世界経済危機を受けアラブ経済統一への取り組みに呼びかけ
2009年06月23日付 al-Hayat 紙
■ 世界経済危機でアラブ諸国に2.5兆ドルの損失
2009年06月23日アル=ハヤート紙(イギリス)HP経済面
【カイロ:本紙】
アラブ経済統一会議のアフマド・ジュワイリー事務局長は、アラブ諸国が経済危機で被った損失を約2.5兆ドルと推計し、全てのアラブ諸国に効果的な影響を及ぼし、アラブ世界を国際的な経済危機や変化の悪影響から保護する、健全な経済基盤に基づいた活力あるアラブ経済ブロック構築の必要性を呼びかけた。
ジュワイリー事務局長は、エジプトの国立社会刑事問題研究センターで行った「世界経済危機とそのアラブ世界に対する影響への対処法」と題した講演の中で、大アラブ自由貿易圏の完成とアラブ関税連合の形成からアラブ共通市場そしてアラブ経済統合に至る日程の明確なロードマップを設定することによってアラブ経済の相互補完を促進する取り組みの必要性を訴えた。
ジュワイリー氏は、民間部門のプロジェクトに出資するアラブ投資機関の設立、金融システムが危険に直面するアラブ国家の金融援助を確立するためのアラブ緊急基金の設立、海外からの需要が減少しているアラブ製品への需要を倍増させることで経済の縮小を緩和する経済支援措置の実施など、アラブ経済への金融危機の影響を吸収する具体的な措置を求めた。また、「経済危機によるアラブ経済の損失規模はおよそ2.5兆ドルと推定され、経済成長率は5%から3%に減少するだろう。アラブ諸国とりわけ非産油国の財政は、石油価格の下落により赤字の拡大が予測される」と述べた。
ジュワイリー事務局長は、「アラブ諸国には世界経済危機の被害に歯止めをかけるための共同作業と、経済危機のアラブ諸国への影響に対処する重要な政策の採用が必要である」と述べた。
またジュワイリー氏は、アラブ諸国が投資を惹きつけられるように投資へのインセンティヴを拡大すること、アラブ諸国間の投資の促進、世界的な不況の影響の軽減と経済回復の加速につながる雇用の拡大と域内需要の創出、またアラブ諸国相互のインフラ事業への投資の必要性を呼びかけた。これはインフラ事業が永続的であるために最も優良な事業であり、アラブ諸国相互の貿易拡大につながると考えられているからである。
ジュワイリー氏はまた、海外からの需要の減少に対処するためアラブ諸国相互の貿易促進と改善、輸出品保証の増強、より多くの銀行投資を得るためのクレジットラインを輸出業者に付与すること、アラブ観光機構が「中東の危機の安全弁」と表現するアラブ諸国相互の観光開発を集中的に行うことの必要性を訴えた。
また、発展途上国に求められた経済改革への厳格な監視に没頭しつつ先進国が行う金融措置への監視を怠り、今回の危機の直接の要因となった、IMFと世界銀行の政策の再検討を求めた。
ジュワイリー氏は危機により生じたアラブ諸国の損失を概観した。その中には、アラブ諸国の輸出、とりわけその大半の輸出先であるアメリカ合衆国とヨーロッパへの輸出の減少が含まれる。ジュワイリー氏は例として、「2007年におけるアラブ諸国の輸出額は3.781兆ドルであったが、そのうち18.4%がヨーロッパ、9.8%がアメリカ合衆国向けであった。」と述べた。
(後略)
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( 翻訳者:平川大地 )
( 記事ID:17398 )