イスラエル、トルコとの軍事パートナーシップ見直しへ
2009年10月14日付 Milliyet 紙
「アナトリアの鷹」と名づけられた軍事演習を巡り、イスラエルでは反響が続いている。著名なイスラエル人ジャーナリストのロン・ベン‐イシャイ氏は、イディオト・アハロノト紙に掲載された論評で、「アナトリアの鷹」をめぐる危機がイスラエルにとって「戦略面での打撃」であったと評し、「もはやトルコはイスラエルにとって信頼できる戦略的同盟国ではない」と論じた。
ベン‐イシャイ氏は「イスラエルに戦略的打撃」との見出しを付けた論評で「もはやトルコはイスラエルにとって信頼できる戦略的同盟国ではない」との見方を示した。トルコの決定によってイスラエル空軍が能力の点で大きな影響を受けることはなく、「周辺地域でイスラエル空軍が戦闘計画を含む軍事演習を行える国はトルコだけではない」としながらも、下記のように続けた。「ただし、イスラエルがトルコでのNATO軍事演習への参加することを見送るという今回のトルコ政府の決定は、昨今進んでいるイスラエルの外交的孤立によって生まれる戦略的かつ経済的影響に関わる、一つの警鐘として受け止めるべきだ。」
■関係悪化はエルドアン首相の調停交渉失敗から
論評では、イスラム国家であるトルコが長年イスラエルにとって非常に大きなかつ信頼できる同盟国であったこと、今ではそれが変わったことなどに触れ、「関係の悪化はトルコのレジェプ・タイイプ・エルドアン首相が、イスラエルのオルメルト前首相とシリアのアサド大統領の間の関係改善のために行った仲介が失敗におわったことから始まった」と主張している。この結果、両国の安全保障協力体制が次第に崩れていったと指摘するベン‐イシャイ氏は、「イスラエルの軍事防衛産業がトルコ軍に提案した一千万ドル、一億ドルの相当の新しい合意によって築かれるはずだったトルコ側との協力関係は、延期されるか、あるいは完全に中止されようとしている。この短い期間でアンカラの関係者は、イスラエルがトルコに薦めたモデルより低品質で高コストであるにも関わらず、イタリアから探査衛星を購入することを選んだ」と述べている。
■軍事演習の中止はワシントンに対する挑戦の一歩
ベン‐イシャイ氏は「イスラエルの軍事演習参加中止はほんとうに望ましくない変化である」としながらも、今回の決定がイスラエルの安全を直接的にまたは短期間で傷つけることはないと強調した。「ただし、EU加盟を目指すトルコにとって、ワシントンおよびヨーロッパの同盟国に挑戦することになる一歩を踏み出すことは、イスラエルを排除することで周辺地域各国から得られる利益が、潜在的なリスクより大きいと確信できなければ、決意できなかったはずである。」
■イスラエルはトルコに代わる存在を探している
イスラエル政府関係者が両国の関係をこれ以上悪化させないために表立った表現を避けていると述べるベン‐イシャイ氏は、「しかし、アンカラが少なくとも現時点においてイスラエルにとって信頼できる戦略的、安定的同盟国ではないことは認めざるを得ない。このことは我々の国家防衛のために大きな打撃である。というのはイランとシリアに対抗する勢力が衰えることにつながるからだ。地図を見れば誰でも簡単に理解するだろう。」
ベン‐イシャイ氏は最後に「イスラエルは、トルコとの関係によって確保してきた戦略的利点に代るような、別の存在を探す段階に入った。しかしながらこれは困難かつ複雑で、アンカラとの間で失われた絆を補うものになるかは疑わしい」との見方を示している。
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( 翻訳者:湯澤芙美 )
( 記事ID:17661 )