イラクでの選挙で世俗主義的なシーア派イヤド・アラウィ氏の「イラク同盟」が票を得たことによってイラクへのイランの影響が減少することが考えられる。
3月7日にイラクで行われた総選挙で、イランがイラクに対して影響力を持つことに反発する「世俗主義シーア派」の元首相イヤド・アラウィが勝利したことは、テヘランのイラクへの影響が減少するだろうとの見通しをもたらした。アラウィがリーダーを務め、スンニ派も参画するイラク同盟が議会の325席中91席を獲得し選挙で勝利をした。スンニ派がイランに接近していることを非難した現首相のヌリ・エル・マリキ氏の法治国家同盟が89席、イラン寄りで知られるシー派指導者ムクテダ・エル・サドル氏の支持者の多数からなるイラク国民連盟は70席、クルド連合クルディスタンは43席を獲得した。アラウィ氏は選挙結果の公表後すぐに連立に向けた協議を始めることを明らかにした。一方でマリキ氏は選挙結果を認めないと述べた。
アメリカAP通信社は、選挙結果はイラク民衆がイランのイラクにおける影響力を懸念していることを示したていると伝えた。またAP通信は、アメリカ軍がイラクの新政権の任期中にイラクから撤退することを計画しているとした上で、米軍撤退後にイラクがイランの操り人形化する懸念の声が聞こえる、と伝えた。イギリスのロイター通信社もアラウィ氏が連立政権を発足させることができた場合、近隣のアラブ諸国は安堵の息をつくことになろう、と伝えた。ロイター通信の取材に応じたアラブ首長国連邦の政治アナリスト、アブドゥルハリク・アブドゥッラー氏も「イラクは既に宗派的というよりもむしろ、次第に世俗化してきている」と述べ、選挙結果はイランのイラクにおける影響力が弱まってきていることを示している、と述べた。
またアラウィ氏は以前にイラクへの内政に干渉したとしてイランを非難しており、選挙結果公表後に開いた会見で軍部や警護部隊からの宗派的な要素の排除も約束した。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:尾崎昂 )
( 記事ID:18785 )