路上の物売り・物乞い児童、トルコ全土で4万1千人
2010年01月12日付 Zaman 紙

ティッシュ売りの子どもたちによって激しい暴行を受けたベドレッティン・Kちゃんは、路上で物売りや物乞いを強いられている子どもたちの問題を再び我々に突きつけることとなった。
社会福祉・児童保護協会(SHÇEK)は、子どもたちに物売りや物乞いをさせるよう強いている家族への対応にあたっているが、各データは、現行の法的制裁に効果がないことを示している。首相府人権局が県の人権局を介して行った調査によれば、トルコ全土において路上で物売りや物乞いを強いられている子どもの数は4万1千人を超える。3万891人の子どもは路上で生活している。悲惨な状況下にいる子どもたちの98%はイスタンブルに暮らす。人権委員会のヴィルダン・イルミベシュオール委員長は、この社会問題を解決するために子どもに物乞いをさせる親を罰するよう提案している。

人権局イスタンブル県支部委員長ヴィルダン・イルミベシュオール弁護士は、この社会的に大きな問題の解決のため、政府と市民団体の両方がより体系的な取り組みを行う必要があると強調している。社会的・経済的な対策を強化するよう望んでいるイルミベシュオール氏は、以前に5人の子どもに物乞いをさせた前科がある親を逮捕するよう勧告している。

イルミベシュオール弁護士は、物乞いさせることは罪であると強調しつつ、トルコ刑法第229条によれば家族は罰せられるべきだと述べている。イルミベシュオール氏が提供した情報によれば、ベドレッティン・Kさんと4人の兄弟が路上で物乞いをしていた2006年10月7日に、イスタンブル警察本部に属する機動隊員によって保護された。子どもたちの家族には軽犯罪法に則して何度か罰金が科された。イルミベシュオール氏は家族がさらに2006年に5人の子どもに物乞いをさせたことで警告を受けたと述べ、これにも関わらずいまだに逮捕されないことに反発を示している。「子どもたちは一時期保護下に置かれた後、家族に引き渡された。家族には絶対に罰せられるべきだが、家族が依然としてなぜ社会生活を送っているのか、私は理解できない。なぜ逮捕されないのか。」

■ 73%はイスタンブルの路上で働いている
人権局のデータによれば4万1千人の子どもが路上で物売りや物乞いを強いられている。このうち約3万人がイスタンブルで生活しているが、トルコ最大都市のイスタンブルを6700人でアンカラが、3300人でディヤルバクル、640人でヴァン、637人でメルスィン、そして420人でイズミルが続く。社会福祉・児童保護協会(SHÇEK)は103箇所の保育所や「子どもの家」を所有している。これらの施設の総収容人数は8843人で、施設に登録している子どもの数は1万41人、日夜そこで暮らす子どもの数は6190人である。113箇所の孤児院や関連施設でも3570人の女児と6836人の男児を含む1万406人の子どもが保護下にある。この他に私立託児所や昼間だけの育児園で877人の子どもが無料の託児サービスを受けている。さらにトルコでは子どもたちに関する159の市民団体組織が活動している。

■ 国全体で38箇所の更生センターがある
SHÇEKに属する38箇所の児童・青年センターやこれに付属する6箇所の観察局で、路上で働く子どもたちが更生プログラムを受けながら社会復帰している。このセンターでは子どもたちに対して以下のことが施される;教育、精神的社会的そして文化的な成長の支援、職業能力の取得、健康診断、そして薬物を使った子どもたちを治療する取り組みが行われている。さらに路上で生活する子どもたちの家族のために、精神的社会的な支援や意識向上の取り組み、就職活動、貧しい人への社会的支援事業、子どもたちが家族のもとに帰ることが可能であると判断した場合の家族と子どもの共同生活に関する一貫した取り組みが行われている。必要と見なされた子供たちには保健サービスが提供され、シンナーを使った子どもたちは治療目的でÇEMATEM(児童・青年薬物依存調査・治療センター)あるいはUMATEM(揮発性物質調査・治療センター)に送られている。

