女優ヒュリヤ・アヴシャル、クルド問題発言での取り調べに反発「どこが民主主義!」
2009年09月21日付 Hurriyet 紙

バクルキョイ共和国検察局は、「クルド問題解決」に関する発言で、女優のヒュルヤ・アヴシャルさんを「国民を敵意、嫌悪、憎悪に駆り立てた」として調査を開始した。

ヒュッリイェト紙のインタビューに答えたアヴィシャルさんは、「これは今まで私に向けられた最大の侮辱だと考えている。もはやクルドの問題解決ではなく、問題隠蔽だ」と話した。

女優ヒュルヤ・アヴシャルさんの「クルド問題解決」に関する発言が「国民を敵意、嫌悪、憎悪に駆り立てた」として、アヴシャルさんとその発言をルポとして掲載したミッリエト紙デヴリム・セヴィマイ記者の双方について調査が開始された。アヴシャルさんは、「トルコは民主的な国だと考え、こうした発言をしました。調査は私に向けられた最大の侮辱だ」と話した。

アヴシャルさんは、大いに驚いたとし、「私を調査の対象としたことに、本当に驚きだけが生まれました。最後まで闘うでしょう。何人も、その国の芸術家に『敵意と嫌悪』という言葉を使用するのを止めてください、こうした言葉は敵に向けてさえ使ってはなりません。あまりにひどく恥ずかしいことです。司法を最後まで信じています。ですが自分自身と語ったことを最後まで曲げません。起訴になるとは考えていません」と語った。「もし調査(結果)が受理されれば、4-5年の禁固刑を受けるかもしれませんが」との問いに、「こんなことで処罰されるなら、されるでしょう。でも、ありませんよ。身に起こっていることを深刻に考えたくありません。ことは思想の自由に関わることですから」と答えた。

■ 驚いた

バクルキョイ共和国検察からの「容疑者」として事情聴取の呼び出しは、昨日(21日)の朝アヴシャルさんのもとに届いた。ちょうどアヴシャルさんは、娘のゼフラを初めてのアタテュルク廟見学に連れて行くためアンカラに向かう準備をしているところだった。アヴシャルさんは、昨日(21日)午後アンカラを訪れ、娘のゼフラと甥のハザル・アタクとともにアタテュルク廟を見学した。アヴシャルさんはアタテュルク廟のカフェテラスでヒュッリイェト紙のインタビューに答え、「呼び出し状を受け取ったときは文面を何度か読み返す必要があった。普段は読んだものは一度で理解するのに。(事態が)信じられなかった。一体どうしたらこんなことが起こりえるの」とその心境を表した。インタビューでのアヴシャルさんの発言は以下の通り。

■ 私に対する侮辱

トルコという国では一切民主的なことはない。だからこそ問題解決が必要。(問題になっている)ルポは単に私の幼少時代を紹介するものだった。彼らの言葉によれば「国民を敵意、嫌悪、憎悪に駆り立てる」ことだと。これは今まで私に向けられた最大の侮辱だと考えている。こんな状況で、どうやったらトルコで民主主義なんか語れるのか。

トルコとして、クルド問題解決がどんなものか知らない。実のところ、(行政)当事者もクルド問題解決とは何かわかっていない。これでは(この国において)民主主義を認めることはできない。私のルポに対してこうした反応を示すようでは、クルド問題も解決されないし、民主主義的発展もなされない。民主主義国で暮らしていないからこそ、こうしたクルド問題解決を行うのだ。

■ 民主的な国と思ってた

このルポでは、今後の平和と人生に希望を見出すとはどういうことなのか、いかなる道筋を辿ったかを話した。こうした発言に責任を負う必要はない。この全く逆のことを話すことも可能だった。しかし、この国が民主的な国だと思ったからあのように話した。これまで私はこうしたルポを出したことはなかった。トルコは民主主義の国だと考え、このルポを書いた。そうして実際に起きたことは、ほら、ご覧の通り。

