司法権、ハムシャフリー紙発行停止処分を解除
2009年11月25日付 Mardomsalari 紙

ハムシャフリー紙に発行停止処分が科せられた出来事は、紆余曲折を経た末、昨日午後、処分の解除によって一時的に終結した。

 ハムシャフリー紙の発行責任者は昨日午後、「本紙に対する発行停止処分は撤回された。ハムシャフリー紙は明日(11月25日水曜日)から発行を再開する」と語った。

 アリー・アスガル・マハッキー氏は複数の通信社との会見の中でこう発表し、「司法権長官をはじめとする司法関係者の誠意あるご尽力・ご厚意に感謝する」と述べた。同氏はまた、問題の解決に真摯に取り組んでくれたプレス監視委員会の委員らの良き計らいにも感謝の意を表した。

 マハッキー氏は「ハムシャフリー紙の発行停止処分が解かれたのは、司法のどのセンターによるものか」との質問に対しては、「シャヒード・ベヘシュティー司法センター」の名を挙げた。

 マハッキー氏がハムシャフリー紙の発行停止処分解除を発表した同じ頃、〔プレスを管轄する〕文化イスラーム指導省プレス担当次官は記者団を前に、ハムシャフリー紙に発行停止処分が科された経緯を説明していた。同次官はメディアに発行許可を与えるのは文化イスラーム指導省の権限の一部であると述べた上で、「〔文化イスラーム指導省の〕プレス局は、この許認可権という聖域を守るところである。一度与えた発行許可を不法行為ないしは違法行為を理由に取り消さざるを得ないのは、われわれにとっても辛いことである」と語った。

 昨日午後開かれた記者会見で、発行停止処分を科されたハムシャフリー紙の記者から、発行停止処分の理由について問い詰められたモハンマド・アリー・ラーミーン次官は、次のように述べた。「同紙をめぐる過去の問題はすべて水に流し、最近の違反行為のみを問題視するとしても、ハムシャフリー紙の行為を容認することはできない。数十万部もの発行部数があるハムシャフリー紙は、バハーイー派〔※バハーイー教はイランでは「正統な宗教」として認められていないための表現〕という名の、汚れたシオニスト集団の偽りの寺院の写真を大々的に掲載し、読者らを同寺院への旅行へと誘(いざな)った。バハーイー派は地域の諸国民を分裂させるための陰謀の中核であり、英米の陰謀を実行するためにシオニスト体制が飼い慣らしている手先である」。

 同次官は、次のように続けた。「一部の通信社や付属のニュースサイトがこの問題を暴露し、報道したため、文化イスラーム指導省ならびにプレス監視員会としても適切な対応を取らざるを得なくなった。ハムシャフリー紙は大きな過ちを犯したことを認めなければならない」。

 同次官はハムシャフリー紙に発行停止処分が下されたいきさつについて、次のように語った。「同紙にこの写真が掲載されたまさに当日、国内の様々な思想党派からそれに対して反発する声が沸き起こり、我が方に『メディアを監督する立場にある文化イスラーム指導省が適切な対応を取らず、法を守護しようとしないのであれば、誇り高き勇敢なる男女自らが宗教的価値を防衛すべく、バハーイーのごとき汚らわしき集団に対して立ち上がる用意がある。われわれはこのような集団のメディアへの浸透を決して許さない』とする警告がもたらされた」。

 「こうした反応がプレス監視委員会で取り上げられたことを受け、発行許可の取り消し、発行停止処分、あるいは黙認などの対応が検討された。その結果、最終的にハムシャフリー紙の責任者たちに対して、プレス監視委員会から発行停止処分を受ける前に、高貴なるイラン国民に赦しを請う行動として、数日間自主的に発行を停止するよう求めることになった。そうすることで、謝罪の新しいあり方をイランにもたらすことができれば、とわれわれは考えていた」。

 同次官はこのように述べ、さらに「〔‥‥〕しかしハムシャフリー紙の責任者たちは、我が方の提案を拒絶すると通知してきた。そこで、ハムシャフリー紙の発行停止がプレス監視委員会によって決定され、その旨が司法に報告されることとなった」と語った。

 これに対して、ハムシャフリー紙のマハッキー発行責任者は発行停止処分が解除される前に、「我が国最大の活字メディアである本紙に発行停止処分を科したプレス監視委員会の行動は、政治的動機にもとづくものであり、最終的にはバハーイーをはじめとする反革命派を利するだけである」と指摘した。

 同氏はハムシャフリー紙に発行停止処分が科せられた理由をめぐって、次のように述べた。「プレス監視委員会はアーザル月2日〔11月23日〕午後、最大の発行部数を誇り、原理派に属する本紙に対して、発行停止処分を科すという性急かつ正当化不能な行動を起こした。この処分の理由として、委員会はロータス寺院を写した写真を本紙の広告に載せたなどといっているが、これがバハーイー教徒の寺院の写真であるなどと認識した人は、恐らくほとんどいなかっただろう。ところが、こうした処分が科せられたことで、多くの人がこの寺院のことを知ってしまった。インドに旅行し、この寺院を見たいと思うようになった人もいるだろう」。

 ハムシャフリー紙に対する発行停止処分に対して、これ以外にも様々な反応が出されている。

なぜ「イラン」紙には、処分は科されないのか?

 アッバース・サリーミーナミーン氏はファールス通信とのインタビューの中で、ハムシャフリー紙の発行停止について次のように述べている。「ジャーナリストの仕事について知っている人なら誰でも、誤りは避けられないということを知っている。プレス監視委員会を代表して文化イスラーム指導省が、月曜日にハムシャフリー紙の発行停止を発表したことは、残念でならない」。

 イラン近代史研究編纂センター所長である同氏はさらに、「もし広告の掲載に誤りがあったというなら、確かにそれは過ちであり、国民に謝罪すべきだ。これは簡単なことだ」としつつ、「新聞の編集では、広告に対する監督はあまり行われない。この種の過ちは、様々な新聞で実際に何度も起きていることだ。政府が発行部数の極めて高い同紙の発行停止を即座に決めたことは、まったく正当化できない」と指摘した。

 同氏はその上で、「今回問題となった広告は、しばらく前に〔イラン政府系の〕『イラン』紙や『ホルシード』紙でも掲載されていた。なぜそのときに、両紙は処分されなかったのか?こう考えれば、ハムシャフリー紙は政治的な理由で取り締まりが行われたのではないかとの疑いが強まる。〔表現の自由という〕こうした分野でイランの信頼を傷つけるのは、相応しくない」と述べた。

〔後略〕

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この記事の原文はこちら
「ハバル」紙、発行を休止:「ハムシャフリー」紙、発行停止処分に

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( 翻訳者:斉藤正道 )
( 記事ID:17983 )