そりゃあスイスはひどいが、さてトルコは?―トルコで教会は自由?
2009年12月02日付 Radikal 紙
スイスにおけるミナレット禁止に対し、激しい反発がもちあがっている。ギュル大統領は「スイスは恥ずべきことをした」とのべ、エルドアン首相はこの件を人種主義の潮流と結びつけた。しかし、トルコでの実態は、「50歩100歩(目くそ鼻くそ・・・)といったところだ。プロテスタント教会は10回も申請したが、教会建設の許可を得られなかった。EUとアメリカの最新の報告書も、トルコ政府をこの点で批判している。
■政治家は、ミナレット禁止に猛烈反発
スイスで日曜日に行われた国民投票で(モスクの)ミナレット禁止が承認された事は、トルコで強い反対を巻き起こした。アブドゥッラー・ギュル大統領は 「スイスの決定は恥ずべきものだ、このような件が国民投票にかけられることは基本的権利と自由に反している」と述べ、一方、レジェプ・タイイプ・エルドアン 首相は「この状況は、ヨーロッパにおいて高まっている人種差別と過激な民族主義の表れという観点から見て、非常に憂慮すべきものである」と発言した。禁止に対して野党からも激しい反発がでる一方で、トルコ外務省は、ミナレット建設禁止の法は失望を生んでいると発表した。アンカラのトルコ政府はスイスから「その決定を修正するような一歩」を望む一方、各党党首や外務省は次のような発表を行った。
■ギュル大統領:恥ずべきことだ
アブドゥッラー・ギュル大統領は、ヨルダンへの出発を前に新聞記者からの質問に対して、このような案件が国民投票に持ち込まれることは、基本的人権と自由の理解に反していると述べた。ギュル大統領は、この問題については注意深く見守る必要があると述べ、「我々が「イスラム嫌い(イスラムフォビア)」と呼んでいる「イスラムへの敵意」が欧米世界で、いかに高まっているかを示すという観点から、この問題は注目される。スイス人にとって恥ずべきこととなりましたな。」と話した。
(中略)
■トルコ外務省「遺憾な展開だ」
外務省が行った発表では、本件が承認されたことが失望を生んでいること、このためスイスが、同国の伝統にふさわしくない現在の状況を改善する一歩をふみだすことが、トルコだけでなく国際的な世論によっても期待されていると強調された。
「この決定は、基本的な人間の価値と自由に反した不幸な展開である。国連による「文明間の同盟」会議の共同主催国のひとつであったトルコは、異なる文化と信仰のはざまで、双方向の理解と寛容な環境をととのえるために努力している。そのトルコにおいて、スイス国民のこの決定は、遺憾の意をもって迎えられた。多様性を尊重し融和的な伝統によって国際的に尊敬される地位を築いてきたスイスが、その伝統にそぐわないこうした状況を是正する一歩をふみだすことが、トルコだけでなく国際的世論によっても、待たれているのである。」
■トルコはスイスを、EUはトルコを批判
トルコ政府は、スイスのミナレット建設禁止法に対し激しく反発しているが、トルコのアレヴィー派信徒や非ムスリムの礼拝施設に関して起きている問題に触れるものはいなかった。2009年付けのEU進捗レポートとアメリカ合衆国の国際宗教自由レポートは、トルコにおける信仰の自由に関し、一定の前進はみられるとするものの、批判もみられた。欧州委員会の10月発表の進捗レポートにおける批判は以下のとおり。
「非ムスリムの共同体の礼拝所に関しては、しばしば差別がみられ、また不透明な行政手続きに直面していることが指摘されている。自分たちに礼拝用の場所を与えるようにという(教会側からの)申請は却下されている。現存するプロテスタント教会と「ヤホバの証人」の礼拝所は裁判に直面している。アレヴィー派の人々のジェムエヴィ(礼拝所)については2つの裁判が続いており、うち一つは行政裁判所で審議されている。3つの地方自治体では、3つのアレヴィー派ジェムエヴィが礼拝所として認められているにもかかわらず、ジェムエヴィを認めないという一般的な政策は続いている。」
■アメリカ合衆国レポート―礼拝は家で
アメリカ合衆国による報告書では、次のような批判が列挙された。
●宗教的少数派が、礼拝所を開設・維持・運営するにあたり困難に直面していることを報告する。法律によるば、礼拝は、「礼拝所」として特定された場所でのみ実行しうる。市町村の条例によると、政府だけが礼拝場所を特定する権限をもっていることになっている。非イスラム教徒のグループ、とくにトルコ共和国ワクフ総局によって公式に認められた私財を有しない宗教グループは、礼拝を、(大使館や領事館などの)外交的な特権の認められた場所か、個人の自宅で行っている
●「ヤホバの証人」教団のふたつの「王国会館」に対する建築法に基づく裁判所決定は、2009年初頭の審議で棄却された。ふたつの「王国会館」に対し、建築法を理由に宗教行事を制限する裁判所決定がでているが、これに対し市(ヤホバの証人側は)異議申し立ての訴訟を行っている。
●アレヴィー派の人々は自分たちの信仰を自由に行うことができている。礼拝場所として、法的なステータスはないものの、ジェムエヴィとよばれる施設を建設した。これらは、通常、「文化センター」のカテゴリーに入れられている。しかし、アレヴィー派組織の代表者たちは、それでもジェムエヴィの設立にあたっては、しばしば妨害にあい、また国内100のジェムエヴィがあるが、この数は信徒の数に比しまったく十分ではないと述べている。
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( 翻訳者:トルコ語メディア翻訳班 )
( 記事ID:18038 )