中央銀行発行の「イラン・チェック」〔※一種の小切手〕が市場に出回って間もないが、徐々にこの交換手段〔イラン・チェック〕とお別れする準備を整える必要が出てきた。中央銀行総裁は昨日の記者会見の席上、さまざまな発表を行う中で、これまで出回っていた銀行小切手の代わりとして高額紙幣を発行する考えであることを、これまでよりも明確に強調したのだ。
マフムード・バフマニー総裁は報道陣とのインタビューの最後に、1万トマーン紙幣〔約1000円〕の発行時期について発言し、「ホルダード月下旬〔西暦6月中旬〕までには1万トマーンの高額紙幣が国民の手に渡り、これにともない銀行小切手は徐々に市場から排除されることになるだろう」と述べた。
同氏はまた、20万トマーン〔約2万円〕のイラン・チェックの発行停止についても再度指摘し、「5万トマーン〔約5000円〕のイラン・チェックを皮切りに、イラン・チェックの市場からの排除が始まる。中央銀行はこの措置によって、マネー・ロンダリングを防止したいと考えているからだ」と述べた。
《中略》
中央銀行によるイラン・チェックの発行は、前の中央銀行総裁の時代に初めて、国の銀行による保証のないイラン・チェックの乱造を防ぐことを目的に計画され、86年〔西暦2007年〕から実施されるようになった。こうした政策の結果、各銀行によってそれぞれバラバラに発行されていた旧来のイラン・チェックは回収され、中央銀行による新たなイラン・チェックがそれに取って代わった。
中央銀行は各銀行による独自のイラン・チェックの発行が、ここ2〜3年の手に負えぬインフレの原因の一つであると見て、この政策により、約13兆トマーン〔約1兆3000億円〕にも上る各銀行発行のイラン・チェックを回収することに踏み切ったのである。
中央銀行発行のイラン・チェックの重要な特徴は、各銀行が中央銀行発行のイラン・チェックを入手しそれを利用するためには、その分の金額を〔イランの通貨である〕リヤールで中央銀行に預け入れなければならないことにあった。こうして、貨幣を創造する能力が各銀行から奪われ、通貨供給量の増加の原因の一つが抑制されるに至ったのである。
しかし、極めて簡便で、〔一般の〕紙幣とまったく同じように流通している中央銀行発行のイラン・チェックが市場に登場して約3年、このシステムがマネー・ロンダリングに手を染める者たちにとって、まさに天国のような存在となりかねないことが判明し、対策の必要性があらわとなる。この問題に対処するため、より高額な紙幣を発行することによって現在市場に出回っている小切手を徐々に市場から排除するという案が、こうして考え出されたのである。
現在、中央銀行発行のイラン・チェックは5万トマーンと10万トマーンの2種類が国民に提供されており、その簡便さから銀行のATMでもイラン・チェックが利用できるまでになっている。
《後略》
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( 翻訳者:尾曲李香 )
( 記事ID:18882 )