(自身の話を今後も表に出していくかという質問に対して)続けないには、私がいなくなるのが必要ね。表舞台から消えたら、続かなくなる。これが真実。私に対し行われたのはクルド問題の完全な隠蔽。これは問題解決ではなく問題隠蔽だ。トルコで芸術に携わるものが自身を語ることで、共和国検察から敵意だとか嫌悪、憎悪といった(表現の)侮辱を受け、国民を敵意と憎悪へと公然と駆り立てた罪だと書き立てられるようでは、この国で民主的問題解決、クルド問題解決といったことを語らなければいい。

■ 首相はよく知らない

これはまったく首相に向けられたものではない。たしかに、首相は善意かもしれない。しかし、残念なことに、首相は(行政)当事者たちをよくご存じないようだ。まず振り返って、 (首相の語る行政)当事者たちはどの世界に(いるのか)、民主主義的な空気はあるのか、私たち国民に本当に民主的な形で近づいてきているのか、人々は自由であるのか、彼らはまだこれらに気づいていない、と考えている。

■ 一度お乳を与えたら引き離せなくなってしまう

女優ヒュルヤ・アヴシャルさんは、8月24日、25日付ミッリエト紙でデヴリム・セヴィマイ記者に話したルポにおいて、トルコ政府によるクルド問題解決に関する取り組みについてコメントしていた。母がトルコ人、父がクルド系であるというアヴシャルさんは、次のように述べていた。要約は以下の通り。

民主的な問題解決、という問題を私はとても恐れている。なぜなら、これは問題の性質ゆえ取り返しがつかないから。この取り組みは一度始めたら、最後まで終えるしかない。少なくとも、いい方に向かっていると思わせてくれなくてはいけない。けれど、新しく生まれた赤ん坊の口にお乳を含ませて、最もよい瞬間に引き離すのと同じように、これはとても危険性をはらんでいる。赤ちゃんはどうなる?大騒ぎし、ひと騒動起こします。そして、再びそのお乳、あるいはほかのお乳を赤ん坊の口に与えることになる。それで静かになるけれど、そのときにはもはやそうするほかに手立てはなくなる。

トルコ人はこの国を分裂させたくないと考えている。トルコの大地を、国家を守りたいと考えている。これについてトルコ人には絶対的な権利がある。しかし、同時に方法の誤りを認めなければいけない。私自身も、紛れもないトルコ人。けれど、そのことは、クルド人たちを存在しないものとして、彼らに人種的な圧力をかけることではない。トルコは何年間も憲法を改定してきているのだから、今一度平和のための改定を行うべきだ。

私は彼(オジャラン容疑者)にはただ哀れに思うだけだ。実際、私のなかでは、人に怒りをむけたり、裁くというような時期はすでに過ぎてしまった。

トルコ人によって呼びかけられても、何年も山で生活するひとたちは「Lay lay lom(口ばっかり)」と言って降りてこないだろう(武装闘争を放棄しないだろう)。

■ 求刑4年半の可能性

調査の末この問題について訴訟が起こされる場合、アヴシャルさんは、トルコ刑法(TCK)216条における「国民のうちの、社会的地位、人種、宗教、宗派あるいは地域的に異なる特徴を有する社会層を、他の社会層に対し敵意と憎悪を公然と駆り立てる者は、これにより公序の点で明白かつそれに類する危険を現出した場合、1年以上3年以下の期間、禁錮に処する」という判決が下されることになる。アヴシャルさんは今回の問題をマスコミを通じて行ったため、TCK218条により、禁錮期間が1.5倍になる。このように起訴された場合、アヴシャルさんは、1年半から4年半の間の懲役が要求されることになる。

■ バイラムの訪問

ヒュルヤ・アヴシャルさんは、娘のゼフラとともに昨日(21日)アタテュルク廟を訪れた。アヴシャルさんは、見知ったその地をゼフラにも見せたいと思ったと話した。アヴシャルさんは、バクルキョイ共和国検察が今回の問題について調査を開始する旨を示した呼び出し状をヒュッリイェト紙のトゥラン・ユルマズ記者に見せた。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:萩原絵理香 )
( 記事ID:17508 )