トルコ・アルメニア間の国交樹立と関係改善に関する協定がアフメト・ダヴトオール・トルコ外相とエドワルド・ナルバンジャン・アルメニア外相によって調印された。
トルコ・アルメニア間の国交樹立と関係改善に関する協定は、アフメト・ダヴトオール外相とエドワルド・ナルバンジャン・アルメニア外相によって調印された。
スイスのチューリヒで調印された「トルコ共和国とアルメニア共和国間の国交樹立に関する協定」は、両国の間に存在する現行の国境を互いに認めるものと見込んでいる。
協定によりトルコとアルメニアは、2国間関係においても国際関係においても「平等、主権、他国の内政への不干渉、領土の保全と国境の不可侵」の原則を尊重する。
両国はさらに協定によって、両国の間に存在する現行の国境を国際法の関連合意で述べられているように互いに認め、国境の開放を決定している。
協定によると両国はあらゆる形態のテロリズム、暴力、過激主義を非難し、この種の行動の奨励もしくは許容を避け、テロに対する闘いで協力を進めることを負う。
■ 歴史的協定の本文
協定は次のようなものである。
「トルコ共和国とアルメニア共和国は、
同日に調印された関係改善に関する協定に示された形で、人々の利益に奉仕する目的で善隣関係の確立と政治、経済、文化および他の分野における2国間関係の発展を望み、
国連憲章、ヘルシンキ最終文書、新欧州パリ憲章の中での履行条件に則して、
2国間および国際関係において平等、主権、他国の内政への不干渉、領土の保全と国境の不可侵の原則を尊重し、またこれらの原則を尊重することに向けた義務を認め、
両国の間の安全と信頼の環境構築とその保持、全土で平和と安全と安定の強化への貢献、武力行使あるいは武力行使による威嚇の回避、不和の平和的解決、人権と基本的自由の保護の重要性に留意し、
両国の間に存在する現行の国境が国際法の関連合意で述べられている形で互いに認めることを確認し、
国境の開放について採択された決定を強調し、
善隣関係を念頭に和解不可能な政策を進めないとの約束を復唱し、
いかなる理由によってもあらゆる形態のテロリズム、暴力、過激主義を非難し、この種の行動の奨励もしくは許容を避け、これらに対する闘いで協力を進めることを負い、
共通の利益と善意に基づいて、平和、相互理解、調和の目的に向けて2国間関係のための新たなモデルの発展と方向性を明らかにする意思を確認し、
1961年の外交関係に関するウィーン条約に従ってこの協定の発効日以降、国交樹立と相互の外交機関開設について合意したものである。」
同文書では、「この協定および調印されたもう1つの協定が同じ日に、基本的には承認文書交換後の翌月初日に発効すること」が述べられている。
■ 歴史的側面を調べる小委員会の設立
トルコ・アルメニア間の関係発展に向けた、「トルコ共和国とアルメニア共和国の間の関係発展に関する協定」は、アフメト・ダヴトオール・トルコ外相とエドワルド・ナルバンジャン・アルメニア外相によって調印された。
スイスのチューリヒで調印されたこの協定は、トルコ・アルメニア間の関係をあらゆる分野で発展させることを目的としており、この枠組みでいくつかの具体的措置が取られている。
これらの措置の筆頭は、協定発効後2カ月以内の国境の開放である。両国はさらにさまざまな分野、さまざまなレベルの委員会設立を決定するとともに、国際的な専門家らも参加し、歴史的側面に関する小委員会が設立される。
■ 協定の文書
「トルコ共和国とアルメニア共和国は、
同日に調印されたトルコ共和国とアルメニア共和国間の国交樹立に関する協定の指針で、
2国間関係を相互の利益への尊重と信頼に基づいて発展させる目的を考慮し、
2国間関係を両国の共通の利益に基づいて、政治、経済、エネルギー、輸送、科学、技術、文化及びその他の分野で発展、進展させることを決意し、
国際的、地域的組織における2国間の協力が特に国連、欧州安全保障協力機構(AGİT)、欧州理事会、欧州・大西洋パートナーシップ理事会、黒海経済協力機構(KEİ)の中で発展に寄与し、
両国政府の、地域における民主的で継続可能な発展の獲得および地域の安定と信頼保持のための協力に向けた共通の目的に留意し、
地域的および国際的紛争・衝突が国際法の原則と基準に基づき平和的に解決するとの約束を復唱し、
テロリズム、組織的越境犯罪、麻薬、武器密輸のような地域及び世界の安全と安定に向けた共通の安全の脅威について国際社会の行動を力強く支持する用意があることを再び強調し、
1.この協定の発効後2カ月以内に国境を開放することについて同意し、
2.両国の外務大臣の間で計画的に政治協議が実現されること、
両国民間の相互の信頼を確立するため、存在する問題の認識と問題への助言に向け、共通の歴史資料とアーカイブの中立的な科学調査も含む形での対話が実現されること、
2国間に存在する輸送・通信・エネルギー基盤・ネットワークから最善の形で利益を享受すること、またこれに向け措置を講ずること、
2国間の協力を強化するため両国の法的枠組みが改善されること、
関連諸機関の間の関係強化、専門家および学生の交換促進に向け科学・教育分野における協力がおこなわれること、両国に属する文化的遺産の保護、共通の文化プロジェクト開始に向け始動すること、
両国の市民に必要な援助と保護確保のため1963年の領事関係に関するウィーン条約に従い領事分野での協力が施されること、
2国間の貿易・観光・経済協力の発展のための具体的な措置が取られること、
環境問題に関する対話が作られ、協力が強化されること、
以上の点について合意した。
