イスタンブル広域市のカーディル・トプバシュ市長は、カンディリ気象台とボアズィチ大学が行った共同研究の結果を発表した。トプバシュ市長は、「地震の足音が聞こえている。イスタンブルで大きな地震が起きれば、3万人の命が犠牲になるだろう」と述べた。
シェレフィイェ貯水池のうえにある、ファティーフ区と統合したエミニョニュ区の庁舎別館の取り壊しが、イスタンブル広域市のカーディル・トプバシュ市長が乗り出すことで、実現の運びとなった。
解体式でトプバシュ市長はエラズーでの地震に言及し、近親者を亡くした人々へお悔やみの言葉を述べながら、科学技術に見合った建築がなされることが大事であると述べた。
「市民を強制的に立ち退かせることはできない」
地震に関する質問に対し、トプバシュ市長は、「イスタンブル大改造のため、都市改造のため一歩を踏み出したが、第一野党が語ったことが市民を震撼させた。すなわち野党は『(市は)この土地を取り上げて誰かに渡してしまうつもりだ』と述べたのだ。正しいことを支持するべきだ。残念なことだが、カルタル、マルテペ、サユエルなどたくさんの場所に行ってみてください、そして国民に聞いてみてください。野党は市民に、『(市は)あなたがたをここから立ち退かせようとしている。この土地を取り上げて、だれかに渡してしまうつもりだ』といったのです。政治家たちはこれを政治的利益のために利用したのです。市民へもこれを信じさせた。所有権があるのであるから、強制的に立ち退かせることはできない。我々はゼイティンブルヌでもこの枠組みでプロジェクトをはじめさせた。しかし我々は市民を説得することはできないでいる。相互理解と意見の一致が条件である」と答えた。
「一つひとつの建物を強化するだけでは不十分だ」
「1998年まではイスタンブルは第二級地震帯地域であるとされていた。すべての統計データはこれに基づいて作られました。しかし1998年以降は第一級地震帯地域と宣言されたことでこれが変わってきています」とトプバシュ市長は話を続け、「横断面や柱をより頑丈にすることは必要だった。一つひとつの建物を強化するだけでは不十分だ。みんなはいろんなことについても話している。(柱などを)倍にしなさい、この問題は解決されるといっているが、どうやって解決するのか。この方法は正しくない。地震の足音は聞こえている。この問題に関して政府関係機関と手を取り合いましょう。一緒に頑張りましょう。『私もやります』と言ってください。権利を前提として議論に入りましょう。彼らは市民を怖がらせています。政治はこんなにお粗末であってはならない。集合住宅局(TOKI)の役人が来たと言っている。TOKIは100トルコリラ(5900円)で家を供給している。我々が一緒になればこの問題を解決できる」と語った。
イスタンブルに地震への備えはあるのか?
「イスタンブルに地震への備えはあるのか?」という質問に対し、トプバシュ市長はこう答えた。「これまでのところ、東京でおきた地震に耐えられる建物の割合は20%です。だからあなたがたは、すべてのことをやり終えた、とは言えないのです。しかしわれわれは何をやったか。病院や学校のようなたくさんの建物を完成させました。解体して建て替えることは都市改造によってのみ可能となるのです。カンディリ気象台とイスタンブルのボアズィチ大学をはじめたくさんの大学と行った研究結果によると、おそらく地震が起きれば3万人の命が犠牲になるでしょう。損害をうける建物の数は5万になるでしょう。かつて日本人が行った研究はというと、もっと狭い範囲での比較研究でした。このためもっと高い数値がでました。私たちトルコ国民はこれに備える必要がある。ともに手を取り合えば、この問題を解決できるでしょう」
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( 翻訳者:大嶽真梨子 )
( 記事ID:18645 )