厳戒態勢の中、「学生の日」の式典が開かれる
2009年12月08日付 Hayat-e Now 紙


【報道部】今年のアーザル月16日〔12月7日〕の「学生の日」の式典は、多くの混乱とともに執り行われた。

 国内外のメディアはこの日の式典の様子を、様々に異なった角度から報じた。しかしこれらの報道から浮かび上がってくるのは、大統領や〔大学を所管する〕科学技術省の関係者らが見守る中、一箇所に集まって執り行われてきた昨年までの様子とは異なり、アフマディーネジャード大統領や科学技術相が姿を現さぬまま、各地で厳戒態勢の敷かれた状態の中で今年の式典が行われたことだった。首都テヘランの一部の地域では、警察や「私服」とデモ参加者との間で衝突が発生、数名が逮捕された。

 報道によると、国内各地で「学生の日」に学生らと治安部隊の間で衝突が発生、複数の大学生が逮捕されたという。

 イラン学生通信の報道によると、昨日科学技術省の関係者らが〔テヘラン南部の〕シャフレ・レイにあるイマームザーデ・アブドッラー〔※イマームザーデは、イマームの子孫を祀る廟〕に眠るアーザル月16日の3人の殉教者の墓を訪れ、同所で「学生の日」の式典を執り行う一方、学生らは所属の各大学で行われた式典に参加した。

 また昨日、テヘラン大学、シャリーフ工科大学、科学産業大学、アミーレ・キャビール大学、ハージェ・ナスィール・トゥースィー大学、イスラーム自由大学科学研究部などの大学周辺の通りでは、騒乱の発生を抑えるために治安関係者が配置された。

 複数の報道によると、革命広場からヴァリー・アスル交差点、及びジョムフーリー交差点からヴァリー・アスル広場やアミールアーバードまでの間にある商店などはほぼ休店となり、治安部隊や「私服」部隊が同地域や大学周辺の通りに大規模に展開したという。

 各大学の構内では学生らによる集会が開かれる一方、多くの一般市民も大学の前や周辺の通りに集まっていた。

 政府支持派のファールス通信は、このことについて次のように報じている。「最高指導者に忠実な学生7千人以上が学生の日の式典で、テヘラン大学に集まった。テヘラン大学の学生らが集まったこの大いなる集会の中で、同大学の最高指導者に忠実な学生らはテヘラン大学正門前に集まり、革命とイマームの理想との契りを新たにするスローガンを叫んだ。このような中、〔‥‥〕第10期大統領選挙で敗れたムーサヴィー候補者を支持する者たちが学生らに対して侮辱的なスローガンを叫び、水の入ったボトルや石を最高指導者に従う学生らに向けて投げ始めた。7千人にも及ぶ最高指導者に従うテヘラン大学の学生らは、〔ムーサヴィー派の学生らがいる〕工学部の扉の方へと移動すると、内乱運動の支持者たちは霧散した」。

〔中略〕

 ファールス通信はさらに、次のように報じている。「科学産業大学の学生ら600名以上が、昨日正午と夕刻の礼拝を同大学の正門横で行った。『ハーメネイーよ、あなたのご指示に従います』、『ヴェラーヤテ・ファギーフ(法学者の監督)に異を唱える者に死を』、『アメリカに死を』などと書かれたプラカードを手にしたこれらの学生らは、アメリカ国旗に火を付けて燃やした」。

 ファールス通信はまた、シャリーフ工科大学の様子についても次のように報じている。「〔‥‥〕シャリーフ工科大学に通う男女学生らは正午と夕刻の礼拝を同大学モスクで行った後、『神は偉大なり』、『ムスリム学生よ、団結せよ』、『学生は死して、なおも恥辱を潔しとせず』、『アメリカに死を、イギリスに死を』などのシュプレヒコールをあげながら、最高指導者やイマーム・ホメイニーの肖像を手に、大学構内を行進した」。

 最新の情報によると、アーザード大学(ヴァリー・アスル交差点)、及びアーザード大学工学部プーナク校でも、学生グループ同士の衝突が発生した。また、テヘラン大学工学部前でも、二つの学生グループが互いにシュプレヒコールの応酬を始め、一部では学生同士の小競り合いも起きた。こうした散発的な衝突で、工学部の窓ガラスが割れた。

 また、シーラーズ大学から入った情報では、一部が同大学の前で集会を行ったという。この集会は激しい降雨のため、解散したとのことだ。

 このように、〔原理派と改革派の学生の〕双方が過激なスローガンを応酬しあったため、〔テヘラン大学の〕工学部の前で発生した衝突は激しいものとなり、学生同士の乱闘も起きた。また、「私服」がスタンガンを用い、学生らと衝突、催涙弾の発砲もあったとも言われている。

〔中略〕

 また政府支持派のニュースサイトは、次のように伝えている。「シャリーフ工科大学やアミーレ・キャビール大学、シャヒード・ベヘシュティー大学の周辺から入ってきた情報によると、緑色の服を着、完全に組織化された一部の人々がテヘラン大学やアミーレ・キャビール大学、シャリーフ工科大学などの大学の周辺の通りに集まり、学生らによる式典プログラムを妨害し、通りを混乱に陥れようと企んでいる模様だ。テヘラン大学正門前の大学通りには、200名程度のならず者が集まり、治安維持軍に攻撃を仕掛けた後、警察バイクなどに放火、付近の本屋の窓ガラスを割るなどの行為を働いた」。

〔中略〕

携帯電話の回線が切断、インターネットの速度も低下

 テヘラン大学や革命広場、アミールアーバードにあるテヘラン大学寮、及びポリテクニック大学周辺など、テヘランの一部中心部では、携帯電話が不通となり、市民の通話が不可能となった。また、インターネットの速度もアーザル月16日の式典開催の1日前から低下し、インターネットの使用が多くのユーザーにとって不可能となった。

〔中略〕

テヘラン以外でも混乱が発生

 タブリーズやマシュハド、シーラーズその他の地方でも、アーザル月16日の式典は大学構内にとどまらず、〔周辺の〕通りに波及、治安部隊との衝突に発展した。

〔後略〕



※ハヤーテ・ノウ紙はこの報道の後、政府のプレス監視委員会によって発行停止処分が科せられた。

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:18031 )