大統領、指名した閣僚候補2名を撤回:別の人物を再指名する可能性も
2009年09月09日付 Jam-e Jam 紙
左から順に、電力相に指名されたザビーヒー候補、アフマディーネジャード大統領、教育相に指名されたアーリヤー候補
左から順に、電力相に指名されたザビーヒー候補、アフマディーネジャード大統領、教育相に指名されたアーリヤー候補

【政治部】政府が指名した新閣僚候補二名の氏名が記された書状が国会に提出・受理されてまだ数日も経っていない中、大統領は新たな書状を提出し、先の指名を撤回する意向を示した。

 テヘラン選出の現職国会議員ファーテメ・アーリヤー女史を教育相に、アリー・ザビーヒー氏を電力相に指名した書状を撤回した理由に関し、アフマディーネジャード大統領は《ガドルの夜》のために議員らが休暇に入ったことを挙げている。しかし今回の撤回劇の背景として重要なのは、指名された閣僚候補らの氏名の記された書状が読み上げられた際に、国会議員らが示した反応にある。

 議員らが「ノー」の二文字を発し、大統領が指名した候補らに反対する姿勢を明らかにしたことが、恐らく議員らが休暇に入ったことと合わせて、今回の撤回の原因となったものと考えられる。

 モハンマド・ハサン・アブートラービー国会第一副議長は、最高指導者が閣僚候補2名の指名に関し見直しを行うよう指導・注意を与えたことが、今回の撤回の要因となったと指摘する。同副議長はその上で、国会議員らは大統領〔の今回の英断〕を評価しつつ、同大統領が〔いまだ信任を得ていない〕残りの3名の閣僚を指名する際には、革命最高指導者の見解をきちんと考慮に入れるよう求めていると念を押している。

 アブートラービー副議長はまた、もし〔最高指導者の〕指導にきちんと注意を払うならば、〔指名する閣僚候補について、一時的な撤回ではなく〕徹底的な見直しが行われるはずだと再度強調、〔そうなれば〕国会も〔残りの閣僚を〕きちんと信任し、大統領の行動を支持するだろうと指摘した。

 その一方で、副大統領や大統領顧問など大統領の代理らは、国会に提出された閣僚名簿が撤回されたといっても、閣僚名簿そのものが変更されたわけではなく、大統領の書簡の内容に沿うならば、撤回は単に国会が休会中であることを考慮したものに過ぎないと指摘する。

 国会担当副大統領顧問のイーラジ・ナディーミー氏は、政府と国会の間でやりとりや調整が行われるのは自然なことだと指摘、提出された名簿については依然として国会と話し合いや調整が行われる余地があると強調する。

 また、政府議会局のホッジャトルエスラーム・マスウードプール総局長は、指名された候補らが指名を辞退した、あるいは大統領が心変わりをして内閣に〔これ以上〕女性を起用するのをやめた、とする噂を否定した上で、政府は国会とさらに協議を重ねるために、二名の閣僚候補に関する先の指名を撤回したのだと強調している。

 同氏はまた、革命最高指導者が月曜日の夜に政権幹部らを前に行った発言に触れ、最高指導者は内閣に女性を起用することに関して否定はしなかったものの、〔女性の起用に反対する〕イスラーム法学者たちの見解にも考慮し、注意を払うべきだと勧告したことを明らかにした。

 同氏は、国会が休会中であることも、大統領が誰を閣僚として指名するかについて〔国会議員たちと〕協議をするよい機会となっていると指摘、「もし書状が撤回されなかったとしたら、〔議員たちと〕話し合いをする機会は失われ、議員たちも休暇の最中に議場に足を運んで、候補らの信任の是非について審査を行う羽目に陥っただろう」と語る。

 同氏は、指名された候補たちが変更になる可能性については、「先に指名された2名の閣僚候補が再び指名される可能性もあるし、〔今回指名が見送られた〕福祉相候補についても、別の女性が指名される可能性もある。その一方で、大統領がこれまでの考えを変えて、別の結論を出す可能性もある」と述べている。

指名された候補の発言

 大統領から教育相候補に指名されたファーテメ・アーリヤー女史は、大統領が国会に提出した書状を撤回したことについて、別の角度から述べている。同氏は自らの名前が閣僚候補として読み上げられた時に国会議員らが反対する構えを見せたことに対し、「大統領の見解が変わることはないだろう。大統領は、同じ候補を再度指名する決意だ」と強気の姿勢を示している。

 アーリヤー議員(テヘラン選出)はさらに、閣僚候補の氏名が記された書状が国会で読み上げられ受理された際に、国会議員らが「ノー」の二文字を発して、反対の意志を表明したことを批判、「閣僚としてのプランが語られる前に、信任するとかしないとかいったことを、予断をもって表明するべきではない。このような意見はほんの特殊な一部の意見に過ぎず、議員全員の意見ではない」と不快感を示した。

 同氏はまた、女性が教育相に就くことに関し、「女性が大臣のポストに就くことに何ら問題はない。実際のところ、大統領は〔前回の〕第7期国会の時にも、私に閣僚候補として、企画書を提出して欲しいと頼まれたくらいだ。それゆえ、閣僚候補に〔私を〕指名するというのは、大統領にとって前例のあることなのだ」と主張した。

 他方、同じテヘラン選出の国会議員で、福祉相候補として名前の挙がったザフレ・アッラーヒヤーン女史は、実際に大統領から福祉相ポストの打診があったことを明らかにしている。しかし同氏は、体制に関与しているマルジャ〔シーア派宗教権威〕やウラマー〔イスラーム学者〕たちが〔女性の閣僚起用に反対する〕見解を示していることから、福祉相のポストを受け容れることは国益にかなわないと判断したと強調している。

 いずれにせよ、本日からメフル月5日〔9月27日〕までの2週間、国会公開本会議は開かれない。この間、果たして教育相及び電力相の2閣僚に別の候補が指名されることになるのかどうか、そして福祉相にどの新顔が指名されるのか、今後を見守らなければなるまい。

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17458 )