■ 物乞い児童の数は5年で40%増えた
トルコ、特にイスタンブルの重要な問題の一つである物乞いは一向になくならない。アナトリアの多くの町から物乞いのためにイスタンブルに連れて来られた子どもの数は、日に日に増えている。広域市警察が2004年に保護した物乞い児童の数は1657人だったが、2009年にはこの数字は2334人に増えた。1年で保護された全ての物乞い児童の数は8425人とされている。関係者は、現行の法的制裁が不十分なために物乞いがなくならないことを指摘している。関係者は、この違法な仕事が一大産業になっていることを指摘し、物乞いの間でイスタンブルの地域ごとに縄張りがあることを強調している。

警察が昨日(12日)、アクサライにあるモスクの前で物乞いをしていたため、逮捕した13歳のナズル・Gさんはガズィアンテプから2年前にイスタンブルに移り住み、その日以来物乞いをしていると説明した。父が靴磨きをしているというその女の子は、家族を助ける目的で物乞いしていると述べた。6人きょうだいのナズルさんは、物乞いをしている時はとても悲しく、時には泣いていると語った。小学校を4年生の時にお金がないという理由で退学した彼女は、自分の意思で物乞いをしていると主張している。物乞いをしていて捕まった子どもたちは、警察によって児童保護局に送られる。家族や身元が判明した子どもの親については検察に告発する。18歳以上の物乞いは70トルコリラ(約4360円)の罰金を科される。

■ スルタン・アフメトに今度は観光のために行った
昨日までは路上でティッシュ売り、靴磨き、あるいは物乞いをしていた320人の子供たちは、イスタンブル広域市によって路上から救出された。市がEUの支援で設立したスルタンベイリ児童・青年センターに登録された学生の一部は、昨日(12日)はスルタン・アフメトにいた。しかし今度は働くためではなく、観光するためだ。多くの観光地を初めて見学した。友達と写真を撮って思う存分楽しんだ。センターのおかげで学校に通い続けられると述べた学生たちは、特に音楽、パソコンや絵画の授業が大好きだと語った。彼らの親もセンターに満足していると述べた。しかし一部は家計を助ける目的で時々路上での仕事を続けている。国内移民同化プロジェクトのコーディネーターを務めるアイリン・チフッチさんは、EUが支援するプロジェクトとはイスタンブル、イズミル、アンカラやブルサの路上で働き、あるいは路上に追いやられたりする恐れのある子どもたちが生活できるようにすることを目的にしていると説明している。プロジェクトの一環で試験的施設に選ばれたスルタンベイリのセンターでは、7歳から18歳の子どもや青年たちが様々な分野で教育活動に参加したと述べている。チフッチ氏はここで320人の子どもがケアを受けていると補足している。

■ 問題の解決には現在の法律で十分
セルマ・アリイェ・カヴァフ国務大臣は、ベドレッティン・Kちゃん(5)の治療が続いており、きょうだいらとともに保護下に置くために必要な手続きが始まったと発表した。社会的傷は墨では消せないと強調するカヴァフ大臣は、問題を解決するのに現在の法律で十分だと主張した。大臣は「法律の施行にはより敏感に対応すべきだ。ベドレッティン・Kちゃんが家族によって路上に押しやられるまで、路上で似た仕事をする子どもたち同士でこのような争いが起こったことは、事件の別の側面だ。殴った子どもたちやその家族に関しても必要な手続きを取るつもりだ」と述べた。ベドレッティン・Kちゃんとそのきょうだいに関して、2006年にも似たような状況があったと述べたカヴァフ大臣は、「子どもたちは保護下に置かれ、犯罪を促したために家族には罰金が科された。家族は罰金を払い、子どもたちをもう二度と罪に手を染めさせないと裁判所に宣言をした後、後見人が家族につけられた。2006年にあったプロセスが再び起こる可能性は低い」とした。子どもたちに通りで物売りをさせることや犯罪を促す問題で2006年にある取り締まりが始まったと説明するカヴァフ大臣は、次のように続けた。「この枠組みでイスタンブルだけで8つの児童・青年センターが開設された。このセンターでは家族によって路上で働くよう求められた子どもたちが更生プログラムを受けた。しかし家族も教育を受ける必要がある。社会および家族カウンセリングセンターでこの問題への取り組みが行われている」

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:三上真人 )
( 記事ID:18251 )