アタライ内相より初の具体策提示―「クルド問題解決策」国会審議
2009年11月13日付 Milliyet 紙
中期的計画を発表したアタライ内務大臣:民主的解決のスローガンは、皆にとっての更なる自由だ。
「民主的問題解決」について、トルコ大国民議会(TBMM)本会議で説明したベシル・アタライ内務大臣は、クルド人居住地が旧名に戻されること、異なる様々な言語について各大学で研究が行われること、宗教的サービスの提供において言語の障害が撤去されることを述べた。アタライ氏は、「分離主義との闘争委員会」と治安部隊についての苦情を追跡するため、「治安部隊苦情機構」が設置されること、通行の取締まりが削減され、夏営地への立入禁止が解除されることを説明し、「現行の憲法は、あらゆる観点から我々の社会で時代遅れになっている。国民はこの憲法に甘んじるものではない」と述べつつ、「可能な限り広い社会的参画と賛同を得た、多元主義的・自由主義的憲法」の整備を提案した。アタライ氏は、TBMM本会議で、解決策について行った演説で次のように述べた:
● 解決は民主主義にある:
民主的問題解決策には、互いに繋がった2つの基本的目標がある。その一つ目はテロの終焉させること、二つ目は民主主義の水準を高めることである。我々は国のすべての問題の解決を、民主主義にこそ見出している。それぞれが何十年もの過去を持つ諸問題の解決は、当然の事ながらすぐに実現するようなものではない。このため、我々はこれが時間を要すものであると強調した。ここでも、再度強調しておきたい。
● 武力対抗措置続ける:
まずこれを言わなければならないが、治安部隊によるテロとの勇敢な闘争のお陰で、我が国の一体性と協調は守られてきた。これまで同様、今後も治安部隊に対テロ闘争であらゆる支援を続けていく。
● 解決の目的:
民主的問題解決策で、資産(保護)の基本である公正を強化するよう努めている。国内において、また誰であろうと、全員が公正に扱われ、この国家の平等で自由な国民とみなされているとの気持ちを抱けるよう努力している。民主的問題解決策は、根本的精神変化と転換を必要としている。
● これまで行われたこと:
我々は政権に就くと直ちに超法規的措置を終結させた。司法の独立という点において、常に議論の対象となっていた国家治安裁判所が法的システムから外された。対テロ闘争法の重要な改革が行われた。国民が日常生活で伝統的に使用している異なる言語・方言を学べるよう、特別コース開講を可能にした。国民によって、日常生活で伝統的に使われる異なる言語・方言で放送が行われることが法的保護を得た。TRT6放送局が開局した。拷問と不当な扱いの定義が拡大し、罰則が増やされ、これらの罰の延期と罰金刑への変更が防がれた。今日まで損害賠償として国民に10万トルコリラ程の賠償金が支払われた。
● 全員にとっての自由:
今後、われわれがもつに値する民主主義と人権の水準を追求する方向で、短期、中期、そして長期の対策をとり続ける。これらの対策が、特定地域や階層をではなく、国全体を安息させるのを目指しものであると常に述べてきた。民主化が社会のすべての階級を覆った時、成功すると信じている。このため、民主的問題解決策のスローガンは「全員にとって更なる自由」である。我々は、全員にとって更なる権利を、更なる自由を、そして更なる民主主義を望んでいる。これは、トルコを弱めるのではない、反対に力付けるだろう。
● 短期的措置:
解決プロセスの短期的措置は、一般に法的整備を必要としない行政上の方策と規則の変更で実現化する作業からなる。実際、これらの作業が同時に進行して、または解決過程において形成された新しい環境が諸機関に反映することで新たな試みがおこなわれたものと認識している。
● 選択授業:
