エルドアン首相「ガーディアン誌」インタビューで再びイスラエル攻撃
2009年10月26日付 Milliyet 紙
レジェプ・タイイプ・エルドアンがイスラエルに対して向けたここ数日の批判が、イスラエルにおいて波紋を呼んでいる。エルドアン首相は英ガーディアン紙によるインタビューにおいて、特にイスラエル外相アビグドール・リーベルマンがガザに対して核兵器の使用をちらつかせ脅しているという旨を話し、反発を受けている。リーベルマン外相が広報を通じて「くだらないことを気にする必要はない」と強い言葉で一蹴する一方で、イスラエルのハーレッツ紙は、「トルコ首相は、トルコ・イスラエル間で続いている緊張をさらに悪化させた」と報じた。
英ガーディアン紙によるインタビューでイスラエルに対する批判を表したエルドアン首相の言葉は、イスラエルにおいてすぐに波紋を呼んだ。このインタビューにおいてエルドアン首相は、特にイスラエル外相アビグドール・リーベルマンがガザに対して核兵器の使用をちらつかせ脅しているという旨を話し、反発を受けた。
イスラエルのイェディオト・アハロノト紙は、「トルコ首相はイラン訪問の前日25日にイスラエルとの間には戦略的関係があると確信していると語った。その上でガーディアン紙に対して、イランのアフマディネジャード大統領について『紛れもない友人』と話し、再びイスラエルのリーベルマン外相を非難した」と報じている。
同紙によると、エルドアン首相のコメントに対しリーベルマン外相の広報は、「くだらないことを気にする必要はない」と強い言葉で一蹴した。
■「エルドアン首相のコメントはトルコ・イスラエル間の緊張をさらに悪化させた」
一方でイスラエルのハーレッツ紙はこれについて、「トルコ首相は、リーベルマン外相がガザに対して核兵器の使用をちらつかせ脅しているとし、イスラエル・トルコ間に続いている緊張をさらに悪化させた」と報じた。同紙の報道によると、エルドアン首相のコメントは「同盟国である両国の結びつきが危機的な状況にある中でなされた」ものであり、この危機は、トルコが「イスラエルのNATO空軍合同演習への参加を差し止めたことで今月初頭に勃発した」という。
同紙では、「(この2国間の関係の)危機は、2週間前にトルコ政府が、イスラエル兵によるパレスチナのこどもたちの殺害を描いたテレビドラマの放映を禁じることを拒否したことで、深まった」との見方を示した。
■「アフマディネジャード大統領は友人」
英ガーディアン紙に対し、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、イランのマフムード・アフマディネジャード大統領を支持し、「紛れもない友人」と話した。一方でフランスのニコラ・サルコジ大統領については「偏見を持っている人物」と表現した。エルドアン首相は、同紙によるインタビューにおいて、イランが核兵器の保有を望んでいるという主張は「ゴシップ」であり、イランの核施設に向けた軍事攻撃は「正気とは思えない」と、けん制した。同紙のロバート・タイト記者によるインタビューに応じたエルドアン首相は、今日の様々な出来事についてコメントを行った。同紙が2日に渡って掲載し、報じたインタビューにおいてエルドアン首相は、イランのアフマディネジャード大統領について、「紛れもない友人」と話し、「一人の友人として、今日までとても良好な関係を築いてきた。私たちの間にはなんの問題もない」と表した。
■「フランスは間違っている」
こうしたコメントの一方で、フランスのニコラ・サルコジ大統領を批判したエルドアン首相は、「欧州における政府指導者たちの間には、フランスやドイツのようにトルコに対して偏見をもっている人たちがいる。かつてシラク前首相と我々は完璧な関係を保っており、彼はトルコに対してとても肯定的な考えをもっていた。しかし、サルコジ大統領の時代にはこれは当てはまらない。不公平な態度をとっている。欧州連合(EU)は自らの方針に背いている」と苦言を呈した。レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、トルコが欧州連合メンバーとなった場合、15億人のムスリム世界とEUの架け橋となると話し、「(トルコを批判する国々は)このことを視野に入れなければいけない。もしこのことを考慮しなければ、EUは脆弱した組織となる」と釘を刺した。同紙は、公正発展党(AKP)がトルコをイランのような宗教国家に転換させようとしているという主張に対し、エルドアン首相は「そのようなことは断じてない」と話したとし、さらに「しかし、エルドアン首相を批判する人たちにとって、エルドアン首相とアフマディネジャード大統領は、同類なのだ。つまり、民衆の言葉を話しながら国民の支持を得ようと努める、庶民層出身の人間なのだ」と論じた。イランで大統領選の後、抵抗運動が生じていたにもかかわらず、最初に祝福の電話をかけた外国政府指導者がエルドアン首相とギュル大統領であったという。一方でエルドアン首相がこのことについて、「二国間の関係上当然のこと」と表しているとし、「こうした態度は、エルドアン首相が今週アフマディネジャード大統領および最高指導者アイェトゥラー・ハメネイ師との会談のためにテヘランに行った際にも、明確なものとなる」と報じた。
■「エルドアン首相の見解にはアメリカも注目」
英ガーディアン紙は、イスラエルが合同軍事演習から除外されるよう決定したことで、イランのアフマディネジャード大統領がエルドアン首相に賞賛の意を表したことに触れ、さらにエルドアン首相はイランが核兵器を生産しているとは考えていないと報じた。同紙は、エルドアン首相がインタビューにおいて、イランが核兵器の保有を望んでいるという主張は「ゴシップ」であり、イランの核施設に向けた軍事攻撃は「正気とは思えない」と話したのを引用している。エルドアン首相は、イランに対して圧力をかけている国々は偽善者であるという主旨のことを語り、「国連安全保障理事会の常任理事国すべてが核を保有している。国際原子力機関(IAEA)の非加盟国も核兵器を保有しているのだ」と話した。
同紙はエルドアン首相の見解に関係して次のようなコメントを掲載している。
「エルドアン首相による見解は、長い間公正発展党(AKP)政権を、他のイスラム諸国においても適応できるような、親欧米派『穏健イスラム』のモデルとして考えていたアメリカ外交担当者らの関心を引くことになる。さらに今年4月にトルコを訪れた際、トルコの戦略的重要性を指摘し、エルドアン首相を首都ワシントンに招待したバラク・オバマ大統領も関心を示しうるものである。しかし、エルドアン首相による今回の批判がトルコとアメリカの関係に水を差すことになると警告するイスラエルにおいては、強い反響は期待できない」
■「トルコ・イスラエル間の戦略的同盟関係は続く」
イスラエルによる、(トルコとアメリカの関係悪化に関する)主張を一蹴したエルドアン首相は、「そうした可能性はないと考えている」と述べ、「アメリカの中東政策がイスラエルによって影響されることはない」と話した。これについて英ガーディアン紙は次のように報じている。
「トルコ・イスラエル間の戦略的同盟関係は、公正発展党(AKP)の一部では、非公式な形ではあるが、すでに終了したと話している者もいるが、エルドアン首相はこの同盟関係を今後も生かし続けると話した。しかし一方で、ガザに対して核兵器使用をちらつかせ脅しているとして、イスラエルのアビグドール・リーベルマン外相を批判した」
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( 翻訳者:萩原絵理香 )
( 記事ID:17744 )