中東のライバル、協力へ―ムバーラク・エジプト大統領、トルコ訪問
2009年12月13日付 Yeni Safak 紙
エジプトのホスニ・ムバーラク大統領は、28年間の任期中においては5度目、今年に入ってからは2度目のアンカラ訪問を行う。トルコが中東における役割を急速に増大させたまさにその時期に実現したこの訪問では、両国関係が多面的に再協議されるものと期待されている。フランス訪問の後にトルコを訪れる予定のムバーラク大統領は、アブドゥッラー・ギュル大統領とレジェプ・タイイプ・エルドアン首相との会見を予定している。
トルコとイランに続き、(中東)地域の3番目に影響力を持つ国であり、地域的なアクターとして認識されるエジプトは、(中東)地域問題の大半でトルコと同じ観点から行動している。
パレスチナ:パレスチナ問題においてエジプトは、絶対的なアクターであり、西洋諸国もこの状況が変化しないように細心の注意を払っているにも関わらず、特にイスラエルの22日間のガザ侵攻の後、トルコも調停者の一人となった。しかしトルコの外交は、可能な限りの慎重さを駆使しながら、いついかなる時もエジプトに先んじる政策を採るものではないとした。そしてこの問題では、カイロ(エジプト政府)に協力することを望んだと説明した。トルコ政府のこの方向での発言は、カイロ(エジプト政府)を安堵させるにとどまらず、評価をも獲得した。
シリア・レバノン:レバノンのラフィク・ハリーリー首相に対して2005年に決行された暗殺事件や2006年のイスラエル・ヒズブッラ戦争、そして近年のガザ侵攻によって揺らいだエジプト・シリア間の緊張状態が現在でも続く一方で、トルコはこの国とまるで春風のような平穏状態を過ごしている。二カ国間のビザが廃止され、ダマスカス(シリア政府)はイスラエルとのゴラン高原に関する交渉をトルコとともに再び継続することを望んでいる。
トルコとエジプトは、レバノンの大統領問題と、その後に噴出した組閣の危機を解決するために、それぞれ別々に試みを行った。今年初めにようやく解決された4か月間にわたった大統領問題をカタールが、先月に解決した組閣の危機もシリアとサウジアラビアが歩み寄ることで解決した。
この間、サウジアラビアはアラブ世界のリーダーシップを巡ってエジプトと裏で競合していたが、トルコはシリアとサウジアラビア間のここ4年半にわたる緊張状態を解決するために役割を演じ、そのことはエジプトとアラブの報道で大きな反響を呼んだ。
イラン:両国が比較的異なる政策を推し進めているのがイランと関わる問題である。エジプトとサウジアラビアをはじめとする一部のアラブ諸国は、イランが中東で役割を増大していることに大きな不快感を募らせているが、トルコはイランと政治的・経済的関係をさらに発展させ、テヘラン(イラン政府)との安定した関係に努めている。
エジプトは公言しないとはいえ、イランの核問題が(中東)地域にとって脅威となっているのを明らかにする一方で、トルコは平和である間はこの問題に反対しないことを公言している。
地中海連合:エジプトはフランスのニコラ・サルコジ大統領が考案者となって行った地中海連合計画を積極的に支援する国である。トルコは(この計画が)ヨーロッパ連合加盟交渉に打撃を与える目的があるとし、この計画を支援していない。この件に関して、先月イスタンブルで開催が計画され、トルコを説得する目的を強くもった会合は、一部のアラブ諸国がイスラエル参加に抗議して不参加としたことにより中止となった。このことも、サルコジ大統領に大きな打撃を与えたと世界で報道された。
キプロス:エジプトはギリシャやキプロスのギリシャ正教徒地域(キプロス共和国)ととても密接な関係にある。エジプトは北キプロス・トルコ共和国を認識していないかのように、この問題を取り上げるつもりはないと公言している。またエジプトは、トルコに不快感を募らせている、南キプロスによる海上での石油探索活動に支援も与え、共同での探索活動をも行うと明らかにしている。トルコはエジプトの支援を断ち切るために外交的試みを続けている。
経済的関係:二カ国の関係発展において、疑い無く経済が重要な役割を演じている。2009年には、二カ国間の貿易が30億ドルとなることが期待されている。世界的な(経済)危機により、トルコの総輸出が30%ほど減少した一方で、エジプトへの輸出は100%増加したことは注目すべき点である。エジプトにおけるトルコの投資額も、15億ドルと推測されている。
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:18070 )