ロマの人々へ、住宅提供―エルドアン首相、約束
2010年03月15日付 Milliyet 紙

イスタンブルで1万5千人のロマの人々と会ったエルドアン首相は、ロマの市民たちにもうテントで暮らすことを望まないと述べた:集合住宅局(TOKI)が月100-120リラ(5880-7060円)の分割払いで住宅プロジェクトを用意しているという吉報を発表した。

アブディ・イペキチスポーツサロンは、昨日がおそらく今までで最も色付き、活発な1日だった。12月に行われたシンポジウムの後、ロマ・プロジェクトの第二段階である『ロマ会合』のため、トルコ全土から大太鼓とズルナとともに来たロマの人々は、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相と共に、音楽、ダンス、興奮が高まる会合を行った。

ロマ会合のため、テキルダー、エディルネ、エスキシェヒル、クルクラレリ、ドゥズジェ、イズミル、サカルヤ、コジャエリ、ブルサ、アダナ、チャンクル、キリス、アンカラ、バルクエシル、イスタンブルといった様々な都市からバスが到着し、1万5千人を越えるロマの市民が朝の早い時間からアブディ・イペキチサロンをまったくの結婚パーティーのように変えた。

エルドアン首相がサロンに入る前に、ロマの演奏家のウムミイェさん、コブラ・ムラトさん、そしてアフルカプ・ロマ・オーケストラが大太鼓とズルナとともにダンスを行い、歌を歌う群衆たちをよく沸きたてた。エルドアン首相は『父タイイプ』というスローガンとともにサロンに入った。

ロマ・プロジェクトが何故必要とされたかは、自身もロマである差別ゼロ協会のエルマス・アルス会長の以下の話の中でもはっきりとは答えていない:「外に出た時に私たちと(子どもの遊びで)短く切った枝で遊ぶのを避ける子どもたちを見るにつけ、家に帰り母親に理由を聞きました。私たちはこの偏見で開かれた私たちの目を、この疎外のまま閉じてしまうことを望みません。サルギョル・モスクで祈りをするシャディ・アムジャを不愉快に感じる人に反対します。セレンディで子どもたちがリンチされるのを怖がり木箱に隠れることがないよう、私たちはこの場にいます。私たちの子どもに誰も『大きくなったら何になるんだい?』とは聞きません。なぜなら運命は明らかだからです。」

■ どうあってもロマの人々である

エルドアン首相は、好意的な様子で上がった演壇で以下の演説で大きな喝采を得た:「私は、(イスタンブルの)カスムパシャ地区のクラクスズで、あなた方の間で生まれました。そこで私たちは共に大きくなりました。その日から知っています、誰かがあなた方を『ジプシーの子ども(ショパル)』、『ベレクチ(ふるい売り)』、『托鉢僧(アブダル)』、『マルティプ』、『バラ』、『パシャ』、『グルベット』、『アーシュク』、『ジャノ』、『ザナアトキャール』、『チガン』、『ジプシ』、『ジンガン』、『チンゲネ』と言うことを。何と言おうと言わせておきましょう。どんな表現を使おうとそうさせておきましょう。あなた方は『ロマ』です、つまり人間です、生きています。あなた方は私のロマの兄弟です。心から述べます、心からの言葉を述べます;赤を好み、ピンクを好み、お互いを褒め称える、ロマの人々はこのような人々です。楽器なしでは生きてはいけません。どうあってもロマであってください。石、泥、これもアッラーの創造物です。誰もがあるようにあればいいのです。」

■ セゼン・アクスの歌とともに

エルドアン首相は、セゼン・アクスの曲にある「ぷんぷんと香る/まさに水仙の時期/この春の休暇に誰も私を訪れなかった/泣くなフドレッレズ/私のために泣かないで/苦しみの種を蒔いた/恋の葉が出る/次の春には」という歌詞を引用し、『この春は、アッラーのお許しで痛みが蜜にかわる、怒りが収まる、不機嫌が除かれる、春らしい春です。私たちはあなた方の口元、心にある、この苦い笑みに気付いています。あなた方の苦しみや問題を理解しています』と述べた。

「どの子ども、赤ちゃん、ジプシーの子どもも、両親から受け継いだ民族的出自や言語の故に疎外され得るでしょうか?このことは人間として良心の問題としておさまりのつくものではありません」と述べたエルドアン首相は、「濃い色であればあるほど、果物は熟しています」というロマのことわざに耳を傾けていることも強調した。

■ 虐殺の主張にチャナッカレが応えた

第二次世界大戦時にヨーロッパで100万人のロマの人々が虐殺の対象になったこと、またヨーロッパの都市から続々と逃げたロマの人々をトルコが受け入れたことを明らかにしたエルドアン首相は、「虐殺、差別、疎外を働いた人々がまさに自身の罪を私たちに転嫁しようとしているのです」と述べた。

ガリポリの戦いの間、トルコ兵が自らの命を危険にさらす一方で、敵にコーヒーを出す寛い心を持っていたとし、「この国民・国へ向けたこの汚い訴えの全てを、私たちの歴史、寛容な心、友愛、一体感と全体感でもって無にしてしまいましょう」と話した。

「宿に向かう道は、あなたを宿から引き離さない」というロマのことわざを引用したエルドアン首相は、「道は宿の一部です。私たちはもう宿に向かう道を歩んでいます。トルコの異なる民族グループ、異なる信仰グループの問題を解決する道に進みでました」と述べた。

■ 12-16ヶ月の間に引き渡す予定

エルドアン首相は、ロマの人々がもうテントや寄せ集めで作った建物で暮らすことを望まないと述べ、TOKIがロマの市民のために準備した住宅プロジェクトを紹介した。エルドアン首相は住宅の近くに学校、社会施設、買い物の店も建設し、前払い金なしで月に100-120リラの分割払いで20年の返済期間を与えること、また 12-16ヶ月のうちに引渡しを行うことを述べた。またエルドアン首相はブルサ、エディルネ、サカルヤ、アフヨン、バルケスィル、ブルサ、エスキシェヒル、キュタフヤ、テキルダーで3408の住宅建設が開始されたことを説明し、演説の後4人の市民に身分証明書と婚姻証明書を与えた。

■ 人口数についての議論

トルコで暮らすロマの人々の人口に関してはっきりとした数字が出ておらず、異なる数字が発表されている。2004年にマルマラ大学と科学大学の2人の修士課程の生徒が行った調査によると、トルコにおけるロマの人々の数は50万人程度であるとされている。世界中で民族的起源、言語、宗教の調査を行いアメリカに本部をおく合衆国ワールドミッション(USCWM)という名の財団の2008年12月の調査によると、トルコには6万6千人のロマの市民が暮らしている。

(付記)

■ 「あなたはとてもハンサムな男性だ」

*出発した県の知事により割り当てられたバスに乗り、最も彩りのある衣装をまとい、大太鼓、ズルナを持ってイスタンブルに来たロマの人々は、サロンの中や外でずっと奏でられている曲とともにダンスを行った。

*エルドアン首相は演壇で話す間、観客席に座っていた2人の若者によって「無料の教育を望みます」と書かれたプラカードが掲げられた。警察によってサロンから追い出された若者たちは、警察の車に乗せられ連行された。

*一日の終わりのコンサートを行ったキバリイェさんは、エルドアン首相とエミネ・エルドアン夫人の健康を伺い、挨拶を述べた後、「あなたはとてもハンサムな男性で、とても素敵な男性です」と述べ、サロンにいた人々から拍手を得た。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:白石百合子 )
( 記事ID:18699 )