エルドアン首相、「アルメニア人労働者の送還もありえる」
2010年03月16日付 Radikal 紙
エルドアン首相が、イギリスのゴードン・ブラウン首相とダウニング通り10番地の首相官邸で会談を行った。
タイイプ・エルドアン首相は、アルメニアとのあいだで進められている国交正常化がうまくいかなければ、在トルコのアルメニア人違法労働者を送還することもありえると述べた。
アンカラ-レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、アルメニア法案により生じた危機がアルメニアに損害を与えていると述べ、「我々はもちろん『(2国間の)懸案事項ゼロをめざす政策』を断固とした態度で進めていますし、進めるつもりです。しかし、我々が手の差し伸べる時、相手が手でこぶしを握っているとしたら、我々の行いは意味を為さない」と話した。同首相は、トルコにいる17万人のアルメニア系住民のうち10万人はトルコ国籍ではないと明らかにし、「しかしその10万人を、現在のところは、我々がこの国で全て受け入れている。では、今後何をすべきか、必要ならこの10万人に、さああなた方の国へどうぞ行ってください、というつもりである。これを実行するつもりだ」と述べた。
エルドアン首相は会談のため滞在しているロンドンで、BBCトルコ語放送のフセイン・アルカン氏の質問についても答えた。
同首相は、アルメニア法案により生じた危機がアルメニアに損害を与えていると述べ、アルメニアの友好国がアルメニアとトルコの二国間国交正常化を支援してくれることが必要であると強調した。「我々はもちろん『(2国間の)懸案事項ゼロをめざす政策』を断固とした態度で進めていますし、進めるつもりです。しかし、我々が手を差し伸べる時、相手が手でこぶしを握っているとしたら、我々の行いは意味を為さない」と述べた上で、『今会期に承認されたアルメニア法案のせいでトルコの外交政策が圧迫されている』という批判を一蹴した。エルドアン首相は、以下のように説明した。
「しかし現在のところ、こういったことは、問題ではない。アルメニアとの関係拡大においても、(こうした事態が生じて)困っているのは我々ではないし、問題も我々の問題ではない、アルメニア側の問題だ。そしてアルメニアがとても重要な決議を行うことが必要だ。ディアスポラ(在外アルメニア人)の担保からアルメニアが救われるべきである。もしアルメニアを愛する国があるなら、筆頭はアメリカ、フランス、ロシアだろうが、1度アルメニアをディアスポラの担保から救い出すべきである」
EUとの関係
エルドアン首相は、EUとの関係についてもキプロスの港への開港要求とそれが様々な議論に及ぼす影響について言及した。またこの行き詰まりをどのようにしたら乗り越えられるか考えるべきなのは、トルコだけではないと述べ、以下のように続けた。
「我々はもちろん1度EUが『パクタ・ズンド・セルバンダ(合意は拘束するという原則)』のプロセスを進めていってくれるのは望んでいる。これもブルゲンストックで始まったが、まだ実現されていなかった。ゆえにこの困難な問題は続いているし、今後も続くであろう」
エルドアン首相は、未解決の問題についても、見直しが議論されるべきであると述べ、「なぜなら現在話し合うことのできる問題が4つある。この4つの問題について努力している。思うに、スペインがEU議長国を務める2010年前期は、これからの行く末を決める重要な時期となるだろう。そのように考えているし、我々は期待もしている。この2月のスペイン訪問でも、これに関して関係省庁の大臣と話し合った」と語った。
エルドアン首相は「今後もしEUが『我々はこの問題をすみに追いやりましょう』と言うのなら、それは『トルコをすみに追いやりましょう』という意味になる。キプロスもEU内の政治的『はれもの』になる」と述べた。
同首相は、「キプロスのギリシャ人に対し港を開放する問題で、来期にEUからなされる要求や圧力が増すとあなた方は考えていますか?トルコ側はまず第一に、禁輸措置の撤廃が必要だと主張している。EUもギリシャ人もこれを認めない。この状況をどう打破するつもりか?」という質問に対し、以下のように答えた。
「確かに、これをどう考えるか、我々だけの問題ではない。双方が考えるべきものである。港の開放に関して、もし双方が港を相互に開放するというなら、我々はその準備がある。EUと我々との間での『パクタ・ズンド・セルバンダ(合意は拘束するという原則)』プロセスをEUが押し進めてくれることを期待している。ブルゲンストックで始まったプロセスだが、これをEUはまだ実現してこなかった。これが実現されない限り、問題は続くし、続いていくだろう」
