コラム:ゴールドストーン報告書をめぐりパレスチナ和解延期
2009年10月12日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ 今は和解延期が適切である
■ クドゥスの見方

2009年10月12日付クドゥス・アラビー紙(イギリス)HPコラム面

 パレスチナ和解を目指すエジプト政府のたゆまぬ努力は更なる困難に直面した。ガザにおけるイスラエルの戦争犯罪を糾弾した、ユダヤ人でシオニストのゴールドストーン判事による報告書に対し、ラーマッラー政府が決議投票を取り下げると決定した時、その困難は最たるものとなった。

 イスラム抵抗運動「ハマース」は、政治局長代理ムーサー・アブー・マルズーク博士率いる代表団をカイロへ送り、今月25日に予定されていた和解合意への調印は、上述報告書への投票が遅れるという惨劇に対し責任がとられるまで延期したいと申し入れた。一方、ダマスカスに拠点を置くパレスチナ諸派で構成され、占領地にも支部を持つパレスチナ国民会議の高等フォロー委員会は、ゴールドストーン報告書につきジュネーブで犯罪がおかされたが、それは醜聞に値すると評し、パレスチナ和解延期を裏付けた。ハマース、イスラーム聖戦、PFLP-GCを含むダマスカス諸派は、パレスチナ情勢に内外から大きく影響を与える力を有する。したがって、彼らが一致して和解延期を決定すれば、パレスチナ対話をサポートしてきたエジプト政府を困難な選択肢の前に置くことになる。和解が延期されれば、その間、合意を修正するための時間が発生してしまう。決定通り今月後半、あくまで以前に合意されたままの和解協定への調印を迫れば、各方面が合意を受け入れられるよう費やした努力は水泡に帰し、と和解そのものがつぶれる。

 アッバース大統領は最近国内的に大きな成果をあげた。ファタハとして20年ぶりの総会を開催し、中央委員会選挙を実施し、ファタハにとって重要なメンバーを選出した。また、パレスチナ国民議会を開き、PLO執行委員会を再編、新メンバーを加えて合法性をもたらした。しかし、これら全てが、ジュネーブ人権委員会で同大統領が犯した大きな過ちによって無効となった。その行為は、独善的で独裁者的、かつパレスチナの人々の感情とファタハが与党として参与するパレスチナ国家としての諸組織をないがしろにするものであった。

 ハマースは、ゴールドストーン報告書が議論される以前、困難な状況にあった。上述のような成果をあげたアッバース大統領は、もし和解を受け入れなければ今年初めの選挙という手段に訴えると脅しをかけていた。ハマースは、エジプトの圧力に屈したようにこの脅しに屈した。しかし、ゴールドストーン報告書の惨劇が彼らをこの恥ずべき立場から救出し、アッバース陣営ボールを返させたのである。

 パレスチナの人々がラーマッラー政権に寄せる信頼は地に落ち、ほとんど無きものとなった。この政権は、パレスチナの名のもとに交渉し決定するに値しないと大多数が感じるようになった。

 緊張し先の見えないこの情勢では、パレスチナ和解の実現は難しい。和解延期との決定が、現状では最も適切であろう。さもなければ、新たな分裂が生じ、それが最も危険で将来的和解が困難な分裂となる可能性がある。

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( 翻訳者:十倉桐子 )
( 記事ID:17640 )