物乞いの取り締まり、各関係機関で対応がバラバラ:テヘラン市議会議員が批判
2009年09月03日付 Jam-e Jam 紙
【社会部】近年、物乞いの存在がテヘラン市民の頭痛の種となっているが、様々な関係機関が実施している物乞いの一斉取り締まり計画も、これまで一向に成果が上がっていない。
テヘラン市議会社会委員会委員はこのような現状から、気温が下がるにつれて、大都市テヘランが多くの物乞いであふれかえる事態もありうると予測する。
モルタザー・タラーイー委員はファールス通信にこのように述べ、さらに「物乞いの問題が解決できない重要な要因の一つに、社会問題を主に管轄するのがどこなのかがはっきりしていないこと、言い方を変えれば、この分野で責任を負っている関係機関の数が多く、〔対策の〕実施にあたって、調整が事実上まったく行われていないことが挙げられる」と付け加えた。
タラーイー委員は「市役所は物乞いを集め、その上で次の措置を講ずるために別の関係機関に引き渡すことになっている。ところが、市役所から物乞いを引き渡された機関は、さまざまな障害や問題、制約を抱えているために、必要な措置を講ずることができないでいる。そのため、物乞いたちは再び元いた通りに帰っていってしまうのだ」と指摘した。
同委員は、「いかなる理由からであれ、市民が物乞いに施しを与えてしまう限り、この問題は解決されない。その一方で我が国には、この種の人々をはじめ、貧困層への支援や福祉を行う機関が複数存在している〔ので、一般市民の方々は物乞いに施しを与えないで欲しい〕」と述べた。
〔中略〕
タラーイー委員は、「この問題についての市の責任ははっきりしている。市は治安維持軍や司法機関と連携して、物乞いの取り締まりを行う責任がある。しかし検挙後に、彼らをきちんと調査することも必要だ。というのも、彼らの多くが精神的問題を抱えており、精神病センターでの保護が必要だからだ。ところが、これらのセンターは場所が十分でなかったり、様々な理由で彼らの引き取りを拒否したり、受け入れてもしばらくすると彼らをセンターから出したりしているのが現状だ」と述べた。
他方、テヘラン市議会の議長も、物乞いが検挙されても、1週間市で保護された後、再び通りに戻って物乞いをしてしまう現状に触れ、物乞いの取り締まりがテヘラン市に委ねられていることついて、「法的観点からいえば、これはテヘラン市役所の仕事ではない。しかし、この仕事は相も変わらず市役所の責任にされており、それに従って彼らもこの仕事を行っているというのが実際だ」と述べた。
〔中略〕
チャムラーン議長は、「この問題について相互に調整を行いつつ、対策を講じることができるのは、福祉庁や保健省、治安維持軍、内務省、ならびに検察庁といった機関だ」と指摘、さらに、「物乞いの多くは外国人であり、国境で解放してもすぐに戻ってきてしまう。全体として言えるのは、これについての調査は複雑だ、ということだ」と付け加えた。
チャムラーン議長は、「物乞いが減少するかどうかは、国の財政・経済状況次第である。というのも、物乞いの中には確かに裕福な者もいるが、本当に困窮している人である可能性もあるからだ。こうした人たちに対しては、しっかりとした社会的状況が用意される必要がある」と述べた。
この記事の原文はこちら
関連記事(特別レポート:現代乞食事情~テヘランの乞食たちの実態~)
( 翻訳者:尾曲李香 )
( 記事ID:17406 )