イスラエル、「敵性国家」からの書籍輸入を許可する法案
2009年12月01日付 al-Hayat 紙
■ イスラエルで「敵性国家」からの書籍輸入を許可する法案
2009年12月01日付アル=ハヤート紙(イギリス)HP東アラブ面
【ナザレ:アスアド・タルハミー】
イスラエルの閣僚立法委員会は、イスラエルの法律で「敵性国家」となっている国で翻訳されたものも含まれる、アラビア語などへの翻訳書籍の輸入を許可する新しい法案を支持することを決定した。「扇動的である、ホロコーストを否定している、テロを奨励しているといった類の内容」を含まないのが、その条件である。
閣僚委員会の決定は、ヘブライ国家樹立 [1948年]以来の法律を、実質的に廃止することとなる。この法律は英国の委任統治時代(1939年)に遡るもので、「治安上の脅威を生み出す恐れのある情報」の輸入を禁ずる目的で第一次世界大戦後に制定されたものであった。この法律は現在、レバノンやシリアといった「敵性国家」で翻訳されたという理由で、『ピノキオ』や『ハリー・ポッター』などの児童文学のアラビア語訳や、著名なイスラエル人文学者の著作のアラビア語訳などの輸入の妨げとなっている。
新法案は、「幅広い文学に親しみ、市民が母語によって豊かな文化的生活を送る権利を拡大するため」全ての国からの書籍の輸入や、全ての言語への翻訳を許可するものである。
(中略)
■ アラビア語非公用語化の提案、却下される
一方、イスラエルにおけるアラビア語の公用語としての地位を撤廃するべきだという極右系議員3人の提案が閣僚委員会に却下され、イスラエル建国時に定められたようにヘブライ語とアラビア語を公用語とする現状が維持されることになった。
ヤリヴ・レヴィン(リクード党)、モシェ・マタロン(イスラエル我が家)、アヴラハム・ミハエリー(シャス党)の3議員がアラビア語を英語と同じく第二言語とし、ロシア語をそれに加えることを要請した。
3人は要請について、公用語としてのアラビア語の地位が「ユダヤ国家としてのイスラエルのアイデンティティーに抵触するものである」ためだとしている。また、アラブ系議員が祝日にアラブ系市民に祝辞を述べる際など、議会でアラビア語の演説を行うことを、提案によって禁止するのが狙いである。
レヴィン議員は、アラブ系議員が議会の演壇の上からアラビア語で話すときに「イスラエルのユダヤ・アイデンティティーに抵触することを意図している」と述べ、閣僚委員会が同議員ら3人の提案を却下すると決定したことについて、「シオニズム的価値観に矛盾するものだ」と述べた。
イスラエルの政府機関は公式声明をヘブライ語とアラビア語で出すよう義務付けられており、3議員の提案は、アラビア語の使用をアラブ系市民向けの声明に限定することを求めている。
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