っている
国会調査センター所長でテヘラン選出の
アフマド・タヴァッコリー議員も、政権構想と内閣の布陣に対して異を唱えている議員の一人である。同議員は、失業やインフレ率など経済問題における第9期政権の実績を批判した上で、このような結果を生んだのは経済閣僚らの政策に統一性がなかったからだと指摘した。
同議員は閣僚や政府高官らを次々に交代しても、経済状況の解決には結びつかないと指摘し、「新政権の経済チームも、これまでと同じようなビジョンを描いている。経済政策の安定性といった点について、明るい未来は見えてこない。現在の相対的な非効率性を継続するものでしかない」と噛み付いた。
タヴァッコリー議員はさらに、国営放送を通じて閣僚候補らの氏名が発表されたことに批判の矛先を向け、次のように不満をぶつけた。「信頼と話し合いにもとづく〔政府と国会の良好な〕関係への期待が減じてしまうような形で、第10期政権が発足してしまった。国民を蔑ろにしろと言っているのではない。しかし国民の代表者たちが最終的な候補者の氏名すら知らされないまま、候補らの略歴や特長がテレビを通じて公にされるというのは、〔国会に対する〕いかなるメッセージなのだろうか?せめて政権が議員ら〔の携帯電話〕にショート・メッセージを送り、氏名の通知を行うくらいの配慮があってもよかったのではないか」。
同議員は続けて、政権は法の遵守という点で芳しくない過去を持っていると強調、次のように述べた。「〔今の〕大統領は、あの大統領である。〔‥‥〕あのような方法で行動してきた大統領である。そしてその内閣の陣容は経験の少ない人物で占められている。〔第9期政権の時と〕同じことが繰り返される懸念がある」。
同議員は、昨年の政府による予算編成の際に生じた問題や国会と政府の間で起きた対立について強調、さらにガソリンの違法輸入問題について指摘した上で、「国民の代表者たちに対する口だけの称賛に、どんな意味があるというか?国会を尊重しているというのなら、法律に従うことが必要だ。〔‥‥〕」と語った。
〔中略〕
政権の文化観をリベラルだというのは誹謗に過ぎない
テヘラン選出の
ファーテメ・アーリヤー議員は大統領が指名した内閣の陣容に賛同を示す議員の一人として、政権の文化観をリベラルだとした反対議員らの発言に反論、そのような発言は誹謗に過ぎないと語った。
同議員はさらに、革命最高指導者の言葉に触れ、次のように述べた。「師はおっしゃった。第9期政権の掲げるスローガン・目標は革命の基本、我らが親愛なるイマーム〔・ホメイニー〕が宣言された基本に完璧に沿うものである、と。〔‥‥〕人民は正義を、腐敗との闘いを切望していた。革命の原理原則が実現されることを願っていた。彼らは誠実なる人物が、このスローガンを唱えているのを目にした。彼らはその人物の周りに集まった。〔その人物こそアフマディーネジャードその人である〕〔‥‥〕」。
同議員はその上で、「質素倹約の文化〔の創造〕、革命文化の復活、
権力と富のサークルとの闘争、地方訪問によって政府と国民の距離を縮めること、7000万人の内閣を立ち上げること、女にも男にも人生に対する希望を生み出すこと、識字率を向上させること、これらこそ政権が掲げる構想に他ならない」と力説した。
〔中略〕
国の状況は決して暗いものではない
指名した閣僚候補らへの大統領の支持演説に、一部の原理派国会議員から舌鋒鋭い批判が繰り出されたことに対し、マフムード・アフマディーネジャード大統領は弁明を行い、「一部の批判者はあたかも国が極めて混沌とした状況にあり、社会情勢も危機的であるかのように述べているが、しかし社会が分断しているような状況は起きておらず、国の状況も決して暗いものではないというのが、私の見方だ」と述べた。
大統領はまた、反対議員らが国の経済状況を批判していることに対し、世界を飲み込んでいる経済危機の存在を指摘し、「世界のその他の国に比べれば、我が国が抱える問題など少ない方だ」と反論した。
アフマディーネジャード大統領はさらに、「なぜ一部の議員は、大統領がリベラルな文化観を抱いているなどと言うのか」と反問した上で、「なぜ一部の議員は、文化といえば、通りにいる4人ばかりの婦女子たちの服装のことを想像するのか。このような見方は、私から言わせれば、我が国の文化に対する最大級の侮辱である」と述べた。
大統領はさらに、「なぜ一部の議員は、文化行政を単に力ずくで実施しようなどと考えるのか」と問いかけ、「このような見方は、イラン国民とその豊穣なる文化に対する侮蔑である」と述べた。
大統領はその上で、文化を力ずくでコントロールするという発想はそもそもにおいて誤っていると指摘し、「このような発想こそが、われわれに不適切な決定を下させるものに他ならない」と主張した。
〔後略〕
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( 翻訳者:斉藤正道 )
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