イエメン北部の反乱勢力ホースィー派をサウジ軍が空爆
2009年11月06日付 al-Quds al-Arabi 紙

■ 反乱勢力は民間人に犠牲が出ていると主張、イエメン政府は否定
■ 陸上攻撃の可能性も
■ サウジアラビア、イエメン領内のホースィー派拠点を空爆し戦争に突入

【ロンドン、イエメン側国境:本紙】

 サウジアラビアは昨日、イエメン北部で続くイエメン政府とホースィー派の戦争に参入した。サウジの戦闘機がイエメン領内のホースィー派拠点数箇所を空爆し、一昨日にサウジ兵2名が殺害された襲撃に報復したのである。

 昨日木曜日にサウジ政府高官筋は、サウジ政府はイエメン北部のホースィー派に対し、集中的な空爆を行ったと述べた。これはシーア派を奉じるホースィー派勢力がサウジ領内に侵入したことを受けての措置であり、サウジは自国の部隊を国境に向けて動かしつつあるという。また、サウジ王国領内の国境地区を占拠したホースィー派にサウジの戦闘機が空爆を行い、サウジ軍が同地区の支配権を取り戻した。この高官筋によればホースィー派の少なくとも40人がこの戦闘で死亡した。

 これに対しイエメン国防省のある高官は昨日、サウジ軍がイエメン領内の標的を爆撃したことを否定した。

 情報筋は本紙に対し、サウジの国防航空省が第4旅団の全部隊をハミース・ムシャイトからナジュラーンに移動させ、国境一帯を警備せよとの命令を下したと語り、サウジ軍がホースィー派に対し、陸上攻撃する可能性も否定しなかった。同筋は「次々と空爆が行われ、国境のみならず、〔イエメン〕サアダ県の周辺にある主要拠点に対しても極めて集中的に爆撃が行われた」と述べて、8月以降、ホースィー派反乱勢力がイエメン政府と戦っているイエメン北部の県に言及した。サウジ国境のホースィー派の数は6000人を超えているという。

 ホースィー派が国境地区に侵入したことで衝突が生じ、アカバト・ディルウ国境ではサウジ軍部隊の車列が通行する間、自動車の往来が禁止された。部隊は軍事警察の援護を受けつつ、ハミース・ムシャイトからジャーザーンに向かう途中だった。サウジ当局はフーバとアハドゥル・ムサーラハの両地区にまたがる戦闘地域からのサウジ人避難民を収容するため、キャンプと野戦病院を設営しており、これは戦争がそう短くない期間続くことの指標であると事情通は見ている。

 南部の分離感情やアル=カーイダの伸張という問題も抱えているイエメンの政情不安に対するサウジの懸念は増しつつある。イエメン北部サアダ県のホースィー派反乱勢力は、昨日の朝、サウジ領を侵犯して4つの地区に侵入し、加えて以前から侵犯すると公言していたジャバル・アル=ドゥッハーンにも侵入したことで、8月11日以来、イエメン当局との間で続けている戦乱にサウジアラビア王国を巻き込むことに成功したと事情通らは見ており、本紙に以下のように語った。「二日前にホースィー派がサウジのジャバル・アル=ドゥッハーンに侵入し、占拠したことには、シーア派の一派であるザイド派を信奉するホースィー派反乱勢力とイエメン当局との間の戦乱に、サウジを巻き込むことを目的とした政治的メッセージが込められている」「このメッセージは何よりもまず、イランからのメッセージである可能性が高い。イランはシーア派の諸組織を通じてサウジに政治的な揺さぶりをかけようとしており、そうした組織の一つがイエメン北部のザイド派を信奉するホースィー派武装集団だ。彼らはイランや複数の国々のシーア派組織から支援を受けていると考えられている」。

(後略)

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( 翻訳者:山本薫 )
( 記事ID:17819 )