来年度予算案総則、可決:反対意見、飛び交う
2010年03月09日付 Jam-e Jam 紙


来年度予算法案をめぐる審議が昨日、国会で始まった。その中で、同法案総則をめぐって、反対・賛成両派の議員らがそれぞれの意見を表明、347兆トマーン〔約34兆円〕を上限とする同法案総則は議員らの論戦に遭遇しながらも、最終的には賛成151票で可決された。

 年度ごとの予算法案〔をめぐる議論〕は毎年の最後の3ヶ月間に国会で行われる最重要イベントの一つである。89年度〔=西暦2010年度〕予算は、政府がもくろむ主な経済改革の点から、極めて重要な位置を占めている。というのも、〔アフマディーネジャード政権が昨年度から主張している〕「経済変革」ならびに「補助金目的化」〔=エネルギーなどへの補助金を廃止し、低所得者層向けに現金給付する政策〕の今後の帰趨は、政権が注視するテーマの一つであり、その主要部分が〔昨日審議された〕単年度予算の中に詰め込まれているからだ。

 昨日の国会の来年度予算法案総則をめぐる議論の中で、反対派議員らは同予算法案の欠点として、「政府が提案する法案を実施すれば、高いインフレを招く」、「インフレに起因する不況が経済を襲う可能性がある」、「雇用創出というアプローチが抜け落ちている」、「予算の石油収入への依存が高まっている」などの問題を挙げた。

 他方、同予算案総則に賛成の議員らは、「文化的な信用が高まる」、「国庫に収められることで、石油収入の透明性が確保される」、「石油と政府の財政的関係がはっきりする」、「農産物輸入品をはじめ、関税率が合理的に規定されている」、「国営企業の〔民間への〕売却で、政府に行動の自由が与えられている」などの利点を指摘した。

タヴァッコリー議員「インフレ率、50%以上に」

 計画・予算委員会の委員を務め、政府の経済政策に対して批判的なスタンスを取っているアフマド・タヴァッコリー議員(テヘラン選出、原理派)は、予算案総則への反対演説の中で、「〔今回の〕予算で最も重要なのは、それがインフレと不況をもたらしかねないことだ」と指摘した。

 「〔来年度予算に盛り込まれた〕補助金の目的化と開発計画は、来年のインフレ率上昇をもたらす要因となる」。

 同議員はこう述べ、さらに「この来年度予算では、インフレ率が50%になり、経済成長率もマイナスになることを覚悟しなければならない」と指摘、補助金目的化法をめぐる国会審議のあり方に批判の矛先を向け、次のように述べた。「過去20年間、補助金を目的化することについては多くの議論が重ねられてきた。世界銀行や国際通貨基金も、〔我が国に対して〕包括的な政策案を提案してきた。残念なことに、政府提出法案はこれらの〔海外の機関が提示した〕提案に極めて類似している。補助金目的化法案は、国会である程度修正がなされたが、政府は自らの予算法案に異様にこだわり続けており、この〔国会が修正を加えて可決された補助金目的化に関する〕法律を無視するものとなっている」。

ナーデラーン議員「数年後に音が出る楽器のようだ」

 政府の経済政策に批判的な別の原理派議員エリヤース・ナーデラーン氏(テヘラン選出)も、予算案総則に反対する中で、その他の反対派議員とは別の言い回しを使って、恐れることなく同総則に反対票を投じるよう議員らに呼びかけた。

 ナーデラーン議員は、89年度予算案は予算案を起案する過程ですでに構造的な欠陥をはらんでいたと指摘し、〔‥‥〕次のように述べた。「〔予算法案に〕書かれている内容は曖昧で、〔予算執行の細目については〕行政の判断に委ねられている。予算案で挙げられている数字は不明瞭で、中央銀行総裁ですら、『このような構成の予算案では、89年度のインフレ率がどうなるのか、予想を立てることは不可能だ』と述べたほどだ」。

 ナーデラーン議員は、89年度予算案の書きぶりは、まるで「〔奏でてから〕数年後にやっと音が出る楽器」のようだと評した。

〔後略〕

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( 翻訳者:斎藤正道 )
( 記事ID:18649 )