アルメニア法案
アルメニア法案により、トルコの外交政策が圧迫されているという批判に同意するか否か問われたエルドアン首相は、「我々はもちろん『(2国間の)懸案事項ゼロをめざす政策』を断固とした態度で進めていますし、進めるつもりです。しかし、我々が手の差し伸べる時、相手が手でこぶしを握っているとしたら、我々の行いは意味を為さない。しかし我々は常に手を和平のために伸ばすのであり、愛のために伸ばすのである。相手が手でこぶしを握らないだけで十分なのだ」と話した。
同首相は、アルメニア法案が他国の国会で承認されたことについても意見を求められ、「このうちのどの国も我々と関係がない。このうちのどの国もアルメニアートルコ間の問題に関わりを持っていない。勝手に役を演じているだけだ。これらの国々はアルメニアとなんの関係があるというのだ、誰がそんな役目を頼んだというのだ、この役目はどこから発生したのか?ここでもし関係国をあげるとしたら、それはトルコとアルメニアだ。もし関係国があるとするなら・・・。これらの国々は自分たちがとったこの決議で、一つのショウを見せているのです。そしてアルメニア国民にも損害を与えているのです。何かが起こるとしたら、それは行き詰りです」と答えた。
さらに同首相は、次のように続けた。
「トルコには17万人のアルメニア人がいるが、そのうち7万人がトルコ国籍である。しかし残りの10万人を今のところ我々がこの国で受け入れている。では、今後何をすべきか、必要ならこの10万人に、さああなた方の国へどうぞ行ってください、というつもりである。これを実行するつもりだ。どうしてかというと、彼らはトルコ国民ではないからだ。我が国が受け入れる筋合いはない。つまり現在のわれわれのこの真摯なアプローチに、これらの国々がこうした振る舞いで、残念なことにマイナスの方向で影響を与えている。これらの国々はこうしたことに気づいていない」
アルメニア法案によりアメリカとの間に緊張関係が生じているが、こうした緊張関係はトルコが、中東において存在感を示すことに影を落としているか否かという問いに対して、エルドアン首相は、「我々はできる限りのことをやる。しかし全てを最後までやり遂げ、結果を出し、役割を果たすという責任は我々にはない。我々は善意で、それを行おうと努力している。この地域で、双方で、いやすべてこれらの国々の中で、我々は一体世界平和にどのように貢献できるのか?我々は全てこのために努力している。アルメニアとの関係においても今日までこのようなアプローチをし、このように理解の仕方をしてきたが、我々を理解しない人たちもいる。ああ、このことも我々を悩ませている」と答えた。
トルコ国内のアルメニア人
エルドアン首相は、トルコがシリアとイスラエルの仲裁をしていることと、トルコ国内のアルメニア人に関しても以下のように述べた。
「これは我々の望みであり、どうしても、というような熱意はない。例えば、我々がイラクと取り決めた協定がある。48の協定を結んだ。シリアとは51の協定を結んだ。シリアは我々とこの協定を結んだが、シリアに住むアルメニア人を理由に『我々はこの協定を結ばない』とは言わなかった。なぜか?彼らは我々を信じていたからだ。我々もシリアを信じている。仲介者であるという点で、そもそもシリアが我々に対してとってきたアプローチはかなり違う。すなわちわれわれがここに何かもっと明らかなネットワークを構築すべきである。特にイラン、イラク、シリアといったこの地域にアルメニア人が住んでいることを我々は知るべきである。例えば多く住むのはイラン国内のアルメニア人だ。同じようにシリアにもアルメニア人はいる。しかしこれの国々によって我々のこうした見解が妨害されたことはない。トルコ国内には約10万人のトルコ国籍ではないアルメニア人がいる。彼らが我々の国で暮らそうとすることを許可するなら、これも我々のアプローチのスタイルである。これは、我々がどれほど平和に向けたアプローチを取っているかということを示すという点で、重要である。しかしこの見返りを我々が受けることも必要である。もしわれわれがこの見返りを得られないとするなら、我々は自分たち自身のためになることをやっていくつもりだ」
BBC特派員がエルドアン首相のこの発言を受けて、アルメニア人をトルコから送還するかどうかについて問うと、同首相とアルカン氏のあいだではこのような会話があった。
BBCトルコ語放送「強制送還をするとおっしゃいましたね?」
エルドアン首相「でももちろん、短時間にではない」
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( 翻訳者:牧史織 )
( 記事ID:18709 )