例えば、先週は18歳以下のすべての子どもたちが児童裁判所で裁かれるようになる法律案が国会に提出された。先週のうちに、刑務所の勾留者と服役者が親族らと母語で会見できるようにした規則が適用されるようになった。国民が使う異なる言語や方言に関し各大学で研究を実施し、研究所を設立し、選択授業を設置するといった措置は、このプロセスの重要な反映の1つだ。同様に、民放テレビ・ラジオ機構が異なる言語・方言による24時間放送を実施するのを可能とするラジオ・テレビ高等委員会(RTÜK)の決定も、ここで言及する価値のある重要な展開だ。
● 夏営地立入禁止の撤廃:
東部、南東部アナトリアで生きる国民の日常生活を容易にすることを目的として、通行の取締りの削減と、夏営地立入禁止の撤廃といった行政対策においても作業が行われている。他方では、社会的、宗教的サービスの提供を含め、国民が社会生活において異なる言語や方言を使用するための障害も撤廃されるだろう。
● 対分離主義闘争委員会:
民主的解決策の中期対策は、概して法改正を必要とする試みである。憲法第10条はあらゆる分離主義行動を禁止している。この条項の適用を監視する独立した機構の形成は、人権水準の向上に多大な貢献をもたらすだろう。このため、多くの民主主義国家に存在する独立した対分離主義闘争委員会が、我が国でも設置されるだろう。委員会は、民間と公の部門に対するあらゆる分離主義の苦情を受け付けて、効果的な対策を講じるだろう。同じ形で、首相府人権庁を、独立した民間の人権委員会に姿を変える方向での作業が近く完了することになっている。
● 治安部隊への苦情を容易に:
人権侵害問題を筆頭に、治安部隊についての苦情の調査、追跡、そして裁定をおこなうという方向で機構を設置する試みが続いている。設置が勘案されている独立治安部隊苦情機構は、一方では拷問と不当な取扱いを防ぎ、他方では治安部隊が不当に貶められることを防ぐ務めを果たすだろう。
● 旧地名の復活:
今日まで様々な理由で名前が変えられた居住地区に、地元の要求があった場合、法律に沿って旧名が与えられる可能性ができるだろう。
● 政治における言語の禁止が撤廃される:
政党法の領域を広め、表現と結社の自由が要する政治プロパガンダの権利に関わる幾つかの法的障害が撤廃される必要があると考えている。例えば、各政党が選挙運動で国民が用いる異なる言語や方言で彼らに語りかけることを可能とする必要な作業がそのひとつである。
● 憲法改正の提案:
トルコで民主主義の水準を本当の意味で高めるものは、民主的で市民的な憲法だ。現行の憲法は、あらゆる点で我々の社会において時代遅れになっている。この憲法が発展するトルコ国民の21世紀における要求を受け入ることができないのは明らかだ。国民はこの憲法に甘んじるものではない。このため、可能な限り広範な社会的参画と賛同を得た、多元的で自由主義的な憲法を用意することが必要だ。我々はこの改正を目指している一方で、改正提案ができない最初の3条項は、決して変えることができないと何度も説明してきた。ここでもう一度述べたい、トルコ共和国の基本性質は、国家の統一構造、国旗、国歌、そして公用語は変えられないというものである。民主的問題解決策は、我々の統一構造、一体性、そして全体性を損なう要素を全く含んでいない。
● プロセスは続いている:
行われる改革と設置される機構は、民族出自、信条、性別、または政治的見解が何であろうと、国内に暮らすすべての国民の基本的権利と自由を守ることを目的としている。我々はこれらの試みで、全員にとって更なる権利、更なる自由、そして更なる民主主義を望む。これらは民主的問題解決策の一環でこれから行われる、または現在行っている対策のほんの一部だ。ここでは完全な最終的リストは問題ではないし、問題にはなりえない。なぜなら我々は民主的問題解決策を結果の明らかな抱き合わせの提案としてでなく、ダイナミックなプロセスとして見ている。プロセスの中で出てくる要求や評価に照らし合わせて、必要とされるあらゆる種類の試みが行われるだろう。
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( 翻訳者:林奈緒子 )
( 記事ID:17867 )