「カーヴェシュギャル3」、生き物を乗せ宇宙空間に発射:イラン初
2010年02月04日付 Jam-e Jam 紙
2月4日付イラン紙1面に掲載された写真
2月4日付イラン紙1面に掲載された写真

【政治部】イラン・イスラーム共和国が衛星「オミード」によって初めて、宇宙空間における自らの存在を示してから早1年、我が国の研究者らは今年の《ファジル10日間》に、ミサイル「カーヴェシュギャル(探求者)3」によって初めて、生き物を宇宙空間に送り込むことに成功した。

 この報は昨日、大統領ならびに閣僚ら出席の下、「宇宙技術の日」を記念して首脳会議ホールにて開かれた式典で発表されたものである。

 ネズミ、ミミズ、カメ、及び細胞のサンプルが、イランの宇宙技術の研究者らによって宇宙空間に送り出された初の「生命カプセル」に乗り込んだ乗員となった。彼らはあらかじめ定められたルートを飛行した後、無事地上に帰還した。

 生き物を宇宙空間に送り出すことは、無重力空間や成層圏の放射線状況が生物に与える影響を実験することを目的とした宇宙開発計画にとって、第一歩と言える。今回の実験は、その他の生き物を宇宙空間に送り出し、そこに長期間滞在する可能性を探るための前提条件となるものである。〔これらの一連の実験が成功すれば〕ゆくゆくは人間を宇宙に送り出す条件も、整うであろう。

 有人宇宙飛行プロジェクトでは、こうした実験の学術的価値に加え、医療や薬の効能なども、このような〔無重力〕条件の中でより正確に調査することが可能となる。このようなことから、世界の宇宙開発計画では、〔宇宙空間における〕生物実験が極めて重要視されている。

 生き物、特に人間を宇宙空間に送り出すためには、複雑な技術が必要であり、そのためこれまで人間を送り出し、無事帰還させるまで技術を進歩させることができた国は、旧ソ連(ロシア)、アメリカ、中国の三カ国に限られている。イランはこの分野での先行者たちに加わる決意を、今回の行動によって示した形だ。

 大統領はこの式典で、「生き物を宇宙空間に送り出し、宇宙空間での滞在期間、生命にどのような変化が現れるか、そのすべてを記録し、最終的に生き物を地上に帰還させる、という今回のプロジェクトを実行することは、間違いなく、昨年イランが初めて衛星を宇宙に打ち上げたことに劣らぬ重要性を有している」と明言した。

 本紙記者の報告によると、この式典ではまた、それぞれ「トルー(上昇)」、「メスバーフ(光)2」、「科学と産業の吉報」と名付けられた3基の新型国産衛星、ならびに衛星打ち上げミサイル「スィーモルグ(フェニックス)」の〔新型〕エンジンのお披露目が行われた。

 マフムード・アフマディーネジャード大統領は宇宙工学分野でのイラン・イスラーム共和国の新たな成果を発表したこのお披露目式典で、イランの宇宙開発活動は「聖なる防衛」〔=イラン・イラク戦争〕の時代にミサイル産業の基礎が築かれたことを出発点とするものだと指摘した上で、「ここ1年間、われわれは同分野での我が国の目覚ましい成功を目にしてきた」と胸を張った。

 大統領はバフマン月13日〔2月2日〕に「カーヴェシュギャル3」の打ち上げが行われたことを指摘した上で、次のように付け加えた。「イラン・イスラーム共和国はこの《カーヴェシュギャル(探求者)》によって初めて、生き物を宇宙空間に送り込むことに成功した。これは極めて重要な意味を持っている」。

 大統領はさらに、新型衛星打ち上げミサイル「スィーモルグ」のエンジン部分について言及し、宇宙技術の分野での偉大なる成果だともちあげた上で、次のように語った。「この新たな成果は、4基の分離式エンジンからなっている。4基とも完璧に互いに同期して動作しなければならず、もし一基が100分の1秒でも他のエンジンよりも遅く、あるいは速く動作すれば、宇宙空間におけるミサイルの全体的バランスは崩れてしまい、所定の目標を達成することができなくなってしまう」。

 アフマディーネジャード大統領は、衛星打ち上げミサイル・スィーモルグを地上500キロメートルの軌道上に打ち上げることができるこのエンジンの能力に触れた上で、「イラン・イスラーム共和国はこのエンジンを製造したことで、宇宙空間の完全なる制覇までほんのあと2歩に迫っている」と指摘、この《2歩》についてさらに次のように解説した。「われわれは今後、まず700キロメートルの軌道、そして次に1000キロメートルの軌道にアクセスしなければならない。もしこの目標が達成されれば、さらに高いところへのアクセスが可能となる」。

〔中略〕

 アフマディーネジャード大統領は続けて、昨日お披露目が行われた「トルー」、「メスバーフ2」、及び「科学と産業の吉報」の3基の衛星について触れ、「これら3基の衛星には、われわれが宇宙技術において必要としているものすべてが含まれている。これらの衛星の打ち上げによって、宇宙開発分野でのイラン・イスラーム共和国の活動に、重要な一歩が踏み出されるだろう」と述べた。

イランは諸国民の希望の星

 アフマディーネジャード大統領はまた、イラン・イスラーム共和国が宇宙空間で初めて得た経験、ならびにこの成功によって各国で沸き起こった歓喜の声について、「現在、ミサイルを地上36,000キロメートルの軌道上に送り込む能力をもった国も、我が国の周辺には存在するが、しかし〔世界の〕諸国民はこの種の活動に全く連帯意識を感じていない。その一方で、イラン・イスラーム共和国が4ヶ月間近くにわたって、衛星を軌道250キロメートルに送り込んだとき、歓喜の波が各国で沸き起こった」と述べた。

 大統領は、イランこそ諸国民の希望の星であるとし、「これは、イラン・イスラーム共和国が選択した道のおかげである。このような力をわれわれの中にみなぎらせてくれたのは、革命の文化に他ならない」と続けた。

Tweet
シェア


関連記事(イラン国産衛星「オミード」、宇宙空間に飛び立つ)
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:18439 )