Ismet Berkan コラム:イスラエルとのこれから
2010年01月15日付 Radikal 紙

トルコがイスラエルに起こした批判は目新しいものではない。ガザで行われた不均整な軍事作戦では足りないかのように、その時以来、あの狭い土地で生きる150万人の人々を、水やパンといった最低限の生活必需品にも困窮させることは、トルコだけでなく、多くの西洋諸国がイスラエルに反発する原因となっており、また原因であり続けるだろう。
一方で、トルコにおけるイスラエル批判の激化がこの国で人種差別的感情を引き起こし、まったく予想しなかった人々さえも、気づかないうちに反ユダヤ的発言に踏み込んだことは疑いない。
こうなると、二国は遠くから、自由に互いに言い合うようになる。

トルコはガザを例に挙げ、正義の側にたってイスラエルを批判する。イスラエルは、この批判にまったく返答せず、トルコ国内の反ユダヤ主義の空気を批判する。トルコを人種主義に傾いていると批判する。これは、はっきり言えば、耳の聞こえないものどうしの会話であり、より正しく言うなら、通りで喧嘩を始めようと身構える2人の青年が、相手の言うことをまったく聞かず、遠くから互いを挑発しているのを思わせる状態だ。この状態で、この対話のなさは、大きな不安材料だ。
これらすべての上に、トルコ大使に対してなされた振舞いと、その後の謝罪が加わると、二国間の関係はますます悪化する。しかし、この二国は、この地域で互いにもっとも似た国同士なのである。

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まず、トルコ国営放送(TRT)のあるドラマシリーズで、それからあの有名なテレビドラマ「狼たちの谷」で、反ユダヤ的メッセージが放映されると、イスラエルはこれに反発した。我々のこの反発に対する返答は、「映画製作者の表現の自由」について言及することであった。
しかし、過去において、アメリカのFoxTVチャンネルで放映された「24」というドラマシリーズで、テロリストの登場人物の一人がトルコ人であったことで大騒動が起き、我々はアメリカに外交的措置すらとろうとしたのである。
今、私が恐れているのは、あの「24」シリーズの事件すら凌駕する状況に直面することである。

忘れないでほしい、ハリウッドを支配する者の多くはイスラエルの友人であり、彼らはこの意味で非常に大きな力を手に持っているのだ。
次々にドラマシリーズや映画に登場する悪人がトルコ人になっていく可能性にも備える必要がある。これは、トルコとアメリカの関係をも爆破させることができるものだ。

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イスラエルが地域で孤立しているのは現実である。しかし、イスラエルはこの状況に1日で至ったのではない。崩壊したオスロ合意の後、アリエル・シャロンの政権期に孤立化が始まり、それが加速しながら続いている。この意味で、トルコがイスラエルに対して抱く必要性と、イスラエルがトルコに対して抱く必要性の間には、大きな不均整がある。率直にいって、イスラエルのこの地域における最後の友人はトルコである。しかしイスラエルがハマスに関して強硬な態度を崩さないことに執着し、ガザの150万人の人々に対してこの責苦を続けるなら、その友人をすら、近く失うことになるだろう。

イスラエルとの間にあることは、まさにこういうことだ。2人の友人が、友からライバルの関係に移り始めたのだ。イスラエルの強情さは、おそらく多少はこの移行に起因しているのだろう。

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( 翻訳者:林奈緒子 )
( 記事ID:18274 )