ロシア、またしてもブーシェフル原発の本格始動を延期
2009年11月17日付 Jam-e Jam 紙

【政治部】1999年から現在に至るまで、様々な理由を付けてはブーシェフル原発の運転開始を延期してきたロシア政府は、米露首脳会議の一日後、同原発に新たな技術的問題が一部発生したと発表した。

 ロイター通信の報道を引用する形でファールス通信が伝えたところよると、ロシアのセルゲイ・シュマトコ(Sergei Shmatko)エネルギー相は昨日、この技術的問題について触れた上で、ロシアは計画通り、今年末(西暦)までにブーシェフル原発の運転を開始することができなくなったと発表した。

 同相は、「現在、専門家たちが発生した問題の解決に向けて活動しているところであり、年末までに完全な調査結果を発表するとの結論に至ったが、いずれにせよ今年末(西暦)までにブーシェフル原発を本格始動させることは不可能である」と語った。

 これまでブーシェフル原発の運転開始期限を設定しては、それを延期するということを繰り返してきたロシアは2月にも、ブーシェフル原発を2009年末までに始動すると宣言していた。こうしたロシアの約束違反から見えてくるのは、ブーシェフル原発の運転を引き延ばすという今のやり方を、同国は今後も明らかに続けていくだろう、ということである。

 ブーシェフル原発建設に関してイランとロシアの間で交わされた当初の契約によれば、同原発は1999年1月、すなわち10年以上も前に運転を開始することになっていた。しかしこの10年間、様々な政治的・技術的・経済的要因によって、同原発の完成は延期されてきた。

 ゴラーム・レザー・アーガーザーデ氏に代わって、第10期政権でイラン原子力庁長官に就任したアリー・アクバル・サーレヒー氏は、就任後初めてとなる記者会見で、ブーシェフル原発の運転延期が繰り返されている理由の一つとして、同原発が特別に抱える複雑さがあると指摘した。同長官によると、同原発には西と東の技術が混在していることが、この複雑さを生み出しているという。

 同長官によると、同原発には50万トンの部品が用いられており、そのうち約12,500トンはドイツ製であるという。〔ロシア製とドイツ製の部品が混在しているという〕こうした二重性が、同原発の運転作業を複雑にさせているというのだ。「もしブーシェフル原発を諦め、新たな原発〔の建設〕に着手していたならば、恐らくもっと早く成果が得られていただろう」。

 イラン原子力庁長官に就任した当初から、ブーシェフル原発の運転開始時期について明言を避けてきたサーレヒー氏は、この記者会見でも「同原発は極めて重要な、数多くの試験段階を予定している。もし試験段階でどこかの部品がうまく動かないといった問題が発生すれば、〔運転開始〕時期が延期されるのも当然だ。それゆえ、今のところ同原発の運転開始の正確な時期について明言することは控えさせていただく」と語った。

メドベージェフ露大統領のイランへの威嚇

 イラン原子力庁長官はイランとロシアの原子力協力に関して前向きな見解を口にしているが、しかし多くの政治専門家は、ロシアはここ数年つねに、国際関係、なかでも対アメリカ関係における切り札として、イラン・イスラーム共和国を利用しているにすぎないと指摘している。ウィーンでの合意草案に対するイラン・イスラーム共和国側の回答について協議した米露首脳会談のまさに一日後、ロシアがブーシェフル原発の運転開始の再度延期を発表したことからも、こうした疑問が強まっている。

 ドミトリー・メドベージェフ露大統領は、シンガポールでのバラク・オバマ米大統領との共同記者会見で、「もしイラン政府との協議で合意に達することができなくとも、別の手段がある。それによって、問題の進展を別のやり方で図ることができる」と語った。

 イランをめぐるロシアの駆け引き

 もちろん、セルゲイ・ラブロフ露外相は日曜日の米露首脳による共同記者会見の後、「イラン核問題の解決に向けてのわれわれの立場に、変更はない」とも語っている。

 ファールス通信によると、ラブロフ外相は、米露首脳会談ではイラン核問題をめぐる情勢が話し合われたとした上で、次のように強調した。「〔イランが貯蔵している〕低濃縮ウランを利用してテヘランの研究用原子炉向けの核燃料を生産するという国際原子力機関(IAEA)の構想実現に向けて、同機関をアシストする方向でロシアとアメリカは精力的に努力しているが、その際、実際には両国はイランの側に立っているのだ」。

 ロシア外相はまた、「イラン核問題の解決に向けてのわれわれの立場に、変更はない。われわれはこれまでと同様、それ〔話し合いによるイラン核問題の解決〕を望んでいるし、最終段階で国連安保理による圧力というテコを必ずしも利用することなく、政治的・外交的手段を通じて、この問題を解決する余地が依然として残されているものと、信じている」とも語った。

 これに対し、イラン国会の国家安全保障外交政策委員会のヘシュマトッラー・ファラーハトピーシェ委員は、ロシアはいつもイランを他国との取引材料に利用しているだけだと指摘している。

 同委員は「国会ニュース」とのインタビューの中で、「ロシアは以前にも、イラン関連で〔アメリカと〕裏取引をしてきた。ブーシェフル原発の運転延期は、その一例だ。2009年にはこのプロジェクトは完了することになっていたにもかかわらず、ロシアが再び同原発の運転延期を表明したのは、ご承知の通りだ」と指摘した。

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17935 )