3.さらに両国は、この協定の第2項で言及された諸義務の速やかな実施およびそれぞれの小委員会を含む政府間の両国委員会の設置について同意した。政府間委員会と各小委員会の活動規則を定めるため、この協定の発効日から2カ月後に両国の外務省において活動グループが形成される。この活動規則は、この協定の発効後3カ月以内に大臣レベルで承認される。政府間委員会は言及された活動規則の承認直後に最初の会議を実現させる。各小委員会は、これ以降遅くとも1か月以内に活動を開始し、務めを完遂するまで継続して活動する。適切な場合、各小委員会に国際的な専門家も参加する。
■ 協定付属書
協定の付属書でも実施と関係の改善方法についての要件と今後の予定が述べられた。
それによると、行動計画は、
「1.国境の開放についてはトルコ共和国とアルメニア共和国の間の関係改善に関する協定の発効後2カ月間のうちに、
2.両国の外務省における政府間委員会と小委員会の活動規則を準備するための活動グループの形成については、トルコ共和国とアルメニア共和国の間の関係改善に関する協定の発効日から2カ月後に、
3.政府間委員会と小委員会の活動規則の大臣レベルでの承認については、トルコ共和国とアルメニア共和国の間の関係改善に関する協定の発効後3カ月以内に、
4.政府間委員会の初回会議の手配については、政府間委員会と小委員会の活動規則が大臣レベルで承認された直後に、
5.以下の小委員会の活動開始について、
・政治協議小委員会
・運送・通信・エネルギー基盤・ネットワーク小委員会
・法的問題に関する小委員会
・科学・教育小委員会
・通商・観光・経済協力小委員会
・環境問題に関する小委員会および
・ 歴史的次元に関する小委員会、両国民間の相互の信頼確立のため存在する諸問題確定と助言に向けた歴史資料とアーカイブの中立的科学調査を含む対話の実施(この対話にはトルコ、アルメニア、スイスの代表者と他の国際的専門家も参加する。)、
これらの小委員会の活動開始については、政府間委員会の初回会議後1カ月以内とする。」
■ 協定はさまざまな参加者のもと調印
トルコ・アルメニア間の国交樹立と関係改善に関する2つの協定は、スイスのチューリヒでさまざまな参加者のもと調印された。
チューリヒ大学で行われた調印式には、協定に調印したアフメト・ダヴトオール・トルコ外相とエドワルド・ナルバンジャン・アルメニア外相とともに、2国間の会談で活動的な役割を務めた諸外国の外相も参加した。
トルコ時間で18時に行われる予定であった調印式は土壇場で起こった騒動の解決後21時15分に行われ、ホスト役と会談の仲介役を務めたミシュリン・カルミ=レ・スイス外相、ヒラリー・クリントン・アメリカ合衆国国務長官、欧州理事会議長国であるスロベニアのサミュエル・ジュボガル外相、EUのハビエル・ソラナ共通外交・安全保障政策上級代表が参加した。
協定は調印後、承認のため両国の議会に送られる予定である。トルコ大国民議会に送られる2つの協定が前もって閣議で取り上げられることも計画されている。
■ 会場のセキュリティ対策
同時に、協定調印日にチューリヒ大学ではセキュリティ対策が取られた。
大学の周辺はセキュリティ対策が施され、スイス警察も探知犬で建物とその周辺を常時調査した。
調印式に続いて報道機関のために特別の報道センターが作られた一方、調印式には限られた報道機関のみが見学許可を与えられた。この限られた数の報道機関以外の報道関係者は、報道センターで生中継によって見ることができた。
■ アルメニア人による抗議行動
調印式開始の数時間前に大学の報道関係者が通行する門にやってきたロベルト・カラヤンという名のアルメニア人抗議者は、セキュリティ対策のラインににさまざまな写真といわゆる「大アルメニア」の地図を貼り、協定に反対する抗議行動を行った。
カラヤン氏はいわゆる「アルメニア人虐殺から逃れた者の本部」から来たと話して協定に反対すると述べ、トルコがアルメニア国境を前提条件なしで一方的に開放する必要があると述べた。スイス警察は、この抗議者が報道関係者たちの報道カードを見せた者だけが入ることが可能なこの場所に立ち入ることができたこと、さまざまな写真を張ったことに対して反対しなかったという。
■ 式典の評価
調印式の開会遅延とトルコ側とアルメニア側との対立の危機発生の最初の兆候が現れた後、報道関係者たちはスイス当局によってそれまでいた場所から追い出された。当局は、式典が再開時間未定のまま延長されたと明らかにし、報道関係者たちに対し報道関係者用のセンターに戻り待機するよう望んだ。
この後報道関係者の間でなぜ危機が発生したか、問題は何だったのかについての憶測と情報が交錯し始めた。外国の報道機関はアメリカとスイスの当局者から情報を得たが、トルコ側からは情報が流れなかった。この状況がトルコの報道関係者たちの間で不満を引き起こした。
危機を乗り越える過程での面白い点は、式典が通常に取り行われ調印がなされることを見越して準備されていた欧州委員会の祝賀メッセージが、危機が起こって委員会が大学を離れる際に発表されることになったことである。欧州委員会の祝賀メッセージは報道関係者に危機が起こった理由を見出そうと努めているときにメールで送られた。委員会はこのメールを送った約1時間後に修正のメッセージを送り、最初の祝賀メッセージは気にしないようにと求めた。
同時にクリントン米国務長官が大学に戻った後、エドワルド・ナルバンジャン・アルメニア外相ももどるか否かについて混乱が起こった。報道関係者たちは参加者が来るところをきちんと見る機会がなく、また代表団に近づくこともできず、ナルバンジャン外相が大学に来るか否かについて一時正確な情報を得ることができなかった。
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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:17632 )